誰にも会いたくない……原因と対処法10個
急にやる気が起きなくなって、「もう誰にも会いたくないし、話したくない」なんて思ってしまうことはありませんか? この記事では、人に会いたくないという気持ちになってしまう原因や対処法について、心理カウンセラー・笹氣健治さんに解説してもらいました。
今の仕事に就いて数年が経ち、たいていの業務はひとりでこなせるようになった。
新人や後輩の面倒を見るようなったり、時には責任が伴う重要な案件を任されたりすることもあったり、まさに脂の乗った状態でがんばって毎日を過ごしていた。
なのに、なぜかある日突然モチベーションがダウンして、何もかもやる気が起きなくなってしまって……。
そんな経験がある人は少なからずいると思います。
会社に行くのもおっくうで、家のことも何もする気になれず、誰にも会いたくないとすら思ってしまう無気力状態。
実は、一生懸命がんばっている人ほど、こういう状態に陥る危険性が高いのです。
いったいどうしてこういうことが起こるのでしょうか?
もしそうなってしまったら、どうすれば回復できるのでしょうか?
今回は、心理カウンセラー・笹氣健治が、急に無気力になって誰にも会いたくないと思ってしまったときの対処法をご紹介します。
誰にも会いたくないと思う私って変?
いろいろな仕事を任されるようになると、やりがいが増す半面、ストレスを感じる機会も多くなっていきます。
すると、ネガティブな感情を頻繁に生じるようになり、心身が疲弊して精神的ダメージが蓄積していきます。
そんな中でも無理してがんばり続けていると、誰にも会いたくなくなるほどの無気力状態に陥ってしまうことはあり得ることなので、あなたが変なのではありません。
生きていればいろんな出来事があります。
仕事もプライベートもうまくいって気力が充実しているときもあれば、思い通りにうまくいかないことが続いてふさぎ込むときもあるでしょう。
普通は、モチベーションがダウンしたとしても、時間が経てば自然にまた元のやる気のある状態に戻ります。
私たち人間に備わっている自然治癒力のおかげです。
ところがまれに、なかなか元に戻らないときがあります。
自然治癒力でも回復に時間がかかるほど精神的に大きなダメージを抱えているときです。
大きなダメージは、非常にショッキングな出来事によって急激に受ける場合と、日々のつらい出来事が積もり積もってもたらされる場合があります。
特に後者は、自分では「まだまだ大丈夫、がんばれる」と思っていたのに、実際には限界ギリギリの状態になっていて、張りつめていた糸が最後のダメ押しによってプツンと切れるように、ある日突然やってきます。
そうなってしまうと、やる気がまったく起きなくなり、「会社にも行きたくない」「誰にも会いたくない」「何もかも面倒くさい」という気分になります。
これは、脳が自分の体を守るために活動の継続を強制終了したのだと考えられます。
「もうこれ以上は無理だから、いったんがんばるのはやめなさい」と脳が判断したのです。
いわゆる“燃え尽き”と呼ばれる状態であり、重いときには回復に数日から数カ月を要する場合もあります。
そこまで重症でなくても、やらなきゃいけないことがあるのになぜかやる気が起きないと思う日が定期的にあるとしたら、注意が必要です。
燃え尽き予備軍と考えられるからです。
燃え尽きやすい人は、有能で、責任感が強く、がんばり屋な方だといわれています。
そういう人ほど自分の限界ギリギリまでついがんばり続けてしまうので、心身の疲弊によるダメージが蓄積しやすいのです。
がんばりすぎてつぶれてしまっては元も子もありません。
適度にがんばるよう調整することも必要になってきます。
誰にも会いたくないと思ってしまう原因とは?
「誰にも会いたくない」「何もかもやる気になれない」……。
そんな無気力状態になってしまうのには、さまざまな理由があります。
どういうときに人に会いたくない無気力状態になってしまうのか、代表的な5つの原因について説明しましょう。
(1)評価が得られていない
一生懸命仕事をしているのに、それに見合った報酬をもらっていない。
こんなにがんばっているのに、努力や結果をちっとも認めてもらえない。
このように、自分の努力が評価されず、がんばりが認められない状況が続くと、「なんかもうどうでもよくなってきちゃった……」と情熱が失せてしまって、気力が保てなくなっていきます。
(2)批判的な人がいる
仕事のあら探しをしてくる上司。何かとクレームをつけてくる顧客。
相談すると「だからあなたはダメなのよ」とひとこと否定的なコメントを付け加える家族や友人。
このような批判的な言葉を発する人に常に囲まれていると、次第に「私はダメな人間だ」と考えるようになってしまい、「私には無理なんじゃないだろうか」と無気力になっていきます。
批判され続けることがつらく、人を避けるようになるのです。
(3)終わりのない仕事
一向に終わらない作業。途切れない客の列。
このように終わりが見えない仕事をしているときは、やる気を維持するのが困難になります。
やってもやっても終わらない。今日もまた同じ作業の繰り返し。
こんな状況では達成感や充実感を得られることがないので、やる気が維持できなくなって当然。
やがて、「なんか、疲れちゃったな……」と無力感を感じ、自分の殻に閉じこもりがちになります。
(4)何をやってもうまくいかない
仕事でミスが続いた。プライベートでも人間関係で悩んでいる。
やることなすことうまくいかない。いいことなんて何もない。
この暗く長いトンネルに出口はあるのだろうか……?
このように、将来に明るい希望を持てなくなるような状態が続くと、どうしてもモチベーションを保ち続けるのは難しくなります。
「もう無理。これ以上はがんばれない」と自暴自棄になって、やる気を保てなくなります。
そして、人と会う気力も持てなくなるのです。
(5)仕事や人生の目的が見出せない
私たちは自分の仕事や人生に何らかの意味を見出そうとするものです。
自分がやっていることの重要性を感じることで、モチベーションがわいてくるのです。
ところが、仕事に慣れて当たり前のようにこなせるようになってくると、ふと「私がやっている仕事は、社会で本当に必要とされていることなんだろうか?」「私なんていてもいなくても同じなんじゃないだろうか?」といったような疑問が生じることがあります。
その疑問が頭を離れなくなると、すべてがむなしく感じてしまうようになり、何もやる気になれなくなってしまうため、人と会うことにも意味を見出せません。
▶次のページでは、誰にも会いたくないときの対処法を紹介します。