仕事や恋愛において勇気が必要とされる場面で、早く行動に移せる人っていますよね。
近頃は、成功した起業家の体験本や自己啓発本でも「素早い決断と行動力が成功法則である」という内容のものも多いため、それらを読んで自分の行動スピードがますますコンプレックスになっているといったお悩みも増えてきました。
今回は、行動できない心理を分析し、さらに行動する勇気を持つ方法を解説します。
■行動する勇気が出ないのはなぜ?
人間には怖いものが2つあります。
ひとつは「死」ですが、もうひとつはわかりますか?
実は「変化」なのです。
これはさらに掘り下げると「現状で生きているのだから、変化をしなければそのまま生きていける」という死への防御反応が変化を怖がるという心の正体になります。
つまり、行動に移す勇気がない人は、生への執着が強い心理状態だといえます。よく「人間死ぬ気になればなんだってできる」といいますが、それは真理です。
◇行動が「遅い人」と「早い人」のちがいは“努力”
行動に移すのが早い人は、その前段階としての決断も早いです。
前述したように、基本的に人間は変化を恐れる生き物ですので、命の危険がない社会では、思考力を働かせれば働かせるほど基本的には動けなくなります。
行動が早い人の中には、動物的な勘だけで決断から行動を素早くできる人もいますが、逆に人間が本来変化を恐れるということを知っているからこそ、意識して決断と行動を早めに取るようにしている人が多いのも確かです。
行動に移すのが早い人は、一見すると何も考えていないタイプと思われがちですが、そうではなくて、「考えすぎると動けなくなる」という習性を知っているからこそ、行動する決断力と行動力が衰えないように常に意識しています。
行動力というのは努力して維持していく要素が大きいのです。
■行動に移すまでに時間がかかる人はどうすれば?
ここまで読んで「でも自分にはそんな努力は無理そうだし、がんばれと言われても自信がない」と思われた人もいらっしゃると思います。
では、そもそもすぐに行動できないことはダメなことなのでしょうか? ここからは、行動に移すまでに時間がかかる人へのメッセージです。
◇「すぐ行動できない=ダメ」じゃない
まず、前半までで何度かお伝えしているように、変化を恐れるのは「危険回避能力」という人間が本能として持っている能力。まずは、行動に移せないことが劣っているのではない、ということを認識しましょう。
また、怖がりの度合いというのは遺伝的なものと幼少期の成育歴といった本人の努力以外の要素が高いのも事実です。
したがって、すぐに行動に移せない自分を努力が足りないと短絡的に責めることもやめましょう。
まずは自分の性質を客観的にみつめて「個性」として受け入れていくこと。自己受容し自己肯定する気持ちがもっとも大切なことです。
◇行動に移すための5つのコツ
「行動に移せない=ダメ」という認識を捨てたうえで、あなたが少しの積極性を持てる方法を紐解いていきましょう。
☆(1)行動した場合のメリットだけを書いてみる
たとえば「このまま今の彼と付き合うべきか否か」といった判断などは、メリットとデメリットを両方書き出して客観的に見ることが有効です。
しかし、行動に移せない人がこのやり方をすると、デメリットばかりを書き出してしまい、余計動けなくなる危険が高まるリスクも。メリットのみを書き出すようにしてください。
☆(2)行動した場合の明るい場面を想像する
怖がっているときというのは行動した際に起こりうるネガティブな想像をしてしまっているから。
こうした自動思考はイメージトレーニングで修正していきます。変化した場合に起こりうる明るい場面を想像すること。何度も繰り返して想像することがポイントです。
☆(3)行動しなかった場合の暗い未来を想像する
(2)で「行動した場合の明るい場面を想像する」と書きましたが、ネガティブ思考の癖が強い人は、どうしても暗い未来に焦点がいってしまいがちです。
そんなときは、(2)の思考のまえに、まず「行動しなかった場合の暗い未来」を想像してみましょう。あのときなぜ動かなかったんだ、と後悔している自分を想像し、行動する瞬発力に変えるのです。
☆(4)ご褒美を用意する
行動してよかったという成功体験が多いほど行動力はついていくので、まずその一歩を作りたいところです。
その一歩のためにはご褒美が非常に有効です。結果は関係なく、たとえば「告白できたら欲しかった○○を買っちゃおう!」といった感じで自分自身へのご褒美を用意してください。
☆(5)To doリストを作る
To doリストを作ってください。
やると決断したことを書いて、達成できたらチェックを入れていくというシンプルなもので構いません。これは、几帳面で真面目なタイプに有効な方法です。
几帳面な人は、To doリストにチェックが入らないこと自体が不快で、それが動への原動力となることが多いのです。
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■「危機回避能力」を前向きなパワーに変えていこう
命の危険にさらされる環境がほぼなくなった日本では「生きる」という本来健全な欲求が「生への執着」という生き辛さに変わることがあり、これが行動できない心理の正体です。
変化が怖いという心理自体は誰もが持つ危機回避能力ですのでコンプレックスに感じることはありません。ですが、やはり一歩を踏み出す勇気がほしいときもありますよね。
そんなときは「行動に移す5つのコツ」を参考に、健全な欲求を前向きなパワーに変えていきましょう。
(小日向るり子)
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