【新連載】彼に振られたあの日から、もう何もかもが面倒で……
わたしは「いつからその人が好きになったの」
と聞こうとしたが、やめた。
知るとひどくツラくなってしまうだろう。
だからかわりに、こう聞いてみた。
「その人、いくつぐらいなの?」
「30歳。おれよりひとつ歳上なんだ」
うそ。これこそ聞かなければよかった。
将よりもひとつ上、ということは、
わたしよりも4つも年上なのだ。
これはもう、取り戻せない。
わたしは自分にあきらめがついたと同時に、
4つも年上の女性に恋人をとられたことに、
ひどく衝撃を受けていた。
「美紀はかわいくて、きれいで性格もいいから、
すぐにぼくよりずっと、すてきな恋人ができるよ」
将は笑っていたけれど、
わたしにはその言葉もショックだった。
わたしにとって将は、
他にもっといい男性が現れたからといって、
交換できるような存在じゃないのに。