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【栄養学講座】第3回:日本女性のほとんどが“隠れ貧血”!?  妊娠前に改善しておくべき理由とは?

細川モモ

結婚の予定はないけれど年齢的に出産のリミットも近づいてきている。この先、結婚して子どもがほしいと思ったときに「産めるカラダ」でいるために、今からできることはやっておきたい。そんな働くアラサー女性に向けて、予防医療コンサルタントの細川モモさんによる、産めるカラダを維持するために今から知っておきたい栄養学を全10回でお届けします!

貧血という言葉は女性なら誰もがご存知ですよね。「私のことだ……」という人もいれば「一度も経験したことない」という人もいるでしょう。ですが、“隠れ貧血”となるといかがでしょうか? 実は、諸外国の基準に当てはめるとほとんどの日本女性は鉄剤処方の対象者となってしまうくらい、隠れ貧血が問題となっているんです。毎年健康診断で引っかかるけど、そのままにしている、という女性も少なくないのが貧血。第3回目の今回は、貧血を引き起こす「鉄分」についてお話したいと思います。妊娠・出産に与える影響を知って、今こそ改善を!

働く女性の鉄分不足率は92%! 貧血状態での妊娠が与える影響とは?

貧血は一般的に健康診断においてヘモグロビンの大きさや濃度によって診断されます。ですが、実は体内の鉄のすべてがヘモグロビンに存在しているわけではありません。60~70%がヘモグロビンに存在していて、20~30%は肝臓や脾臓に貯蔵鉄(フェリチン)という形で溜められています。ヘモグロビンはいわばお財布の中の紙幣。月経や怪我で出血しても、銀行口座である貯蔵鉄から補われます。健康診断では、ヘモグロビンは調べますが、貯蔵鉄は調べませんよね?  つまり、紙幣は十分でも口座残金が尽きかけているかもしれない“隠れ貧血”は、自分で希望してお金を払わないと調べられないのです。女性は1度の月経で、22.5mgの鉄分を失います。さらに、汗や尿でも毎日1mgの鉄分を失っています。ですが、働く女性の鉄分の不足率はなんと92%! 働く女性約1,000名に実施した調査(※1)でも、約4割の女性が400ccの献血ができない状況でした。

貯蔵鉄はというと、もっと深刻な事態にあります。妊娠中は鉄の需要が急激に高まり、多くの妊婦さんが貧血を経験します。妊娠・出産において鉄剤処方を受けていない女性は貯蔵鉄が大幅に減少することがわかっていますので、産後に貧血でフラフラする、回復が遅い、うつっぽくなることを避けるためには、貯蔵鉄を十分にストックしておく必要があります。また、お腹の赤ちゃんの体重は、とくに妊娠後期に筋肉や骨、脂肪がついていく関係で、急速に増えていきます。この時期の体重の増加に鉄分が貢献していることがハーバード大学の研究によって明らかになっているため、貧血状態での妊娠は避けたいことのひとつです。

男性は月経がないので、貯蔵鉄の平均値は139.6ng/mLですが、女性の平均はなんと22.5~25.7ng/mLです(※2)。いかに月経が体内の鉄分を損失させるかがおわかりいただけると思います。ただ、もっと深刻なのは、女性において割合がもっとも高いのは鉄欠乏性貧血に該当する10ng/mL未満なのです。デンマークでは、献血対策として60ml/dl以下ですと鉄剤処方の対象になりますので、こうなるとほとんどの日本女性は鉄剤処方の対象になってしまうのです。

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