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歌舞伎町女子のトレンドを観察。佐々木チワワさんの場合

#コスメアカの履歴書

ひらりさ

コスメを偏愛するコスメオタクが増えている。中でもTwitterの「コスメ垢」は、よりディープな情報発信の場として話題。この連載では「劇団雌猫」所属のライターひらりささんが、今気になるTwitterコスメ垢にインタビュー。おすすめアイテムや美容愛、さらには人生までをも覗き見ます。

取材・文:ひらりさ
編集:照井絵梨奈/マイナビウーマン編集部

同人サークル「劇団雌猫」所属の美容オタクライターひらりささんが、今気になるTwitterコスメアカの実態を探る連載「コスメアカの履歴書(https://woman.mynavi.jp/tag/rensai_cosme-account/)」。

今回は、佐々木チワワさん(@chiwawa_sasaki)にインタビューしました。

――女子大生ライターとして活躍している佐々木チワワさん。歌舞伎町の社会学を研究し、『週刊SPA!』などで連載を持っています。ライター活動はいつ始めたのでしょうか?

今21歳なんですけど、15歳の頃ですね。親がどちらもクリエイティブ系の仕事についていたので、子供の頃から「自分で作品を作る」ことに関心があったんです。動画とか漫画って選択肢もありますけど、自分にはハードルが高かったので、ライターを選びました。初期は「恋人と行きたいデートスポット3選!」みたいな記事を書いてました(笑)。今の名義で外部に文章を発表し出したのは、2020年末とかですね。

――歌舞伎町に通うようになったのはいつ頃なんでしょうか?

15歳の冬にはもう歌舞伎町にいましたね。高校生の時からライターの名前で活動することが多く、自分をずっとコンテンツにして生きていたんです。学校も仕事も、何か失敗したら次の日気まずいじゃないですか。でも歌舞伎町って、ゼロベースで人間関係が築ける。息抜きとして通い出しました。それがいつの間にかお金を使うようになっていましたが……(笑)。

――ライター歴も歌舞伎町歴ももう6年近いんですね。歌舞伎町を見ていて、女子のメイクに変化はありましたか?

今は本当に、「ぴえんメイク」ですよね。かわいいの上塗り。本来の素材を生かすのではなく上から塗りたくるイメージ。真っ黒で大きいカラコンに、平行眉。ただ、歌舞伎町で働いているような女の子に関しては、お店の雰囲気によってもメイクが違います。出勤するときはすっぴんで、お店に合わせたメイクをするという人が多いかなと。みんなあまりデパコスは使ってなくて、一日中接客してても落ちないか、ヨレないかを重視しています。

――チワワさん自身も、もっと「ぴえん」系なのかなと思ってました。

Twitterから私を知った人からはそう言われますねー。今日は取材というのもあって、落ち着いたトーンのスポーティな服装でまとめてきましたが、もっと「ぴえん」な時もありますよ。

ウィッグを5〜6個持っていて、その日のイメージに合わせて使い回してます。長い銀髪とか、ピンクのストレートとか。ロングのウィッグをツインテールにしたらもう「ぴえん」ですね。印象変えたいなら、メイクを工夫するよりも髪を変えちゃお! みたいなスタンスです。最近はZoomでの取材や打ち合わせも多いので、顔はマスクしちゃって目だけ出してるし。

――TPOをかなり意識してるんですね。

そうですね。男性しかいない職場に行く時は、あえてラフにして、メイクもそれを踏まえた落ち着いたものにしたりとか。大学行くと友達から、「今日はチワワちゃんの日? (本名)ちゃんの日?」と聞かれて、「3対7かな〜」なんて答えたりしてます。

――チワワさんがメイクに目覚めたのはいつなんですか?

母親が化粧品関連の企業に勤めていたので、結構早くから教えてもらっていました。「まず基礎化粧品! スキンケア!」というのを叩き込まれて育ちました。

アイテムだと、Diorが一番多いかな。ファンデーションもDiorを2年使ってます。あと、母親がクレ・ド・ポー ボーテ好きなので、借りたり(笑)。

――この連載で10代の頃メイクの参考にしていたものを聞くと、「雑誌」と答える人が多いんですよ。チワワさんの世代だとどうでしょうか?

私も中学生の頃は「SEVENTEEN」を読んでましたよ。高校の時は原宿に通っていたので、そのトレンドも参考にしてました。ただ通っていたのが、偏差値高めのイモ高校で。私一人だけ金髪だったんですけど、私も金髪なのにスッピンとか(笑)。

今は美容アカを持っている友達におすすめを聞いたりとか、アイシャドウやリップは友達に誕生日プレゼントでもらったものを使ったりとかしてます。

――コスメはどれくらいの頻度で買いますか?

うーん、スタメンが固定化しているので、あんまり新しいコスメを買うことがないですね。友達にプレゼントする時はスキンケアが多いです。リップやアイシャドウは似合う似合わないがあるし……。あ、ホストには、メンズ用化粧水やマウスウォッシュを渡すことがあります

――歌舞伎町といえばすぐそばに新大久保がありますが、チワワさんはあまり行かないですか?

行かないし、あまり韓国コスメも使わないですね。でも、韓国メイク自体は歌舞伎町でも流行ってますよ。ホストは結構韓国メイクしてますね。整形のトレンドもBTSとか、韓国のアイドルグループの顔に寄せるようになってるんです。それでK-POPオタクの客が流れてきているとも聞いたことがあります。

――そういえば、ホストほど美意識の高い職業もないですよね。担当の好みに合わせてメイクを変えることもありますか?

そうですね。普通の男性に比べて、こちらのお洒落に気づいてくれるので、お洒落しがいはあるかもしれないです。ただ、ホストに通ってる子は、担当には10万円使いたいけど、自分のデパコスには5000円使うのも惜しい……という思考じゃないかな(笑)。

――この辺りで、チワワさんのポーチを見せてください。

・セザンヌ 皮脂テカリ防止下地
・Dior ディオールバックステージ フェイス&ボディ ファンデーション
・CHANEL ボーム エサンシエル
・CHANEL ルージュ ココ
・Dior サンク クルール クチュール
・キャンメイク グロウフルールチークス
・キャンメイク シェーディングパウダー
・YSL アイライナー エフォシル
・YSL マスカラ ヴォリューム エフォシル WP
・ヴィセ インスタント アイブロウ カラー
・Dior ルージュ ディオール フォーエヴァー リキッド

こんな感じです! チークが割れちゃってるんですけど(※写真は再購入したもの)、夏の火照りでなんとかなるかなって思ってます(笑)。

――若さがある(笑)。

自宅のコスメディスプレイには結構こだわってて。ブラシもたくさん持ってます。

――歌舞伎町に行くと、長時間になりますよね。お直しはするんですか?

朝、シーシャ屋に向かう時はほぼすっぴんでマスクしたりとか、かなりラフです。ホストクラブ行ったら急いでトイレに駆け込んでメイクして、担当と会うみたいな流れですね。

――今はすごく推している担当がいるわけではないと聞きました。ホストクラブにはどんなときに行くんでしょうか?

仕事でよく新宿に出てくるので、1時間空いたらパッと行くとか、そんな感じです。いくら使わなきゃいけないといったプレッシャーが無くて気楽ですね。最近はホストクラブからゴールデン街という流れがデフォルトになってます。サブカル系の編集さんがいるので。

あとは最近、ホストクラブに男友達を連れて行くのにハマってます。女だけで行くと、放課後の教室(有料)……みたいなノリなんですけど、男友達を連れて行くとちゃんと接客してくれるんですよ〜。もはやスターバックス感覚でホストクラブに行っていますね。伊勢丹に行ってコスメ見るのと同じ。「あのコスメ可愛かったね」みたいな感覚で一緒にホスト見て帰ると、友達と共通の話題ができるんですよ。高額ですが。

――現在、学部生のチワワさんですが、この後は大学院へ?

そのつもりでいます。今は社会学のゼミと、経営・組織論のゼミに所属しているんですが、ホストクラブにおける組織マネジメントや、スター社員システムの研究を進めています。そこで経営層の方と仲良くさせていただいているのもあって、チワワとして名が通ってしまい「初回指名です!」ができないのが悩みですね(笑)。

――歌舞伎町と人生が切っても切り離せない関係となったチワワさん。この連載ではいつも「メイクで人生変わりましたか?」という質問をしているのですが……。

それでいうと、私の人生、メイクで変わってますよ。中高生の頃は、自分の顔が本当に嫌いで。ずっとマスクしてて、マスクでマラソン大会出るくらい嫌いだったんです。でも、メイクができるようになってだいぶ軽くなりましたし、歌舞伎町はわかりやすくルッキズム社会なので、それが逆に楽だったり。ホストクラブ行くからその前に美容院行こう〜とかも楽しいです。しばらくは、自分の女の子らしい部分を伸ばすメイクをしていきたいなと思ってます。

――ありがとうございました!

コスメアカ「佐々木チワワ」さんの履歴書

※写真のコスメはすべて本人私物です

INFORMATION

『だから私はメイクする』漫画:シバタヒカリ、原案:劇団雌猫

『浪費図鑑』の劇団雌猫が贈る話題書をコミック化!

メイク道を爆進するうちにあだ名が「マリー・アントワネット」になった女、“推しネイル?にハマって猛練習する女、仕事場での“アドバイス?にうんざりしている女など、メイクを通して見えてくる、「社会」や「自意識」と戦う女たちの悲喜こもごも。

「自分がどうありたいか」と向き合う、共感必至のオムニバス・ストーリー!

※この記事は2021年09月18日に公開されたものです

ひらりさ

1989年生まれ、東京都出身。ライター・編集者。女性・お金・BLなどに関わるインタビュー記事やコラムを手掛けるほか、オタク女性4人によるサークル「劇団雌猫」のメンバーとしても活動。主な編著書に『浪費図鑑』(小学館)、『だから私はメイクする』(柏書房)など。

ブログ:It all depends on the liver.
Twitter:@sarirahira

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