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【栄養学講座】第6回:妊娠前から摂りたい! 知っておきたい「葉酸」のはなし

細川モモ

結婚の予定はないけれど年齢的に出産のリミットも近づいてきている。この先、結婚して子どもがほしいと思ったときに「産めるカラダ」でいるために、今からできることはやっておきたい。そんな働くアラサー女性に向けて、予防医療コンサルタントの細川モモさんによる、産めるカラダを維持するために今から知っておきたい栄養学を全10回でお届けします!

こんにちは、細川モモです。突然ですが、みなさん“葉酸”を毎日意識して摂っていますか? 「え? 葉酸って妊娠してから摂るものじゃないの?」と思った方、実はNOです。葉酸は妊娠を望むすべての女性と男性が摂取したいビタミンです。葉酸は順調な月経と排卵をサポートし、妊娠のチャンスがやってきたら受精卵や胚の成長を助け、流産リスクの低下に貢献します。第6回目の今回は、「葉酸」と妊娠力の関係についてお話しします。いつかのために今日から意識しましょう。

葉酸の摂取は、最低でも妊娠の1カ月以上前から

葉酸は赤ちゃんの二分脊椎症や無脳症などの発症リスクを低下させることで有名なビタミンです。こう書くと妊娠中からの摂取で問題ないように思えますが、実は、ママになる女性が受精後に妊娠に気づくのは早くて妊娠4週~5週ころであり、2~3カ月のときです。もともと月経不順の人の場合、妊娠に気づくのはもっと遅い時期になります。ところが、赤ちゃんの身体でもっとも早く作られる器官に脳や脊髄があり、脳の中枢神経のもとは妊娠3週目頃から作られはじめます。6週目を迎えるころには神経管が作られますが、このとき神経管がうまく形成されないことを「神経管閉鎖障害」といい、先天性奇形のリスクが高まります。赤ちゃんの中枢神経や神経管の発達はママが妊娠に気づかないときからはじまっているため、発覚後から葉酸を摂取しても遅いことがわかっています。

残念なことに日本女性の葉酸の認知度は高くありません。葉酸という言葉自体は知っているものの、いつから摂ればいいのか、どのような働きをしているのかの知識が不足しています。さらに、葉酸は食事だけでは必要量に満たない可能性があり、今現在、日本では二分脊椎症の赤ちゃんが年々増えている状況です。諸外国ではこのような状況を防ぐため、パンなどの小麦製品に葉酸を添加していますが、日本ではこのような試みははじまっていません。

二分脊椎症や無脳症を予防するためには、最低でも妊娠の1カ月以上前から葉酸の摂取を心がけましょう。量に関しては、1日700μgの葉酸を摂取していた女性は300μg以下の女性に比べて排卵障害による不妊リスクが40~50%も低かったことがハーバード大学の調査によって明らかになっています(※1)。このことから直近に妊娠の予定がなくても、妊娠前の女性は食事からの摂取に加え、サプリメントで400μgの葉酸を摂取すべきと研究者たちは説いています。

厚生労働省でも、妊娠1カ月以上前から妊娠3カ月までの間、1日400μgの葉酸摂取を推奨しています。実際に20~39歳の日本女性が葉酸を摂取できている量は1日235~244μgであり、妊娠を考えると倍以上の摂取が必要になります(※2)。

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