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好きなものに囲まれて生きる。「余生」を楽しむNomiさんの場合 #コスメ垢の履歴書

#コスメアカの履歴書

ひらりさ

コスメを偏愛する「コスメオタク」が増えている。中でもTwitterの「コスメ垢」は、よりディープな情報発信の場として話題。この連載では、ライターひらりささんがいま気になるTwitterコスメ垢にインタビュー。彼女たちのおすすめアイテムや美容愛、さらには人生までをも覗き見ます。

取材・文:ひらりさ、編集:高橋千里/マイナビウーマン編集部

同人サークル「劇団雌猫」所属の美容オタクライターひらりささんが、いま気になるTwitterコスメ垢の実態を探る連載「コスメ垢の履歴書」

今回は、Twitterでおしゃれなコスメやお店などを紹介しているNomiさん(@momo_ooa)にインタビューしました。

Twitterは出戻り組。「ここでならツイートしたい」

——まだ誰も知らないようなおしゃれなお店や、誰かにあげたくなるようなコスメを日々ツイートし続けているNomiさん。アカウントはいつ始めたのでしょうか?

アカウントは2016年8月からあります。その前も、実名アカウントを日本版Twitterが立ち上がった時期から運用していました。とある雑貨屋でバイヤーや商品企画をやっていて、その情報収集をしていたんです。

でも、当時はまだ「かわいいもの見つけた!」系ツイートって敬遠されていたんですよ。

——そうなんですか⁉

実名で、社内の年上女性たちとつながっていたのもあるかもしれません。その後、Twitter自体から離れていた時期もあったのですが、ふと久しぶりにTwitterを見たら、空気がマイルドになっていて、「自分の好き」が肯定されるような雰囲気へと変わっていたので、また戻ってきました。

——Nomiという名前は今のアカウントを作ってからずっと使っているんですか?

そうです。アイコンも変えないようにしてますね。このキャラクターでしっかりと覚えてもらうために。

——コスメの話もツイートするようになったのはいつごろからでしょうか?

最初から、おしゃれでキュートなものを紹介するという方針は変わってなくて、その一つとしてコスメのこともツイートし始めました。

ただ、それに注目してもらえるようになったのは、2018年の初めでしょうか。韓国コスメの「3CE」が流行っていた時期で、ムードレシピシリーズの「テラコッタリップ」のことをツイートしたら拡散されたんですよね。

——「テラコッタリップ」、はやってましたよね!

「かわいいは鈍器」さん(@arekorekawaii)などの有名アカウントにRTされて急激にフォロワーが増えました。趣味でフィギュアスケートを追いかけており、海外、特に韓国遠征に行くことも多いので、韓国コスメにはずっと注目してます。3CE、オピュ、hinceなどの新作を、よく現地で買います。

綺麗なものへの関心は「母の影響」

——Nomiさんが、コスメ自体を好きになったのはいつでしょうか。

自分でちゃんと選んで買うようになったのは、イメージコンサルタントの診断を受けて、パーソナルカラーや骨格タイプが分かってからですね。百貨店とサロンとで2回受けたのですが、どちらでもパーソナルカラーが「イエローベース秋」で。

——それまではあまりコスメを買ってませんでしたか?

実はあまりこだわりはなかったですね。母親の年齢が近くて、母親のものを共用している時期が長かったんです。

母親が、コンセプトウェディングのプランナーをやっていたので、かわいいものやきれいなものへの関心も、母親と一緒にいるうちに生まれました。小さい頃から美術館などに連れて行ってもらったり、大人に混ざってセンスの良いものを見せてもらったり……。

——素敵なお母さんですね!

まだみんなの知らないものを世の中に出していく、ということには小さい頃から関心があって、それで雑貨屋に就職したのはあります。

かわいいな〜と思うものを探して買い付けるだけでなく、自分で企画して製造する仕事もやってたんです。作ってくれる工場を探すところから、キャッチコピーを考えるところまで。

——じゃあNomiさんが今Twitterでいろいろなものを紹介しているのも、そのときのお仕事が活かされてる部分もあるわけですね。

そうですね、自分にとってはすごく自然な行為です。

——Nomiさんは海外のおしゃれなアイテムもよくツイートされてますよね。どうやって探すんでしょうか?

Instagram でひたすら探します。日本語で探しても、もう既にいろいろな人が紹介してしまっているものも多いので、現地の言葉で、現地の人が使ってるハッシュタグなどで検索します。人気の投稿から見るのではなく、新着順で投稿を見ていくのも大事です。

——印象的なところだと、韓国・梨泰院の靴下屋さん「MSMR」の紹介ツイートがとても拡散されていました。私も知っていて、自分でも行ったんですが、Nomiさんの取り上げ方は本当に上手だな〜と思いました。

MSMRは「みんなに知れ渡る前に紹介したい!」と思って、ちょっと遠い場所にありますけど、頑張って行きました(笑)。「こういうツイートをするアカウントだよ」ということが分かりやすいように、トップに固定しています。

——どの投稿も本当にお写真が素晴らしいなと思うのですが、これらはiPhoneで撮ってるんですか?

ほとんどiPhoneですね。撮影はカメラアプリの「Foodie」を使っています。大切にしているのは、場所の色味です。

大衆居酒屋ならポップな感じ、とか、白を鮮やかに見せたいな、とかで、Foodieで使うフィルターを変えますね。基本は「YU 1」を使っていて、レトロにしたいときは「YU 4」、はかなげにしたければ「SS4」という感じです。そこから加工アプリ「VSCO」でさらに思うイメージの色合いに寄せていきます。

——アカウント運営の姿勢に筋が通ってるなと思うのですが、こだわってる点はありますか?

「RTをしない」ことですね。自分のツイートだけをタイムラインに置くことで、アカウントに統一感を出しています。あと、PR案件は絶対受けないですね。そういう投稿が混ざってしまうと、どうしてもアカウントの信頼度が落ちてしまう気がして……。

——言われてみれば!  勉強になります。

イメコンとTwitterのおかげでポジティブに

――この辺りでコスメポーチを見せてもらってもいいでしょうか。

はい。こちらです。

ポーチ右から時計回りに
・WHOMEE ブレンドチークカラー サンフラワー
・NOSE SHOP ミニフレグランス
・Dr.Pepti ペプチド ボリューム エッセンス パクト
・M·A·C ミネラライズ スキンフィニッシュ
・Peripera インク エアリー ベルベット スティック 05
・shu uemura ルージュ アンリミテッド マット G M OR 551
・中国で買ったリップグロス

——ポーチ、すごく小さいですね!

カバンが小さいので。朝フルメイクをして、出かけてから直すのは、基本はリップとチークだけですね。リップは多めに持って行って予定に合わせて変えています。

あと個人的な必須アイテムが、NOSE SHOPで売ってるミニフレグランス。ガチャガチャで700円で手に入るのですが、持ち運びに便利なのでこれも複数持ち歩き、気分で選んでいます。女同士でクリスマス会をやったときにも、NOSE SHOPのルームフレグランスをプレゼントにしました。

——Nomiさん、人にあげるもののセンスも抜群だなと思ってました。コスメをプレゼントすることもありますか?

あります〜。プレゼントにする品を買うときは、伊勢丹新宿店の地下2階にある「ビューティーアポセカリー」がおすすめです。

世界のさまざまな、オーガニックコスメ・ビューティー・スキンケアアイテムが置いてあるのですが、ビジュアルがかわいくてあまり知られていないブランドのものが多く、重宝しています。

——ちなみにフィギュアスケート観戦が趣味ということですが、推しにコスメをプレゼントすることも?

実は私、女子バレーボールも応援してまして、どちらかというとそちらの推しにコスメを贈ってます(笑)。SUQQUが好きというのを明言している子なので、それをあげたり、hinceや中華コスメをプレゼントしたことも。まだ推しが使ったことのなさそうなアイテムをあげるのも楽しいです。

——オタク活動にもちゃんとNomiさんの美意識が生きているんですね。最後に、コスメにハマって、人生変わったと思いますか?

思ってます! やはりイメコン(イメージコンサルタント)は大きかったです。

元々は茶色やオレンジが好きで、人からプレゼントをいただくときもその色が多いんですよ。「イエローベース秋」だと分かってから、服でもコスメでも、自分が選んでいるものは自分に合っていたんだな、とすごく肯定された気分になり、自信につながりました。

実際、ポジティブになって、他人からの否定を気にしないようになったんです。ポジティブなコスメアカウントの人たちを見ているうちに……というのもあるかもしれないですね。

——イメコンと、Twitterのおかげですね。

私ってものすごい人見知りで、ネイルサロンに行くのすら怖くてセルフネイルをしているくらいなんですよ。ZARAで服を買うのも好きなんですが、やはりレジで店員さんと話すのが憂うつで、もっぱらオンラインで買っているくらいで……。

でも今のTwitterだと、気の合う女たちとの出会いがあって、それがとてもうれしいんです。人生とても楽しいですね。自分の好きなことを突き通して続けているからこそだなと思っています。

——今後やりたいこととかはありますか?

現在は出版社で働いているので、趣味に関わる企画を提案していけたらいいなとは思っています。でも基本的に、やりたいことは全部やれていると感じますね。

今の私はもはや「余生」なんです。こう言うと批判されることもあるんですが、自分が選んだ好きなことをしながら気楽に生きるのも一つの選択肢だなと思ってます。

コスメ垢「Nomi」さんの履歴書

※写真のコスメはすべて本人私物です

『だから私はメイクする』漫画:シバタヒカリ、原案:劇団雌猫

『浪費図鑑』の劇団雌猫が贈る話題書をコミック化!

メイク道を爆進するうちにあだ名が「マリー・アントワネット」になった女、“推しネイル?にハマって猛練習する女、仕事場での“アドバイス?にうんざりしている女など、メイクを通して見えてくる、「社会」や「自意識」と戦う女たちの悲喜こもごも。

「自分がどうありたいか」と向き合う、共感必至のオムニバス・ストーリー!

※この記事は2020年03月21日に公開されたものです

ひらりさ

1989年生まれ、東京都出身。ライター・編集者。女性・お金・BLなどに関わるインタビュー記事やコラムを手掛けるほか、オタク女性4人によるサークル「劇団雌猫」のメンバーとしても活動。主な編著書に『浪費図鑑』(小学館)、『だから私はメイクする』(柏書房)など。

ブログ:It all depends on the liver.
Twitter:@sarirahira

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