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【新連載】神さま、どうか今年こそあの人と縁を切れますように……

隣の人に起こされて、ハッと目覚めると、
もう目的地に到着していた。
ひとり降り立った江ノ島駅の前には、
どこまでも青空が広がる。
意外に風が強くて、かなり寒い。
でもそんな寒さに負けず、かなりの人出がある。
袖や裾を押さえながら歩く、
晴れ着の人もちらほら見られる。

わたしはそんな人ごみの流れに乗って、
江ノ島へと続いている長い桟橋を歩き始めた。
桟橋の下、海はすぐそばまで迫っていて、
きっと潮が満ちると波に洗われるのだろう。
そして海は輝きながら、どこまでも広い。

陽射しに目を細めて黙々と歩いていると、
宮城の実家での騒動が思い出される。
正月のお酒で酔った父が絡むようなお説教。
「いいかげん、こっちに帰って結婚しろ」
兄夫婦が仕切る実家にもう自分の居場所はない。
それ以前に今の仕事や生活を捨てる気など、
さらさらない。
だけど、じゃあエアプランツのように、
どこにも根を張れずに、
ただコロンと机の上に転がっているような、
この身の置き所のなさはどうしたらいいのか。

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