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職場にいる「人任せな人」への対処法

笹氣健治(心理カウンセラー)

人任せにする人の心理

問題である「人任せな人」が自分では仕事をやらずに他人に丸投げするのは、一体どうしてでしょうか? 自分だけラクをして、他人が苦労しているのを見ても平気なのでしょうか?

「人任せな人」の心理状態について考えられる5つのパターンを紹介します。

(1)単にやりたくないだけ

おそらく人任せな人も、全く仕事をしていないわけではなく、それなりに仕事はしているはずです。ただ、仕事の好き嫌いがはっきりしています。

自分がやりたくない仕事を任されないようにいつも逃げ回っているのですが、どうしても逃げ切れなくなると、部下や後輩などのお願いできそうな人を捕まえては、何か言い訳を付けて丸め込んでやらせる。

皆のために自分が一肌脱ごうとか、チームに貢献しようという意識が薄く、良く言えば我が道を行くタイプであり、悪く言えば自分本位なタイプです。

(2)苦手だから仕方ないと思っている

パソコン操作、資料作成、クレーム対応など、自分は苦手だからと、できる人に全部やってもらう人がいます。

苦手なものは苦手だし、できる人がやった方がうまくいくんだから、できる人がやればいい。そう考えて、自分が苦手な仕事を人任せにする。苦手を克服しようとか、できないものをできるようになろうという姿勢が全く見られません。

そんなふうに向上心の欠片も感じられないのは、自分の人生を諦めてしまっているからかもしれません。「自分には無理」と心のどこかで決め付けてしまっているのです。

そうなったのは、努力が報われずに傷ついた経験が過去にあって、頑張っても無意味だと思い込んでしまっている可能性があります。

(3)マウンティングしている

部下や後輩をまるで自分の従者であるかのように扱うのは、自分の立場の優位性を誇示したいからかもしれません。いわゆるマウンティングと呼ばれる行為ですが、相手との力関係をはっきりさせようとしているのです。

この場合の心理的背景には、自分に対する自信のなさがあります。部下や後輩は私よりも有能であり、いつか上下関係が逆転するのではないかと心のどこかで恐れていて、だから「私は上司だ」「私は先輩だ」と示すことで、不安から目を背けようとしています。

(4)自分の無能さを知られたくない

「その仕事を自分がうまくできるとは思えない。自分の能力はそんなに高くない。もし自分がそれをやったら、自分の無能さがばれてしまう。だから、何とかして引き受けないようにして、自分の能力の低さを周りに知られないようにしよう……」

こんな感じのことを頭の中で考えている可能性があります。こういう人にとって仕事を人任せにするのは、自分のプライドを必死に守るための行為だといえるでしょう。

(5)会社への復讐

「あらゆる仕事が自分に回ってくる。私は便利屋じゃない。いい加減にしてほしい」など、このような不満を持ちつつも、言葉に出して言えない職場もあるでしょう。

そんな会社に対して怒りが溜まっているため、せめてもの復讐として、自分がやらずに周りに仕事を丸投げする。人任せな人の中には、こういう心理状態になっている人もいるかもしれません。

「私は社内で大切に扱われていない」という感覚があって、その不満のはけ口として、自分の仕事を人任せにすることで溜飲を下げているのです。

以上の5つの説明で分かるように、人任せな人は自分のことだけで手いっぱいであり、仕事を任せた相手の事情まで配慮することができません。

それもこれも、その人なりに苦しんでいるからだと考えると、人任せな人はある意味つらい立場に置かれている人だとも捉えられるかもしれません。

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