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鬼滅の刃からボイメンまで。「推しカラーメイク」を提案するさきのさんの場合 #コスメ垢の履歴書

#コスメアカの履歴書

ひらりさ

コスメを偏愛する「コスメオタク」が増えている。中でもTwitterの「コスメ垢」は、よりディープな情報発信の場として話題。この連載では、ライターひらりささんがいま気になるTwitterコスメ垢にインタビュー。彼女たちのおすすめアイテムや美容愛、さらには人生までをも覗き見ます。

同人サークル「劇団雌猫」所属の美容オタクライターひらりささんが、いま気になるTwitterコスメ垢の実態を探る連載「コスメ垢の履歴書」

今回は、ビューティモデルとして活動しながら、カラーコスメとオタクコンテンツを絡めた「推しカラーメイク」を提案する、さきのさん(@teammusashin0)にインタビューしました。

推しカラーメイクのきっかけは『刀剣乱舞』

――カラフルなコスメをうまく活かすメイクを提案しているさきのさん。Twitterアカウントはいつはじめたんですか?

2019年5月ですね。アカウント自体は以前からあったんですが、自分の壁打ち用の非公開アカウントだったんです。でも、ちょうど令和になったタイミングで「コスメやメイクの発信をしたいな」と思いまして。それでコスメアカウントとして始動しました。

ちなみにアカウントID「@teammusashin0」は、漫画『ホイッスル!』に出てくる武蔵野森学園という学校の名前が由来です(笑)。オタクなので……。

――コスメ全然関係ない!(笑) 「カラー」を意識したメイクを探求しはじめたのは、いつだったんですか?

私、『刀剣乱舞』が大好きなんですけど、2016年に公式が「刀剣乱舞-ONLINE-アイシャドウ」というキャライメージコスメを発売したんですよ。

みんな盛り上がって買っていたのですが、二次元キャラクターの衣装や髪色にあわせたアイシャドウなので、「こんなの誰が使うの?」という組み合わせのカラーパターンもあって(笑)。赤や黄色に対して、「どうする?」と戸惑っている声をSNSで見かけて、自分なりにあわせ方を提案した文章を、当時モデルとしてやっていたブログに載せたんですね。

「カラーアイテムのうまい使い方がわからない」というのは、自分も経験してきたことだったので、それがたくさんの人に喜んでもらえたのがうれしくて、そこからさらに追求するようになりました。

――だから今、Twitterで継続的に発信するようになったと。私はコスメアカウントのスタート初期から見ていたんですが、本当にフォロワーが増えましたよね。更新頻度も上がってるような。

キャラクターのカラーにあわせたメイクを提案する「推しカラーメイク」は、もう数十パターンは考えましたね。自分の知ってる範囲だけでやっていると行き詰まるので、マシュマロ(匿名でメッセージが送れるサービス)でフォロワーさんからのリクエストも受け付けてます。

――『鬼滅の刃』のキャラクターから、アイドルグループ「BOYS AND MEN」のメンバーまで……。トリッキーな色でも、こんな風に合わせると馴染んでる! といつも感動してます。自分が知らないキャラクターのリクエストがきたときはどうしてるんですか?

ちゃんと原作を読んだりキャラソンを聴いたりして勉強します! それで知らなかった作品に出会えるのもいいですよね。

――さすがオタク……! 今まで提案した推しカラーメイクでお気に入りはありますか?

『ヒプノシスマイク』観音坂独歩のメイクですね! 赤のアイシャドウって腫れぼったくなりやすくて塗り拡げるのが難しいんですが、このメイクはわりとバランスがとれたな~と感じています。あとは単純に独歩感がちゃんと出たかな、と(笑)。

――いつもアイデアは一発で浮かぶんですか?

いや、結構悩んでますよ〜。色と色が喧嘩しないようにするのが難しくて……。3~4回塗り直すときもあります。Twitterに投稿したあとでも「もっとかわいくできたなあ」と反省するときもありますし。写真をどう撮ったら綺麗か、どういう角度が見やすいかの正解もまだわからない……。

――今はどうやって加工してるんですか?

目もとは「BeautyPlus」という写真アプリで撮って、iPhoneの写真加工機能と「BeautyCam」という加工アプリを使って色の調整をしています。コスメ名の文字入れは「PicsArt」ですね。まだ試行錯誤中です! あと、自撮りが本当に恥ずかしいんですよ……。

――モデルなのに!(笑)

自分では普段ほとんど写真を撮らないんです。Instagramとかも超苦手で(笑)。

――さきのさんは、目元や口元などのパーツ部分だけじゃなく、“全顔”(顔全体のこと)のメイク写真を載せているのが印象的です。

ほかのコスメアカウントのメイク写真を見ていても、「たしかにこのメイクかわいく見えるけど、全顔だとどういう雰囲気になるんだろう」というのが気になっていたんですよ。

カラーメイクだからこそ、「全顔だとこう見えるよ」があるほうが情報としていいだろうなと思って。実際そこを喜んでくれる方もいますし、毎回恥ずかしいんだけど、頑張ってます。

――Twitterアカウントで、これからやってみたいことはありますか?

今までは特定のキャラクターにあわせたコンセプトメイクの提案が多かったですけど、「赤を使いたい人はこれ」という感じで、ワンカラーの「推しカラーメイク」をもっと編み出していきたいんですよね。赤のペンライトを振るみたいに、赤いイメージカラーの推しがいる人みんなが使えるようなメイクを。

ありがたいことに、最近はとあるウェブメディアさんで「推しカラーメイク」を提案する記事の監修もさせてもらいました。

――アカウントを運営していてうれしいのはどんなときですか?

「私も(推しカラーメイクを)やってみました!」「現場にしていきました!」という感想をもらえるとうれしくなります。

SUQQUは、カラーコスメ好きにはたまらない

――そういえば、さきのさんはいつからオタクなんですか?

えっと、気づいたら……(笑)。

――ですよね(笑)。じゃあ、モデルになったのは?

モデルの仕事に興味を持ったのは、大学生のころです。実は姉がヘアメイクの仕事をしているんですが、当時彼女が専門学校に通っていて、私を練習台にしていたんですね。

そのうち姉の周囲のヘアメイク見習いの人たちにも呼び出されるようになって、「ビューティモデルっておもしろそうだな」と思うようになり、事務所に入りました。

今も仕事現場に行くと、メイクさんの広げているアイテムを見て、あれこれ聞いて盛り上がるのが楽しいです。

――メイクをされるお仕事ということは、仕事現場にはメイクをしていかない?

そうなんですよ! すっぴんでマスクして出かけます(笑)。自分でメイクするのは、友達と出かける用事とか、オタク活動のあるときですね。

でもカラーアイテムを集めていくのが好きなので、デパコス・ドラコス問わず、月2万円くらいは出費してるかなあ。海外のハイブランドよりも内資系ブランドのものをよく買ってます。きらびやかさとかじゃなくて、「マッチする」ものを求めているので、結果として内資系を選んじゃうのかも。

最近はRMKとSUQQUをよく買います。SUQQUは本当に綺麗に、見たままに発色するので、カラーコスメ好きとしてはたまらないです。マット系だとヴィセのシングルアイシャドウとかも使い勝手がいいです。

――このあたりで、メイクポーチを見せてもらってもいいでしょうか?

はい!

ポーチ右隣から時計回りに
・GODIVA カードミラー
・3色ボールペン
・CLINIQUE クリームシェイパー フォー アイ 105
・オロナイン
・SHIRO オードパルファン スパイス オブ ライフ
・ロートCキューブ クール
・GUCCI Rouge à Lèvres Satin
・OPERA リップティントN 01
・COFFRET D?OR ブライトアップコンシーラー
・ettusais リップエッセンス ディープモイスト
・Float イージーヘアバー

――コンパクトなアイテムばかり! ってか、3色ボールペンも入れてるんですね。

写真には載せられないですけど、鍵も入れてますよ(笑)。もはやメイクポーチというより、小物入れ……。

ファンデーションは持ち歩かず化粧直しはコンシーラーで済ませてしまい、芯がやわらかいクリニークのアイライナーをぼかしてアイシャドウと眉を直すのにも使ってます。

口紅だけは何種類か持ってます。私、唇めちゃくちゃ弱くて、すぐ皮がむけちゃうんですが、ettusaisのリップエッセンス ディープモイストは、人によってはベタベタしすぎて苦手かも? というくらい潤いを与えてくれるので、ずっと重宝してます。その上にOPERAのティントを下地代わりに塗って、そこにGUCCIを重ねるのが最近のセオリーです。

あとは基本的に、身だしなみをケアするアイテムですね。このヘアバーはアホ毛をどうにかしてくれるのですっごく便利!

――モデルとしての、美容の基本はなんですか?

睡眠は本当に大事! 重要なオーディションの前などは、絶対に7時間以上寝るようにしています。あと食事。この2つでもどうにもならないくらいホルモンバランスが崩れているときは、漢方をもらいに行きます。

――美容は1日にしてならず……ですね。コスメやメイクと出会って、さきのさんの人生は変わったでしょうか。

変わりましたね。モデルになったきっかけもファッションではなくコスメだし、監修記事などでお仕事の幅を広げてくれたのもコスメ。

できるだけ長くビューティモデルをしていきたいとは思っていますが、年齢を経て広がっていく仕事というわけではないので……。メイクの知識や、そのほかに持っている美容系の資格や、いろいろなことを組み合わせて活かしていきたいなと思ってます!

コスメ垢「さきの」さんの履歴書

(取材・文:ひらりさ、編集:高橋千里/マイナビウーマン編集部)

※写真のコスメはすべて本人私物です

『だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査』劇団雌猫

劇団雌猫の大人気同人誌『悪友DX 美意識』のグレードアップバージョン。化粧、ダイエット、エステ、整形、ロリータ、パーソナルカラー診断、育乳……。さまざまなジャンルのおしゃれに心を奪われた女性たちが、ファッション・コスメへの思い入れや、自身の美意識をつまびらかに綴り、それぞれが「おしゃれする理由」を解き明かす匿名エッセイ集。

※この記事は2020年02月22日に公開されたものです

ひらりさ

1989年生まれ、東京都出身。ライター・編集者。女性・お金・BLなどに関わるインタビュー記事やコラムを手掛けるほか、オタク女性4人によるサークル「劇団雌猫」のメンバーとしても活動。主な編著書に『浪費図鑑』(小学館)、『だから私はメイクする』(柏書房)など。

ブログ:It all depends on the liver.
Twitter:@sarirahira

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