仕事中毒とは? ワーカホリックになりやすい人特徴と改善法
仕事中毒(ワーカホリック)とは、仕事のしすぎで休みが取れないなど、生活を犠牲にしてしまうこと。仕事中毒になりやすい人にはどんな特徴があるのでしょうか? キャリアカウンセラーの中谷充宏さんが、仕事中毒の原因と改善法を解説します。
仕事中毒(ワーカホリック)とは、私生活を犠牲にして仕事に打ち込んでいる人。
ワークライフバランスの大切さが声高に叫ばれている今でも、たまった仕事に追われて、食事の時間も惜しんで長時間働いているという人はいませんか?
こうした人たちは「仕事中毒(ワーカホリック)」かもしれません。
やらなければならない仕事とはいえ、やはり、やりすぎは問題です。そこで今回は、仕事中毒になる原因と改善方法を解説していきます。
「仕事中毒」とは? 陥る原因
そもそも「仕事中毒」というのは、私生活の多くを犠牲にして仕事に打ち込んでいる状態を指す言葉です。
「日本には資源がない」という理由から、長時間残業や休日出勤は当たり前、またそれが賛美された時代もあって、未だにその風潮が残っているのが原因の1つ。
更には、グローバル化が加速する昨今、生産性向上の名の下、社員一人一人が大量の仕事を抱えざるを得ない状況も加わって、仕事中毒に陥ってしまいます。
とはいえこうした外的要因だけではなく、その人自身の性格や生活環境によって、仕事中毒に陥ることも。次の章で、仕事中毒になりやすい人の特徴を見ていきましょう。
仕事中毒になりやすい人の特徴
「24時間働ける」。そんなことが評価された過去の風潮がまだ残っている、もしくは現在のように国際競争が激化しているからといって、みんなが仕事中毒かというと、決してそうではありませんよね。
仕事中毒になりやすい人には、次のような特徴があります。
(1)仕事が生きがいになっている
「仕事が人生の全て」「仕事が何よりも最優先」と、仕事に対して偏った価値観を持っている人は注意が必要。
仕事を生きがいにするのは決して悪いことではありませんが、そうなるあまり私生活を犠牲にしたり、本来の自分を見失ったりするなら、それは仕事中毒と言って良いでしょう。
(2)責任感が強い
責任感が強すぎるため、仕事に対して全力で向き合い、手を抜けない人も仕事中毒になりやすいでしょう。
こういった性格の人は、会社から過度な要求をされても断ることができず、必死で応えようとしてしまいます。
(3)真面目すぎる
例えば、データを一括で取り込んだ方が早くて効率的なのに「手入力してください」と言われたら、何の疑いも持たずに、言われた通りにやってしまう人。
良くも悪くも「サボる」ことができない真面目な性格の人も、仕事中毒になりやすいといえます。
(4)昇進意欲が強い
「入社したからには少しでも上に行きたい」という昇進意欲が強く、成果を出すために、必死に頑張ってしまいます。
向上心を持つのは素晴らしいことですが、そう思う余りに残業や休日出勤がやめられないなら、注意が必要です。
(5)負けず嫌い
前項と類似していますが、「あの人には負けたくない」という気持ちが強く、それが原動力となって、がむしゃらに働く人も要注意。
仕事の成果を自分軸ではなく他人軸で見ると、ストレスを抱えやすく、つい頑張りすぎてしまうでしょう。
(6)完璧主義
細部までクオリティにこだわるあまり、雑用であっても一切手を抜くことができません。
このように完璧主義な人は、小さなミスでも過剰に落ち込み、仕事の量や質で何とかミスをカバーしようと頑張りすぎてしまいます。
(7)心配性
自身の仕事に対して「あそこ大丈夫かな? 間違ってないかな?」と不安が先行し、細部を何度もチェックしたり、手直しをしたりして、いつになっても完遂しません。
心配性で能力に自信を持てない人は、その仕事にかけた“時間”を安心材料にしている場合も。少しでも不安を払しょくしようと長時間仕事に向き合ったり、休日にも仕事について考えてしまったりするでしょう。
(8)他人を頼るのが苦手
周りを頼ったり、仕事を割り振ったりするのが苦手で、全部自分でやらないと気が済まず、全てを1人で抱え込んでしまいます。
そもそも他人を頼るのが苦手な性格である場合や、完璧主義で他人に仕事を任せられない場合もあるでしょう。
(9)仕事を振られても断れない
前項と逆で、仕事を割り振られても断る勇気がなく、つい請けてしまう人も仕事中毒になりやすいといえます。
「ちょっと今忙しくて……」という一言が言えない人は、要注意です。
(10)仕事以外に打ち込むものがない
あなたには仕事以外に打ち込んでいる趣味や、大切にしたい時間はありますか? もし思い当たるものがなかったら、注意した方が良いかもしれません。
向き合うものが仕事しかないために、時間に余裕があっても、仕事にあててしまうのです。
「仕事中毒度」診断
以下の記事では、あなたの仕事中毒度(ワーカホリック度)を診断します。10の質問に答えてチェックしてみましょう。
仕事中毒を改善する方法
前節でご紹介した10個の特徴に、多く当てはまった人もいるのではないでしょうか。
「振り返ってみると、自分は仕事中毒かも?」と感じる人も多いかもしれませんね。では、どうしたら仕事中毒を改善できるのか、その具体的な方法を解説していきます。
(1)オン・オフのメリハリをつける
「火曜と木曜はどんなことがあっても絶対に定時で帰る」「休日は仕事のメールを一切チェックしない」といったように、オン・オフのメリハリをつけるためのルールを決めましょう。
ただし、仕事中毒になりやすい人は真面目な性格なので、自分で決めたルールに対しても厳しく守ろうとするでしょう。自分を苦しめないためのルールを、ぜひ設定してみてください。
(2)仕事以外に打ち込むものを見つける
趣味やスポーツ、ボランティア活動、地域活動など、仕事以外で没頭できるものを見つけてみましょう。
仕事だけではない世界が見つかれば、仕事と共に有意義な時間を過ごせるようになるはずです。
(3)同僚、家族、友人を頼る
職場で周りを頼ることができない、相談できないとなると、自分で全てを抱え込むしか道がなくなります。
またプライベートでも、家族や友人と接することにより、仕事一辺倒の生活を解消する糸口がきっと見つかるはず。
自分以外の誰かを頼ることで、少しずつ仕事中毒から抜け出していきましょう。
(4)周りの評価を気にしすぎない
確かに出世欲も大事な価値観ですが、それに固執するあまり健康を害したり、大切な恋人や友人との付き合いがおろそかになったりしては、充実した人生は送れません。
限られた時間の中で仕事の成果を出すことに集中して、その後の評価は会社に預けてしまいましょう。
(5)環境を変える
会社や職場によっては、大半の社員が仕事中毒になっている、ならざるを得ないところもあります。
そういった環境下では、「自分は仕事中毒にはならない!」と孤軍奮闘しても疲弊するだけです。
思い切って異動願いを出す、最終的には転職するという選択肢も検討すべきでしょう。
仕事中毒はほどほどに
グルーバル化が進み、国内のみならず世界を相手に戦わざるを得ない今、仕事の成果をより一層上げていかなければ、生き残っていけません。
一方で、仕事のしすぎで健康を害したり、大切な家族や恋人、友人を犠牲にしたり……というのは、本末転倒のように思います。
やはり「ワークライフバランス」という言葉の通り、仕事一辺倒ではなく、良いバランスを保つことが大切ですね。
(中谷充宏)
※画像はイメージです
※この記事は2021年04月29日に公開されたものです