【新連載】先輩のことが大好きなのに、私たちの関係は曖昧で不透明……
Story2 ★好きでたまらない
それから先輩はすごい勢いで着替え、
地下駐車場の車に走って行って、
バンにボードや荷物を運びいれた。
わたしはその間に身づくろいを終えると、
先輩といっしょに車に乗り込んだ。
「小向先輩、急いでるんですから、
わたしのこと送らなくていいですよ」
「やだ。送る」
「じゃあ、買い物したいんで、駅までで」
「……わかった」
先輩は少しだけ口をへの字に曲げて答えた。
何がイヤなのか、わたしにはわからない。
先輩は駅のバスロータリーでわたしを下ろすと、
1度クラクションをパンッ! と鳴らして、
大急ぎで遠ざかっていった。
わたしは日曜の朝なのに、
意外に人が多い駅前をふらふらと歩いていく。
そしてふいに耐えられなくなって、
ショッピングモールの前のベンチに座ると、
ハンドタオルで顔をおおって、
なるべく声を出さないように泣いた。
先輩のこと、ひどい人だなと思うけれど、
好きで好きでたまらないのだ。