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#1 「生理前後の不調」をパートナーや上司へ上手に伝える方法

#ブルーデイのご機嫌メソッド

杉浦莉起 フェムテックブランドThe LADY.代表

毎月やってくる憂うつな日。平均して1カ月に7日、1年で約2.7カ月をしめるこのブルーな期間を少しでも心地よく過ごしたい。連載「ブルーデイのご機嫌メソッド」では、フェムテックブランド・The LADY.代表の杉浦リタさんに生理前後の期間を少しでも快適に過ごすための心構えを教えてもらいます。

「女性はみんな生理痛やPMSで悩んでいる」と言っても、過言ではありません。複数の調査で明らかになっているのが、生理痛やPMSで悩む人は20代で95%、全体でも80~90%(※1)といるということです。

生理痛やPMSの症状はざまざまで、腹痛や腰痛からイライラ、全身の倦怠感や肌荒れ・むくみなど、人によって悩みは違い、症状の重さもそれぞれ。精神的な症状が重い人だと、月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder:PMDD)という精神疾患の診断(うつ病と同様)となり、女性の3~8%いるのが現状です。

症状も重さも人によって違うのに、他の女性と比較して、痛みやつらさを“感度の違い”と思い込み、「わたしの我慢が足りないのかな」「みんなこれくらい我慢しているんだろう」とあきらめている人もいるかもしれません。

実際、15歳〜49歳の男女15,000人を対象にした「生理・PMSへの理解度」調査によると、「生理痛やPMSの症状がつらくてもがまんする」という人が70%以上もいるという結果(※1)が出ており、企業向けの女性活躍の研修で出会う女性たちからも「毎月のことだからしょうがない」「上司が男性だから言いづらい」「がまんするしかない」「無理してでも仕事をこなさなければ」という声を聞きます。

このような言葉を受け、生理痛やPMSは「がまんする・無理する・あきらめる」の3拍子になってしまっていると感じています。働く女性が増えた時代だからこそ、「がまんしなくていいよ、無理しなくていいよ、あきらめなくていいよ」と女性たちに伝えたいのです。

周りの人に生理の不調を上手に伝える方法

では、具体的にどうすれば、「がまんする・無理する・あきらめる」をやめられるのでしょうか。これをかなえるのは、周りの人に自分の状況を「正直に伝える」ことが鍵となってきます。

1、自分の体を理解して、正直になる

「生理がつらくて仕事が捗らない」「キツイ口調になってしまって自己嫌悪」「そんなつもりはないのに、不機嫌だねとか、言い方が怖いとか言われて傷ついた」など、生理前後の時期は、仕事の仲間に迷惑をかけたり、パートナーとけんかになったり……。その結果、自己嫌悪に陥り、ただでさえダウン気味の気持ちがもっと沈み込んで、負のスパイラルになることもありますよね。

なぜそんな負のスパイラルが生まれるのか。それは、周りの人があなたの状態を知らないからです。

他人に、自身のつらい症状や気分の浮き沈みを「察してほしい」と思っても無理です。なぜなら、女性同士でも個々人で症状や重さも違って理解するのが難しいのに、ましてや異性が理解するのは容易ではありません。毎月不調が訪れるなんてこと自体、想像がつかないのです。

だからこそ、大切なのは「伝える」ということ。どんな症状があるのか、どうして欲しいのかを、まずは自分自身で理解し噛み砕いて、周りの人に伝える必要があります。

2、パートナーへの上手な伝え方

たとえば、パートナーには「生理前はイライラしやすくなるの。だからキツイ言い方になることが多いかもしれないけど、怒っているわけではないから気にしないでね」「生理中は、体が重くて動けなくなるの。だからちょっと家事を手伝ってくれると助かるな」と具体的に伝えるのが有効的

初めは言い出しづらいかもしれませんが、良好な関係を築くためには、とても大切な話し合いです。同性でも理解し合うのが難しいことだからこそ、パートナーには恥ずかしがらずに正直に話して、二人で理解を深めていくことをおすすめします。

3、上司や同僚への上手な伝え方

会社では上司との面談で、前もって事情を説明しておくといいかもしれません。「生理前症候群の兆候がありまして、生理前になると心身ともに重くなり、パフォーマンスが落ちてしまいます。また生理痛もひどいときは、立ち上がれないくらいになるときがあるので、そのようなときは生理休暇を申請させていただきます」と伝えておけば、そのようなときが来ても、生理やPMSとはっきり言わずとも、状況を理解してもらうことができます。仕事の進め方も相談しやすい環境になるのではないでしょうか。

先の調査によると、「生理痛やPMSの症状でつらい時、周囲に伝えない」という人が約半数もいることが分かっています。

初めは勇気が必要かもしれませんが、「正直に伝える」ことは、自分と周囲の人の関係値を深め、チームワークを高めるために大切なこと、と捉えて積極的に伝えていきましょう。

あきらめずに、「ごきげんに」できることをする

そうはいっても毎月のPMSや生理痛のせいで、自分もつらいし、相手や周囲にも迷惑をかけている、という気持ちは簡単にはなくなりませんよね。だからといって、毎月のお決まりだから……とあきらめずに、できることから取り入れていってほしいのです。

仕事であれば、生理前や生理中はパフォーマンスが落ちることを理解して、その前に重要な案件を済ませる、締め切りよりも早め早めに仕上げる、できるだけ他の人のサポートをしていざというときにお願いしやすい環境を作っておくこともできます。

自分の体と向き合い、理解し、「がまんしない・無理しない・あきらめない」ことで、自分も周りの人も笑顔に過ごせる環境を目指しましょう。

※1)株式会社ツムラによる生理・PMSの本音と理解度調査
実施時期:2022年1月27日(木)~ 2月1日(火)
調査手法:インターネット調査 ■調査対象:調査①全国の15歳~49歳の生理
を経験した人 6,000人 調査②(7p~)全国の15歳~49歳の男女15,000人(男性7,615人、女性7,385人)

(文:杉浦莉起、イラスト:ヤマサキ  ミノリ

※この記事は2022年12月09日に公開されたものです

杉浦莉起 フェムテックブランドThe LADY.代表

「女性の幸せな活躍の応援」をミッションに、P&GでSK-Ⅱやパンパースなどのブランド育成を経て、女性の管理職育成/ダイバーシティの企業研修・講演を行いながら、その課題解決として女性ホルモン変化世代の不調を支えるフェムテックブランド「The LADY.」」を立ち上げた、女性のキャリア支援と女性の健康支援の両方を専門的に行う女性活躍の支援家。

メノポーズカウンセラー、女性ホルモンバランスプランナー、リンパセラピスト、アロマテラピスト、メディカルハーブセラピスト

著書:『いつでも最良を選べる人になる』(ディスカバー21)、『1年で成果を出す P&G式10の習慣』(祥伝社)、『がんばりが評価される女性の仕事術』(クロスメディア・パブリッシング)、『電撃結婚ノススメ』(マガジンハウス)ほか

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