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お笑いコンビ「空気階段」が持つ違和感と魅力の秘密

#PM6時の偏愛図鑑

ねむみえり

定時後、PM6:00。お仕事マインドを切り替えて、大好きなあの映画、あの舞台、あのドラマを観る時間が実は一番幸せかもしれない。さまざまな人が偏愛たっぷりに、働く女性に楽しんでほしいエンタメ作品・人物を紹介する連載です。

キングオブコント2020が開催された夜、普段は録音放送の「空気階段」のラジオが生放送でオンエアされた。

深夜3時半の眠気は2人の興奮冷めやらぬトークによって吹き飛ばされ、そして私は、布団の中で少し泣いた。

存在感と狂気のコンビ

空気階段との出会いは、お笑い番組で偶然「クローゼット」のネタを見たこと。

浮気相手の恋人から逃げるためにクローゼットに隠れる、という流れはある意味定番だが、そのクローゼットが異空間につながっているという展開を始めたところから、テレビに釘付けになっていた。

異空間に現れた謎の男を演じる鈴木もぐらさんのインパクトはものすごく、空気階段のYouTubeチャンネルにも上がっていたそのコントを何回も見てしまい、脳内にもぐらさんの声が突然流れるほどになってしまった。

空気階段「クローゼット」

キングオブコント2019では上位3組に入れなかったものの、水川かたまりさんの「お笑いのある世界に生まれてきて良かったです」というコメントを聞いて、このコンビは絶対に大丈夫だ、と思ったのだ。

まっすぐな気持ちをごまかさずに言える芸人さんには、個人的に絶大な信頼を置いているというのもあるけれど、ニコリともせずにコメントしたかたまりさんには一種の狂気も感じた。

独特の存在感を放つもぐらさんと、静かながらも狂気を内包しているかたまりさん。その2人が組んだらもう、面白くないわけがないのだ。

「普通」からズレてる人間臭いコント

空気階段のコントは、いつも少しだけ不思議だ。どちらかといえばポップなネタではなく、入り組んだりズレたりしている。その複雑さがコントに奥行きを持たせて、演じるキャラクターは魅力的になる。

キングオブコント2020で披露された、霊媒師のネタと定時制高校でのネタは、まさに空気階段でしか作り上げられない世界観なのだと思った。

コミュニティFMラジオを受信してしまう霊媒師も、私たちには聞き取れないけど成立している男女の会話も、「普通」からはズレているが受け入れてしまう。そして、その向こうにある物語に夢中になってしまう。

この不思議なコントに出てくる登場人物の妙な説得力には、空気階段の2人が持っている人間臭さが関係している気がする。

彼らは分類的には「お笑い第7世代」だが、第7世代がそろって醸し出すスマートさみたいなものはあまりない。その代わりにあるのが、人間臭さなのである。

その人間臭さの根が見えるのが、彼らがやっているラジオ『空気階段の踊り場』で、そこで彼らは素直に泣いたり笑ったり怒ったりする。

人間臭さと、「普通」からズレた少し不思議なコント。その組み合わせのギャップが、どうしようもなく空気階段にハマってしまう理由なのだ。

「空気階段」おすすめコント3選

そんな空気階段の単独ライブチケットは、即完売してしまう。なので、少しでも空気階段の世界を感じるには、彼らの公式YouTubeチャンネルでコントを見るのが手軽でおすすめだ。

最後に、私イチオシのコントをいくつか紹介したいと思う。空気階段の作り出す不思議な世界に足を踏み入れてほしい。

空気階段「みどり屋」

空気階段「恐喝」

空気階段「タクシー」

(文:ねむみえり、イラスト:谷口菜津子)

ねむみえり

1992年生まれ、東京出身。ライター/編集者として働きながら、現代詩の創作も行なっている。本、舞台、映画、音楽、お笑い、ラジオ、アートなど、無意識のうちに多趣味な人間になっていた。いつか黒猫と暮らすのが夢。

Twitter:https://twitter.com/noserabbit_e
note:https://note.com/noserabbit_e

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