#4 女性ホルモンを味方につける生活習慣
毎月やってくる憂うつな日。平均して1カ月に7日、1年で約2.7カ月をしめるこのブルーな期間を少しでも心地よく過ごしたい。連載「ブルーデイのご機嫌メソッド」では、フェムテックブランド・The LADY.代表の杉浦リタさんに生理前後の期間を少しでも快適に過ごすための心構えを教えてもらいます。
生理期間を快適に過ごすために、そして女性ライフを充実させるために、生理期間はもちろん、生理前、生理後の生活習慣でも気にした方がいいことはたくさんあります。
まずは、ちょっと耳よりなお話から。「生理後は痩せやすい」と聞いたことはありませんか? 答えは、YES。生理後は美しくなるチャンスなのです! なぜなら、代謝アップ&美容効果アップのタイミングだから。これには女性ホルモンが大きく関係しています。
体調や気分を左右する2つの女性ホルモン
女性の心身は、別名「美人ホルモン(エストロゲン)」、「ブスホルモン(プロゲステロン)」ともいわれる、2つの女性ホルモンによってコントロールされています。生理が終わってから排卵までを「卵胞期」と呼び、エストロゲンの分泌が多い時期となります。排卵後から生理まではプロゲステロンの分泌が多くなり、「黄体期」と呼ばれます。この2つのホルモン分泌が下がりきると、月経が始まるのです。
「エストロゲン」が美人ホルモンといわれる理由は、代謝アップや精神状態の安定、肌のうるおいやツヤ、骨や血液循環のサポートといった、女性にとってうれしい作用があるからです。そのため、生理後のエストロゲンが増えていく卵胞期は、「心身ともに調子がいい」時期。1カ月の間で最も、ダイエットや美容に積極的に取り組みたいタイミングでもあります。
一方、エストロゲンが減って「プロゲステロン」が増える黄体期は、心身ともに不調になりがちです。この時期は、排卵を合図に妊娠を維持できる状態に体を整えようとするため、体温が高くなり、栄養や水分を体に溜め込もうとします。そのため、太りやすくむくみやすい、さらには疲れを感じやすい時期になります。ブスホルモンなんて言われたりしますが、女性の体にとって大切なホルモンです。
月経のある女性の心と体の状態は、この2つのホルモンの影響を受け、約1カ月周期(=月経周期)で変動するので、調子がいいとき、不調を感じるときのタイミングをうまくつかんでライフスタイルを調整したり、前もって対策することでブルーデイを少しでも快適に過ごすことができます。
あなたは何タイプ? 自分の体を知ろう
より効果的にアプローチするために、まずは自分のタイプを知りましょう。
生理中や生理前に出やすい症状は何でしょうか? チェックの数が最も多いのがあなたのタイプです。
「リラックスタイプ」
イライラ自律神経乱れ型で、リラックスタイムが大切です。
「ハピネスタイプ」
気持ちがダウンしがちでセロトニン不足型。気分を上げるケアを取り入れましょう。
「フロータイプ」
体に症状がでやすい巡り不足型。滞りを流すケアが有効です。
タイプごとにおすすめケア方法は?
「リラックスタイプ」のあなたにおすすめのセルフケア
・入浴でゆっくり体を温めリラックス。38~40℃くらいのぬるま湯に胸まで浸かりましょう。
・背中~仙骨をほぐし、体のゆがみを整えましょう。
・ストレス対策として、ビタミンC・ビタミンB群を積極的に摂りましょう。
・ラベンダーなどの気分を落ち着かせるアロマで、リラックスタイムを演出しましょう。
「ハピネスタイプ」のあなたにおすすめのセルフケア
・呼吸が浅くなりがちなので、胸にしっかり空気を取り込むように、深呼吸をしましょう。
・セロトニンアップのため、リズム運動、ウォーキングや足踏みを積極的に行いましょう。
・セロトニンの材料となる、トリプトファン+ビタミンB6+炭水化物を摂りましょう。
・オレンジなどの精油を、デコルテや首の裏に塗って気分を上げましょう。
「フロータイプ」のあなたにおすすめのセルフケア
・38~40℃の全身浴でゆっくりと体を温めて、血流アップを目指しましょう。
・女性の体のベースづくりと代謝を上げるために、有酸素運動と筋トレのバランス運動を行いましょう。
・女性ホルモンに似た働きが期待されるイソフラボンを含む、大豆や納豆、体をつくるたんぱく質などを意識的に摂りましょう。
・くるぶしやかかと周りは女性器周りに良いとされるツボが多くあります。ローズやゼラニウムなどのアロマでマッサージをしましょう。
女性ホルモンに関わる三大栄養素
また、すべてのタイプに共通して、簡単にできる生活習慣やセルフケア方法も紹介します。
まずは切っては切れない食事から。いつも心がけて摂りたいのは、タンパク質・鉄・カリウムの三大栄養素です。毎日の食事に上手に摂り入れることで、女性ホルモンの動きにも影響を及ぼします。
1、タンパク質
肉、魚、納豆、豆腐、卵、チーズなど
細胞や体をつくる元となる栄養素です。ストレス状態になるとタンパク質が代謝される(糖化する)ため、不足しやすくなります。また、水分を引きつける働きがあり、不足するとむくみやすくなるのも特徴です。また、女性ホルモンは、タンパク質+コレステロール(脂質の一種)でできているため、女性ホルモンにも影響を及ぼします。
2、鉄
レバー、カツオ、マグロ、しじみ、アサリ、煮干し、納豆、ひじき、小松菜など
鉄は、酸素を全身に運び、子宮内膜をつくる大切な栄養素。鉄不足になると、肌への影響(しみ、シワ、ニキビ、湿疹、肌荒れが治りにくいなど)の他、頭痛やめまい、手足の冷え、抜け毛、朝起きるのがつらいなどの症状が出ます。
3、カリウム
のり、ひじき、大豆、ホウレンソウ、にんじん、かぼちゃ、アボカド、ドライフルーツ、バナナなど
カリウムは体内に最も多く存在するミネラルで、生命維持に欠かせない栄養素の1つです。過剰な塩分を体外に排出するほか、筋肉の収縮や神経伝達に関わり、細胞内の浸透圧や体内の水分保持、pHバランスを保つ働きがあります。高血圧予防や、むくみ改善、筋肉維持にも関わります。
月経周期に合わせたセルフケア
食事で女性ホルモンのバランスを整える他にも、月経周期に合わせてセルフケアを行うことも、健やかに過ごすために有効です。
生理中:リセット・デトックス期/骨盤が開いている
生理によって子宮内膜がはがれ落ちるリセット期。生理の時こそ、骨盤内のうっ血を取るために温めるケアがおすすめです。また、骨盤が最大に開き、周辺の筋肉も緊張しているため、腰を回したり、ひねったりするストレッチケアも効果的。
生理終了~排卵まで(卵胞期):積極ケア・体質改善期/骨盤が閉じていく
心身共に調子がいい時期。ダイエットなどもおすすめです。大切な子宮内膜や卵子がつくられている時期なので、しっかりと食事と運動で体を整えることが大切です。それぞれのタイプに合ったケアをプラスで加えましょう。
排卵~次の生理まで(黄体期):対症療法の時期/出ている症状を軽くする
むくみや肌荒れ、イライラなど、心身の不調が出やすい時期。この時期は、不調に対するケアをすることで、少しでも快適に過ごせるよう心がけましょう。特にタイプ別の症状が出やすい時期なので、自身の体の声をよく聞きながら、愛しむようにケアしましょう。有酸素運動は精神症状を和らげる効果があると言われます。30分程度のお散歩をすると、気分もリフレッシュしますよ。
生理中だけでなく、月経周期に合わせた毎日のちょっとした工夫で、ブルーデイを快適に過ごせます。最初は、難しいと思うかもしれませんが、まずはタイプ別のケアから取り入れて、徐々に出来ることを増やしてみてくださいね。
(文:杉浦莉起、イラスト:ヤマサキ ミノリ)
※この記事は2023年01月27日に公開されたものです