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#5 働く女性が人生を快適に過ごすために伝えたいこと

#ブルーデイのご機嫌メソッド

杉浦莉起 フェムテックブランドThe LADY.代表

毎月やってくる憂うつな日。平均して1カ月に7日、1年で約2.7カ月をしめるこのブルーな期間を少しでも心地よく過ごしたい。連載「ブルーデイのご機嫌メソッド」では、フェムテックブランド・The LADY.代表の杉浦リタさんに生理前後の期間を少しでも快適に過ごすための心構えを教えてもらいます。

これまで4回に渡り、ブルーデイを快適に過ごすためのメソッドをお届けしてきました。

最終回となる今回は、働く女性が生理と上手に関わっていくために、改めて知って欲しい、生理のときに何が自分の体に起きているのか、女性ホルモンと女性ライフの関係についてお話したいと思います。

実は知らない自分の体のこと

自分自身に関わる知識なのに、女性自身がよく分かっていない、よく知らない人が多いのが事実。私自身、第一子を産むときに、産婦人科の先生に出生前診断を勧められ、年齢によるリスクの違いをみたときに初めて、女性の体に起こることを全く知らないことを自覚しました。

女性には、生理前後の体調に振り回される「毎月の波」だけでなく、年齢によって心身に与える影響が変わる「一生の波」があります。私はこの“ゆらぎのタイミング”を、早めに予防・対処することを「お転機予報」と呼んでおり、「お転機」のタイミングをしっかりと理解することで、不調の波に流されず、うまくセルフケアを取り入れながら、仕事のパフォーマンスも、日々のごきげんもコントロールして、快適に過ごすことが可能になります。

女性ホルモンが私たちの体に与える影響

そのために、まず知っていただきたいのは、女性ホルモンのこと。女性の心と体はホルモンバランスによって大きく変化します。月経周期に連動するように、やたらとイライラする時期もあれば、体調も気分も絶好調な時期があったりしますよね。そんな女性特有のお転機リズムを作り出しているのが、2つの女性ホルモンです。

前回もお話ししたエストロゲンプロゲステロンの分泌量の変化により、排卵や月経を起こし、妊娠・出産に作用するのはもちろん、月経や生殖以外にも、女性の心と体の健康に大きな影響を与えます

たとえばエストロゲンは、子宮内膜を厚くして妊娠の準備をします。また、女性らしい体つきや心のコントロール、肌のツヤと潤い、脳や血管、粘膜や骨などにも作用し、若く丈夫に保つなど、さまざまなうれしい働きをしてくれます。

一方、プロゲステロンは、妊娠の成立・継続に欠かせないホルモンで、子宮内膜を整える働きがあります。プロゲステロンがたくさん出る月経前は、むくみやすくなったり、食欲が増したり、気分が落ち込んだり、体調的にはうれしくない作用があります。

毎月のお転機との向き合い方

この女性ホルモンをしっかりと理解することが、お転機と向き合う上では大切になってきます。

まずは、月のお転機との向き合い方についてお話しましょう。女性の体は、約1カ月をサイクルに排卵~月経を繰り返しています。妊娠の準備をするエストロゲンが排卵に向かって増え、排卵後は妊娠を継続するプロゲステロンが増え、しかし妊娠が成立しないと2つのホルモン分泌量は下がり、子宮内膜が出血をともなってはがれ落ちて体外へ排出されます。すなわちこれが月経です。

面倒臭く大変なことも多い月経ですが、ホルモンバランスが整っているかどうか、赤ちゃんを産める状態であるか、女性特有の病気が隠れてないかを知ることができる、大切な「バロメーター」なのです。日ごろから、出血期間や出血量だけでなく、月のサイクルの中での体調や心の状態に注意を向けて、お転機予報に役立てましょう。

月のお転機予報はたとえば、

晴れ(生理後から排卵まで)

お天気も回復し、仕事のやる気も満ちあふれています。バリバリ働けて、よく食べてよく眠れます。心も体も充実して、積極的に動けます。

曇り(排卵後から生理前)

心や体に不調を感じる人も出てきます。イライラや肩こり・頭痛を感じたり、気持ちの落ち込みや食欲・睡眠の乱れを感じたり、むくみや肌荒れ・疲れやすさを感じたりするタイミングです。

雨(生理中)

生理痛はもちろん、生理グッズの用意や、もしもの時の汚れが目立たないようにする洋服のチョイス、旅行などのスケジュールを気にしたり、体の重さやイライラのコントロールなど、生理にまつわるさまざまな面倒があるタイミングです。

人によって症状や程度はさまざまなので、今、自分がどのような状態にいるのか「自分のお転機」を知り、これからどう変化していくのかを予想することで、対処がしやすくなります

たとえば、生理中は仕事の効率が下がるから早めに仕上げておこうとか、難しい議論は「晴れ」のタイミングでしようなど、仕事の進め方や周囲の巻き込み方などもうまく段取りできるようになります。

一生のお転機との向き合い方

そして女性ホルモンは女性の一生に関わるので、ライフステージのお転機予報にも注目してほしいです。年齢によって大きく3つのステージに分かれています。

10代後半~20代:春

性成熟期。思春期には月経もまだ安定せず、心身のバランスが不安定になりやすいですが、20代ではエストロゲンの分泌は安定し、分泌量もピークになります。心身ともに女性ホルモンの恩恵を最も多く受ける時期。妊娠・出産に適した体内環境が出来上がります。その半面、生理不順やPMS、生理痛などのお悩みの他、月経困難症や子宮内膜症、子宮筋腫など女性ホルモンに関わる病気が増えてくる時期でもあります。

30-40代:夏

プレ更年期。エストロゲンの分泌量はまだ保たれているものの、減少していく女性ホルモンのゆらぎを感じ始める過渡期。仕事や家庭でライフイベントの大きな変化が多い時期でもあり、更年期の前触れのような、心身の不調を感じ始める人もいます。子宮内膜症・子宮筋腫・子宮頸がん・乳がん・産後の自己免疫疾患・不妊治療などに悩む方もいます。

40-50代:秋

更年期。一般的に50歳前後で閉経を迎えます。この閉経の前後5年の10年間を更年期と呼びます。エストロゲンの分泌が不安定で、多くなったり少なくなったりと乱高下を繰り返して減少していきます。この乱高下の大きな波が、心身の“ゆらぎ”となって押し寄せ、更年期症状として現れます。女性の心と体を長年にわたって守ってきたエストロゲンがなくなるため、イライラや落ち込みなど気分が優れなかったり、お肌や髪のエイジングサインが気になったり、肩こりや疲れやすさ、血圧の変化など体調にも不調が現れやすくなります。このような更年期症状のほか、卵巣がんや子宮体がんなどのリスクも高まります。

人生を設計するためにもお転機を知ることは大切

企業に女性活躍の研修で伺うと、「キャリアアップもしたいが、子どもも欲しい。でも出産・育児をするとブランクができてしまい、仕事で活躍し続けるためには、いつが産み時か?」「管理職への打診をもらったけれど、更年期の症状なのか、心身ともに落ち込みがちで、自信がない」「妊活をしているが、不妊治療に踏み込むのは何歳くらいがいいのか、もう始めた方がいいのか悩んでいる」など、ライフステージに合わせたさまざまな悩みが集まります。

悩みを抱える女性が多いからこそ、女性に起こるお転機をしっかりと知って欲しいと思っています。お転機予報ができれば、人生のいろいろなタイミングで悩んだとき、解答を導きだす助けとなったり、起こるかもしれない不調の予防や準備が出来たり、日ごろから意識して過ごすことで不調を軽くすることも出来るかもしれません。

自分自身の心と体をいつも気にしてあげてほしい。そして大切にしてほしい。だって、それを感じ取れるのは自分しかいないから。

雨のときも、がまんや無理をして、ずぶぬれになるのではなく、傘をさしたり雨宿りをしたり、楽しくおうちで過ごしたり出来るように、少しでも心も体も心地よくできるセルフケアを取り入れて、「私の毎日を、人生を、ごきげんに」していきましょう!

(文:杉浦莉起、イラスト:ヤマサキ ミノリ)

※この記事は2023年02月10日に公開されたものです

杉浦莉起 フェムテックブランドThe LADY.代表

「女性の幸せな活躍の応援」をミッションに、P&GでSK-Ⅱやパンパースなどのブランド育成を経て、女性の管理職育成/ダイバーシティの企業研修・講演を行いながら、その課題解決として女性ホルモン変化世代の不調を支えるフェムテックブランド「The LADY.」」を立ち上げた、女性のキャリア支援と女性の健康支援の両方を専門的に行う女性活躍の支援家。

メノポーズカウンセラー、女性ホルモンバランスプランナー、リンパセラピスト、アロマテラピスト、メディカルハーブセラピスト

著書:『いつでも最良を選べる人になる』(ディスカバー21)、『1年で成果を出す P&G式10の習慣』(祥伝社)、『がんばりが評価される女性の仕事術』(クロスメディア・パブリッシング)、『電撃結婚ノススメ』(マガジンハウス)ほか

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