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【新連載】神さま、どうか今年こそあの人と縁を切れますように……

それにしても今日は中尾さんのおかげで、
いろいろなことに気がつくことができた。

これでたぶん、少し時間がかかっても、
石井施設長とは別れられる気がする。
寂しい、つらい、と感じることを、
そう長く続けられるとは、やはり思えない。

中尾さんとの関係は、どうなるのかな。
大人びていて心身ともにがっしりした、
いい人だとは思うけれど。
たぶん年下だし、わたしに合うかどうかは
……って、どうして付き合うことを、
前提にして考えているんだろう!

「ずうずうしいぞ、自分」
そう思いながらも、いっしょにいて、
あんなに自然に振る舞える人はそういない。
そうだ。もしバッグを買った話が来なくても、
今度、おいしい洋食のお店に誘ってみよう。

ならその前に、石井施設長とは別れなきゃ。
たぶん「もうおしまいにしましょう」の一言で、
大丈夫な気がする……。
わたしは駅のロッカーで荷物を引き出すと、
微笑みを浮かべ、再び家路を急いだ。

 

(おわり)

※この記事は2014年01月09日に公開されたものです

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