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【新連載】神さま、どうか今年こそあの人と縁を切れますように……

人ごみはときどき、思い出したように前に進む。
そのたびに親は子どもを「行くよ」と急かし、
友だち同士は意味もなく笑い、
恋人たちは腕をからませ歩み始める。

前にも後にも進めない関係は、
時間が経つにつれて淀んで濁り始める。
最近は施設長に会って自分の部屋に帰ると
「こんなことしてたらダメだ」
と強く感じるようになった。
いわゆる……罪悪感というやつだ。
だけど何と言って関係を絶ったらよいのか。
おたがい気まずくならないか。
そしてその後、わたしには何も残らない。

そう思った時、入場制限のロープが引き上げられ、
お参りの番が回ってきた。
わたしは他の参拝客と同様に、
ドヤドヤと前に押し出されて行く。
運よくお参りの最前列で手を合わせられた。

「石井施設長ときれいに別れられますように」

終わると、お守りを求める人の間をさらに登る。
江ノ島の弁天様は3つの社に分かれているので、
後の2つを目指すのだ。

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