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【新連載】先輩のことが大好きなのに、私たちの関係は曖昧で不透明……

「そうだね……」
わたしは奈美の勢いに気圧されて、
力なく微笑んだ。
すると奈美の方が泣きそうな顔になる。

「そっか。先輩のこと、そんなに好きなんだ。
たしかにあの人、魅力的だと思う。
1度付き合ったら別れるのはむずかしいよね」
奈美がそう、しみじみと語ると、
わたしたちは、しばらく黙り込んだ。

「でも咲は先輩より、自分を大切にしなきゃ。
別れられなくても、少しは怒った方がいいよ」
「そうだね。少しは怒った方がいいかも」

わたし奈美に、やっと少し笑うことができた。
たしかにこんな関係、心によくない。
彼女が言う通り、
自分がどんどん卑屈になって行く気がする。
そして帰り際、奈美はお店の外で、
急に振り向いて、こうも言った。

「やっぱり小向先輩との関係、
長く続けない方がいいと思う。
だってこの先、1年2年と今のままが続いて、
咲は自分が、我慢できると思う?」

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