シミ、しわ、たるみの原因に。専門家が教える「隠れ炎症」の予防&ケア
最近テレビでも取り上げられている、今話題の「隠れ炎症」。炎症と聞くと、肌が赤くなったり腫れたりするイメージがありますよね。しかし「隠れ炎症」は細胞レベルで反応を起こしているため、表立って見えるものではありません。体の中でくすぶっている目に見える前の段階のことをいいます。自覚症状がないので気づかない人も多いですが、放っておくと大変なことに。美容家の鈴木絢子さんと、杏林製薬スキンケア研究所所長の山田利光さんに、くわしいお話を聞きました。
「隠れ炎症」とは?
そもそも人間の体は、毎日あちこちで炎症を起こしています。これは、有害な刺激や体内に侵入してきた異物に対する自然な防御反応。肌の内部でも、紫外線や寝不足、乾燥など、日々のさまざまな刺激によって、小さな炎症が発生しては自然に解消されています。ところが、年齢とともに自己回復力が低下し、炎症が解消されずに蓄積していきます。これを「隠れ炎症」といい、放っておくと、シミやシワ、毛穴の開きやガサガサ肌など、見た目老化につながります。
■原因
不節制な生活や精神的ストレス、栄養の偏り、食べものに含まれる添加物は「隠れ炎症」を深刻化させる原因になります。また、デスクワークやパソコン作業などで「長時間座りっぱなしの生活」をする人は、運動不足による肥満や血流の悪化をまねき、「隠れ炎症」が進行します。
「隠れ炎症」度チェック
自覚症状がないため、油断しやすい「隠れ炎症」。チェックシートで自分の現状を確認しましょう!
脂っこい食事を好んで食べる
喫煙習慣がある、もしくは喫煙習慣があった
紫外線対策を忘れがち、もしくは怠っていたことがある
便秘気味だ
毛穴が目立つようになってきた
寝跡が消えにくくなってきた
会議室やレストランで、自分だけ「寒い」と言ってしまうことがある
肩こりや腰痛が慢性的になってきた
デスクワークやPC作業で座りっぱなしの時間が長い
肌が乾燥しやすい
口が渇きやすい
咳やたんが出やすい
ダイエットしても痩せづらくなってきた
階段ではなくついエスカレーターを使ってしまう
休日は家にいることが多い
まわりの人にイラッとしてもガマンしてしまうことがある
ストレスをためやすいほうだと思う、ストレスが多い
心から笑っていない、と思うことがある
睡眠時間はだいたい6時間以下だ
夜寝る前に、スマホやPCをチェックする
「6個以下」……軽度
「7~14個」……要注意
「15個以上」……危険信号
7個以上当てはまった人は、次で紹介する「予防&ケア」をぜひ参考にしてみてください。
「隠れ炎症」を予防&ケア
■スキンケア
顔を洗ったり拭いたりするとき、ゴシゴシこすらないことがポイント。ただでさえ肌は紫外線のダメージを受けているので、物理的な刺激は最低限に控えましょう。シャワーを直接顔に当てるのもよくありません。顔のお手入れをするときは、肌への浸透を高めるハンドプレスや、まんべんなくつけることができるコットンなど、方法を使いわけるのがオススメです。
■食事
秋刀魚など、青魚に含まれる「オメガ3系の脂」は、細胞の酸化や炎症を抑える働きがあります。皮と身の間に良質な脂があるので、皮ごと食べるように意識しましょう。また、旬の食材はたんぱく質や脂質、糖質などの豊富な栄養素がたっぷり。今の時期なら、トマトやなす、みょうがやゴーヤなどが旬な食べものです。
■運動
全身の筋肉の7割は下半身に集中しているため、スクワットが効果的。1日10回、2~3セットを繰り返しましょう。また、仕事中や通勤中、イスに座っているときにも工夫を。L字型になるよう、ひざとくるぶしをピッタリつけてください。そのまま、かかとを上げ下ろしするのもオススメです。通勤や買い物など日常生活の中でも、エレベーターやエスカレーターの使用を極力避け、階段を使うだけでも体に変化が現れてきます。
■睡眠
良質な睡眠の鍵をにぎる「メラトニン」は、夜間に明るい環境にいると分泌量が減ってしまい、体内時計が狂ってしまいます。睡眠障害やうつ、生活習慣病などの原因にも。眠る1~2時間前はスマートフォンやパソコンの画面を避け、できるだけ暗くて静かな環境で過ごすように心がけましょう。
日焼け止めのポイント
メーカーが指定している日焼け止めの量を知っていますか? 実は、規定の量を塗れていない人が多いようです。紫外線の当たりやすい頬骨や眉毛の上や、ムラになりがちな頬や面積の広いおでこなどの部位は、いつもより多めに塗りましょう。日焼け止めの選び方としては、パッケージに記載されているSPFとPAの数値を1日中外にいる場合はSPF50を、コンビニなど近所に出かけるくらいなら、SPF25~30が目安です。意外と見落としがちですが、シミの原因を防いでくれるPAにも意識しましょう。アウトドアに行くときは、PA++++の日焼け止めを塗ってください。また日焼け止めは、紫外線をブロックする散乱剤と、吸収してエネルギーに変換する吸収剤の2種類あります。散乱剤に比べて、吸収剤のほうが紫外線をブロックする力が強いですが、肌にダメージを与えることも。肌が弱い人は、散乱剤を使用していない日焼け止めを選びましょう。
最後に
「隠れ炎症」は自覚症状がないので、「まだ大丈夫」と油断していると危険です。大切なのは、内側と外側の両方からケアすること。日々の生活習慣を見直して、適度な運動や十分な睡眠、バランスのいい食事を心がけましょう。
(取材協力:鈴木絢子・山田利光、文:マイナビウーマン編集部)
※画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.08.09)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください
※この記事は2016年08月24日に公開されたものです