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【新連載】神さま、どうか今年こそあの人と縁を切れますように……

1つ目の社を抜けると人も減って歩きやすい。
2つ目の社にお参りし、さらに参道を上がって、
そびえ立つ灯台の脇を進んで行き、
3つ目の社でも手を合わせる。
こんなに何度も「きれいに別れられますように」
と唱えると「わたしって必死」と少し笑えてくる。
そんなことを考えながら、ふと上を向くと、
天井に描かれていた亀ににらまれていた。
あわてて「失礼しました」と心の中で謝った。

3つの社をお参りし終わった後も、
わたしはそのまま急な下りを道なりに進むと、
遠くに群青色の海が広がり、
目の前の岩棚では大きな波がぶつかって、
盛んに真っ白なしぶきが砕け散っていた。
すてきな風景。
じっと見つめていると海の向こうに、
雪をかぶった富士山が見えるのに気がついた。

しばらくじっとそのまま海を見つめていると、
何もかも心配いらないような気がしてきた。
来てよかったな。
帰ろうとしたところでツルリと足元が滑り、
体がふわりと舞い上がった気がした。
えっ、わたし……ひょっとして、
すごい転び方していない?

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