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【新連載】神さま、どうか今年こそあの人と縁を切れますように……

そんな考え事をしながら歩いているうち、
江ノ島の入り口についた。
潮風に磯料理が混じった、
いかにも観光地らしい匂いが漂う。
道の両側にはびっしり土産物屋が並び、
奥へ行くほど細くなって満員電車並の混雑だ。
わたしはゆっくりとその中を歩み、
江島神社へと向かっていた。
今日来たのは弁天様に願を掛けたかったから。

今年こそ、あの人と縁を切れますように。
勤めているレンタルスペース会社の、
直属の上司、石井施設長との関係を、
終わりにできますように。
だけど人ごみの中にひとりでいると、
施設長とのことが次々に思い出される。

最初は、続ける気なんてなかった。
今のレンタルスペースができて、
オープンメンバーでがんばってきて、
売り上げ達成の打ち上げの帰りに、
軽い好奇心から、つい誘いにのっただけ。
施設長が既婚者なのは知っていたので、
せいぜい2、3回のちょっとした遊びで、
後はおたがい知らんふりのはずだったのに。
何で2年も続いてしまったのか。

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