デリケートゾーンがヒリヒリして痛い。痛みの原因と対処法とは
デリケートゾーンがヒリヒリ痛む原因
さて、外性器であるデリケートゾーンは、じつはかゆみや痛みが生じやすい場所でもあります。なかでもヒリヒリとした痛みを感じる場合、以下のようなことが影響しているかもしれません。
性感染症にかかっている
性感染症(STI)には、デリケートゾーンにかゆみや痛みを生じる病気もあります。代表的なものをあげてみました。
(1)性器ヘルペス
性器ヘルペスは、性器に小さな水ぶくれやただれができる病気です。単純ヘルペスウイルスというウイルスに感染することで発症します。無症状のこともありますが、なかにはヒリヒリ、ジンジンとした強い痛みで排尿困難や歩行困難を生じる人もいます。
一度感染すると、治療してもウイルスを体から完全に除去することはできず、疲労などで体の免疫が低下すると何度でも再発します。
(2)腟トリコモナス症
トリコモナス症はトリコモナス原虫によって引き起こされる病気です。一般的に男性よりも女性に強い症状が出る傾向があり、腟や外性器を中心に症状が現れて、強い悪臭がする白や黄色っぽい泡状のおりものが大量に出たり、デリケートゾーンにかゆみや痛みが生じたりします。
一方、男性は無症状のことが多く、あっても軽い排尿痛や頻尿がある程度といわれています。
(3)尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマの原因は、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスです。HPVは子宮頸がんを引き起こすことで知られるウイルスですが、尖圭コンジローマと子宮頸がんでは、同じHPVでも型が異なります。外性器周辺に小さな尖ったイボが生じるのがおもな症状で、痛みやかゆみが現れることもあります。
子宮頸がんワクチンのうち、4価(4種類のHPV感染を予防できる)と9価(9種類のHPV感染を予防できる)のワクチンを接種すると、尖圭コンジローマの予防にもつながります。
バルトリン腺に炎症が起きている
バルトリン腺とは腟口のおしり側に近い部分の両側にある、分泌液を出す部分のことです。通常は見たり触ったりしても、その存在はわかりません。バルトリン腺にはセックスの際に必要な潤滑液などを分泌する役割がありますが、何らかの原因で管が詰まって炎症を起こし、痛みが生じることがあります(バルトリン腺嚢胞)。
腟炎や外陰炎が起きている
腟炎とは、腟の粘膜に起こる炎症のこと。これにかかるとデリケートゾーンに痛みやかゆみを生じることがあります。若い女性の場合、主に雑菌が腟に入り込むことで炎症が起こります。雑菌による感染の経路はさまざまですが、セックスでの感染や、トイレで排泄物をきちんと拭き取らなかったりすることが多いようです。
一方、外陰炎とはデリケートゾーンの皮膚が炎症を起こすことです。腟炎と同じく、新たな感染が原因である場合と、外陰部や腟にもともといる常在菌が何らかの原因で異常繁殖して起こる場合とがあります。
おもな症状は腟炎同様、おりものの異常や外陰部の痛み、かゆみです。外陰炎が単独で生じることもあれば、腟炎と一緒に発症することもあります。おもな腟炎、外陰炎には、以下のようなものがあります。
(1)カンジダ外陰腟炎
腟の常在菌であるカンジダ菌が、何らかの原因で異常繁殖することで起こる、腟や外陰部の炎症です。抗菌薬を服用して、ほかの菌が減少した時や、妊娠中など一時的に免疫が下がったときに発症することがあります。発症するとデリケートゾーンにかゆみが生じたり、白くてポロポロしたおりものが出たりします。腟の洗浄や抗真菌薬によって治療を行います。
(2)おりものシート、生理用品などによる外的刺激を原因とした炎症
おりものシートや生理用ナプキンなどを、交換せずに長時間付けっぱなしにすると、おりものや経血、排泄物などが外陰部に付着した状態になり、それが原因で炎症が起こることがあります。また、おりものシートや生理用ナプキンそのものが刺激となって、炎症を起こし、ヒリヒリとした痛みを生じることもあります。
(3)セックスによる摩擦で小さな傷ができている
外陰部の皮膚や粘膜はデリケートで、セックスによる摩擦などで小さな傷ができ、痛みやヒリヒリした感覚が生じることがあります。「セックスの後、デリケートゾーンがヒリヒリする」と婦人科を受診する人は少なくありません。
(4)肌荒れが起きている
広い意味では肌荒れも炎症の一種ですが、アンダーヘアの処理方法の影響などが原因で肌荒れが起き、ヒリヒリとした痛みを感じることもあります。使っているデリケートゾーン用のソープが合わなかったり、ボディソープなど刺激の強いソープで洗ったりしている場合も同様です。