【新連載】彼に振られたあの日から、もう何もかもが面倒で……
Story4 ★3度目の不正直
「日本酒のおいしいお店があるんですけど、
行ってみませんか?」
わたしは「この人なら大丈夫」という、
根拠のない自信を元に塚本さんの誘いにのった。
特になんのアクシデントもなく、
ごく普通に食事をしながら、
おいしいお酒を飲んで、その週末も別れた。
さらに翌週、塚本さんは小さな映画館で、
単館上映の映画を見ないかと誘ってきた。
わたしは何となくドキドキしながら、
その申し出にOKを出した。
そしてヨーロッパの小さな田舎町での、
ほのぼのした人間模様を描いた映画を見た後、
食事をしながら塚本さんはわたしに言った。
「ぼくたち、けっこう気が合うみたいだし、
よかったら付き合わない?」
そう聞いた途端、わたしの心は固まってしまった。
「もう少し待って」
きれいな笑顔だと思った。
塚本さんとは付き合いたい気持ちはあるけれど、
でも今はまだ自分に自信が持てない。