歯科医が教える「正しい口臭ケア」って? セルフチェック方法と原因
もしかして病気かも!? 口臭の原因とは
次に、口臭の原因を「生理的要因」、「外的要因」、「内的要因」、「病的要因」にわけて、くわしくご紹介します
【口臭の原因】生理的要因
舌苔
舌苔は、舌に付着する白色の細菌塊のこと。起床時や空腹時に唾液が減少すると、口の中の乾燥が細菌を増加させ、悪臭を発生させます。硫黄のようなにおいが特徴的です。
緊張
唾液の分泌は、自律神経が関係しています。自律神経は、興奮しているときや緊張しているときに優位に働く「交感神経」と、リラックスしているときに優位に働く「副交感神経」の2つ。交感神経は唾液の分泌量を低下させる働きがあるので、緊張をしているときは、口の中が乾いて口臭が強くなります。
【口臭の原因】外的要因
アルコール
アルコールによる原因は、①アルコールそのもののにおいが口の中に残り、口臭となるパターン、②アルコールが肝臓で分解され、有害物質“アセトアルデヒド”が血流を通じて、肺から呼気となって口臭になるパターンの2つ。また、アルコールの強い利尿作用により、体内の水分が失われ、唾液量が減少し、口の中が乾燥状態になるので、さらに口臭が強くなります。
喫煙
タバコの煙に含まれるタールとニコチンも口臭の原因に。タールは「ヤニ」と呼ばれる成分で、喫煙後、舌や歯に付着し、においを残します。また、ニコチンは血管収縮作用があり、口腔内の血液の循環を悪くさせます。そのため、唾液の分泌が減ることで乾燥し、口臭が強くなります。
においの強い食べもの
ニンニクやキムチなど、においの強い食べものは、口臭の原因になる“悪臭成分”が含まれています。この悪臭成分が胃の壁から吸収され、血液を介して肺まで運ばれると、呼気と一緒に口臭として排出されます。体内に吸収された悪臭成分が、すべて体の外へ排出されるまで口臭が続くので、翌日まで消えないことが多いです。
【口臭の原因】内的要因
におい玉
「におい玉」は、喉の奥にある扁桃のくぼみにできるにおいを発する物体。膿のかたまりで、侵入した細菌と人体の免疫細胞が戦うことでできる死骸からできています。におい玉を栄養源に口の中の菌が増殖し、口臭の発生原因に。見た目は、米粒ほどで白色。咳やくしゃみをした際にのどから飛び出し、つぶすと強い悪臭を放ちます。
口臭恐怖症
口臭検査の結果が異常なしでも、本人が“口臭がある”と強く思い込んでしまい、対人恐怖気味になってしまうことがあります。この状態が続くと、口臭恐怖症という精神の病気につながることも。口臭恐怖症は、においに敏感な人に現れるのが特徴で、過去に自分の口臭を指摘された体験がトラウマとなって発症するケースが多いです。
【口臭の原因】病的要因
歯周病
口臭の原因が口の中にある場合、歯周病が約8割を占めます。歯周病になると、歯周ポケットがどんどん広がってしまい、ここに口臭の原因である嫌気性菌が住みつきやすくなります。歯周病菌が出す、卵が腐ったような硫黄のにおいが特徴です。
虫歯
虫歯菌が原因のにおいは2つ。①虫歯菌が出す酸で歯を溶かすにおいと、②歯垢にいる菌が食べかすを分解するときに出すにおいです。虫歯がどんどん進行していくにつれて、においも強くなります。虫歯が進行し、神経まで侵食して神経が死んでしまうと、腐敗臭がすることも。
糖尿病
糖尿病は、リンゴの腐ったような甘酸っぱい口臭が特徴です。糖尿病になると、血糖をエネルギーにうまく変えることができなくなり、代わりに脂肪やタンパク質を分解してエネルギーを作り出すようになります。そのときに出る物質が、甘酸っぱい口臭の原因になります。
肝臓の病気
肝臓機能の低下が進むと、口臭も強くなります。初期段階は、カビのようなにおいで、症状が重くなると、アンモニア臭がします。肝臓は、食事を消化するときに発生するアンモニアを分解する機能がありますが、肝臓の機能が低下すると、うまく分解できなくなります。
胃の病気
胃の調子が悪いときや、慢性胃炎などの病気になると、胃の働きが低下して、消化不良を起こします。消化不良になると、胃の中で食べものが消化されずに長時間残ってしまい、異常発酵を起こします。異常発酵した食べものは、強烈なにおいを発生させ、胃の中から血液に乗って、悪臭ガスが運ばれます。そして、呼吸として、口や鼻から一緒ににおいが出てしまいます。