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インタビュー 結婚

「デキ婚」は恥ずかしいことじゃない #20代でママになりました

マイナビウーマン編集部

マイナビウーマン読者世代である20代のときに、妊娠・出産という人生の分岐点を迎えた女性たちのエピソードから、これからの生き方を考えるインタビュー連載【20代でママになりました】。この連載を立ち上げた当初から、どうしても話を聞きたい人がいた。

コラムニストの妹尾ユウカさん。2018年7月「この度、私、妹尾ユウカは20歳でデキ婚することにしましたことをご報告申し上げます」というツイートが拡散され、たくさんの祝福コメントが寄せられていた。

一見よくある結婚報告にも思えるが、ツイートに貼ってある妹尾さん執筆のコラム記事には「『やっちまった……!』という気持ちになった」「一度は中絶手術も考えた」などの衝撃的な言葉が並んでいた。だけどこれこそが、若くして妊娠が発覚した独身女性の「一番リアルな本音」ではないだろうか。

彼女は今までどんな人生を歩んで、どのように苦悩を乗り越えてきたのだろう。出産から1カ月後、「20代のママ」になったばかりの妹尾ユウカさんに直接お話を聞けることになった。

「私が結婚するなら、デキ婚かも」と思っていた

「夫との出会いは、18歳のころ。知人のイベントに参加した帰りの電車で『気持ち悪い、吐きそう……』ってお腹を抱えていたのが夫です(笑)。それを見た私が、たまたまそのとき持っていたビニール袋を渡して、介抱してあげたのがはじまりでした」

吐き気で唸る2歳上の彼を、近くにある自分の実家に連れて帰った妹尾さん。翌朝、意識がはっきりした彼に「もしかして妹尾さんですか?」と聞かれて驚いた。実は、前々からSNSで知っていたらしい。この一連のエピソードを話しながら、「ちょっと運命的っぽいですよね」と妹尾さんは笑う。

それから2人は友だちとしてたまに遊んでいたものの、彼のほうは妹尾さんに好意を寄せていて、猛アプローチを繰り返していたという。告白回数、なんと3回。

「私、もともとはハイスペックで筋肉質な男性が好みだったんですよ。だけど彼は働きながら大学に通っていて、そこまでお金持ちというわけでもない。外見も細身で中性的。好みのタイプではなかったから、告白は3回とも断っていました(笑)。でもたまに男っぽい一面が見えて、アプローチも熱心に続けてくれるから、だんだん気になるようになったんです」

照れ笑いを浮かべながら、彼と付き合うまでの甘酸っぱいなれそめを語る妹尾さん。聞くと、彼女はもともと結婚願望がなかったらしい。だけど「もし結婚するなら、デキ婚かもしれない」と考えていた。

「結婚って『一生この人だけを愛し続ける』って誓うじゃないですか。私はそれが苦手で。だって、この先何がどうなるかわからない。嘘をついてしまう気がしていたんです。だからこそ、デキ婚くらいのことがないと結婚に踏み切れないと思っていました」

とはいえ、デキ婚するとしても、まだまだ先の話。

――そう思っていたのに、「妊娠したかも」という予感はあるとき突然訪れた。

20歳、突然の妊娠。「中絶手術の予約をしようとした」

予定日に生理がこない。体調がいつもとちがう気がする。

急にこんな感覚に襲われたら、私はどうするだろう。妹尾さんの場合は、すぐに彼氏に連絡して、薬局で売っていた妊娠検査薬で検査をした。結果は“陽性”だった。

「正直『うわー、やっちゃった。どうしよう』と思いましたね。夫が当たり前のように『どっちの親から先に報告しようか?』と結婚の話を進めようとしてくれたのはうれしかったけど、私はまだ20歳だったし、外国の大学に入って学びたいこともあったし……。何より、自分が母親になれる自信がなかったんです」

うつむきがちにぽつぽつと発するその言葉には、当時の不安や迷いが全部詰まっているような気がした。

同年齢の友だちには「私たち、まだまだこれからやりたいこといっぱいあるじゃん。産まないほうがいいんじゃない?」と言われて、彼のお母さんには「ユウカちゃんには若いうちにいろんな経験をしてほしいから、無理しなくてもいいんだよ」と助言をされて。20歳の心は揺れに揺れる。

次第に考えることに疲れてしまった妹尾さんは、中絶手術の予約をすることにした。

「病院に行って、待合室に座っているとき、ぼーっとしていたら涙が出てきたんです。でも、まわりを見渡したらおなかの大きい妊婦さんとか、幸せそうな人たちがいっぱいいて……。中絶手術の予約をするために病院に行ったはずなのに、『私もこの人たちの仲間に入りたい』という気持ちが少しずつ芽生えてきました」

そして出産を決めた一番の理由は、医師のひと言だった。

中絶を考えていた妹尾さんに、医師はエコー写真を見せながら「なんで産めないの?」とさらっと質問。「不安なんです。母親になれる気がしないんです」と答えると、「自信満々に子どもを産める人なんていないよ」という言葉が返ってきた。

「私だけじゃない、みんな最初の出産はすごく不安なんですよね。自信満々に子どもを産んで育てられる人なんていない。だからこういうふうに不安を感じることは正常なんだって気づいて、安心しました。そのとき『うん、産もうかな』と思ったんです」

あえて「デキ婚」と公表した理由

20代のうちにやろうとしていたことが、出産したからといって今後二度とできなくなるわけじゃない。自分の子どもを産んで、育ててみたい。そんな妹尾さんの選択を、旦那さんをはじめとする周囲の人たちはみんなあたたかく受け入れてくれたという。

そして、私はずっと気になっていたことを妹尾さんに聞いてみた。妊娠がきっかけで結婚したことを「授かり婚」「おめでた婚」と公表する人も多いなかで、あえて「デキ婚」という言葉を使った理由。そこには、妹尾さん独自のこだわりがあった。

「わざわざ『授かり婚』と言い換えているのを聞くと、『デキ婚』=隠さなければいけない悪いこと、のように感じてしまって。別にデキ婚って、恥ずかしいことでも、うしろめたいことでもないですよね。だから、それを別の言葉で言い換える必要はないんじゃないかなと思ったんです」

言葉選びひとつにしても、自分の信念を貫く妹尾さん。今回の取材を通して「きちんと自分の軸を持っている自立した女性」という印象を受けたが、よくよく聞いてみると、妹尾さんもかつて「他人の目を気にしながら生きていた時代」があったらしい。

「まわりにうらやましがられるような恋人を選んだり、人の意見に左右されたりすること、何度もありました(笑)。でもその選択で失敗したとき、いつも誰かのせいにしちゃう。そうすると、そこから学べるものって何もないんですよね」

「他人の目を気にして選択するのをやめたとき、すべての選択が“自己責任”になりました。そうすることで、失敗したときも成功したときも、絶対ちゃんと自分にプラスに返ってくるんですよ。それに……」

妹尾さんは、芯のある強い瞳を少し細めて、やわらかく笑った。

「『私はどうしたいのか』を第一に考えながら生きると、不思議と思い通りになる。自分の幸せって、結局そういうところにあると思うんです」

日々の小さな悩みごとでも、人生の大きな分岐点でも。「他人にどう思われるか」じゃなく「私はどうしたいのか」を考えて選択してみる。そうすると、昔思い描いていた「理想のゴール」とは少しちがったとしても、自分らしい幸せへの近道を見つけられるのだろう。

それが、今回お話を聞いた「20代のママ」が教えてくれたことだった。

(取材・文:高橋千里/マイナビウーマン、撮影:大嶋千尋)

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