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【新連載】神さま、どうか今年こそあの人と縁を切れますように……

そしてすっかり暗くなり、木枯らしが吹く頃、
わたしは中尾さんとともに小田急に乗り、
新宿まで帰った。
ロマンスカーは予約でいっぱいだったので、
ただの急行で座って帰る。

途中、中尾さんもわたしも疲れて、
しばしば居眠りをした。
しかし今日会ったばかりだというのに、
わたしは気がつくと、
中尾さんの肩にもたれて眠っていた。
彼のひざの上の肩ひもの切れたバッグともども、
申し訳ないこと、この上ない。
「すみません」と謝ると、
中尾さんは横顔で「いいですから」
と言って微笑んでくれた。

新宿に着くと、わたしたちは人混みを避け、
LINEのIDを交換した。

「今度、新しいバッグを買ったら、
見せに来ますから、また会いましょう」
「ええ」
新宿駅で見る中尾さんは江ノ島で見たよりも、
服装の冴えなさが目立って残念だったけど、
社交辞令かもと思いながらも、
わたしは彼とまた会えるのを、
かなり楽しみにしている。

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