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【新連載】先輩のことが大好きなのに、私たちの関係は曖昧で不透明……

Story1 ★彼女の特権

廊下の奥からカチャリと鍵の開く音がすると、
わたしは反射的に椅子から立ち上がって、
早足で玄関へと向かっていた。
「咲ちゃん、ただいま!」
「おかえりなさい」と答えたけれど、
ここはわたしの家ではない。
ここは大学のサークルでふたつ上だった、
小向芳樹先輩の家だ。

「これ、いつも通りいっしょに飲もう」
「はい……って先輩、やだ!」
差し出されたワインボトルに手を伸ばすと、
先輩はすっと瓶を引っ込め、
引き寄せられたわたしを、お姫様抱っこした。

「はーい、着きました」
「もう、びっくりさせないでくださいよ」
ダイニングまで運ばれたわたしは、
先輩の胸を軽くたたいて怒ったふりをしたけれど、
もちろん気持ちはまったく逆。
うれしくて、もうメロメロだった。

それからわたしはテーブルのデリを温め直し、
ワインを氷水で冷やして乾杯の準備をする。
その間、小向先輩はシャワーを浴びて着替え、
機嫌良さそうにダイニングへ入ってきた。