中イキとは? 中イキできない理由と中イキするための方法【医師が解説】
セックスで中イキをしたことがないと悩んでいる人もいるのではないでしょうか? そもそも中でイクとはどういった感覚なのでしょう。また、中イキができない原因とは? 産婦人科医・医学博士の宋美玄先生にどうすれば中イキができるようになるか聞いてみました。
セックスやマスターベーションをするときに「イク」という感覚を覚えたことのある人は、少なくないはず。でも「中イキ」は、まだしたことがない、という人が意外に多いのでは。
今回は中イキとは何なのか、どうすれば中イキできるのかについて、まじめに考えてみました。
中イキって何? メカニズムと感覚
そもそも中イキとはどのような現象のことを指すのでしょう。中イキが起こるメカニズムやどのような感覚なのかについて、まずは詳しく知っておきましょう。
中イキとは「腟内への刺激でオーガズムにいたること」
中イキとは、簡単に言うと、腟内への刺激でイク=オーガズムに達することです。
女性の腟内には、Gスポットとポルチオという2大性感帯と呼ばれる場所があるとされています。
中イキの2大性感帯:Gスポット
Gスポットとは、腟口から4cmくらいのところにあるポイントで、パートナーの中指を腟に挿入し、軽く曲げたときに指先の当たる場所がおよその位置です。
中イキの2大性感帯:ポルチオ
もうひとつの腟内の性感帯であるポルチオは、Gスポットのだいぶ奥、子宮の入り口付近にあります。これらの場所を指やペニス、バイブレーターなどで刺激することによって興奮が高まり、絶頂に達することを、俗に中イキと呼んでいます。

ポルチオの位置や、刺激の仕方・注意点を産婦人科医の髙橋怜奈さんが解説します。
中イキするってどんな感覚?
そもそもオーガズムに達すると、体にはさまざまな反応がおこります。
代表的なのが性器の収縮ですが、そのほかに全身のけいれん、眼球の上転(いわゆる「白目をむく」状態)、発汗、全身の皮膚の紅潮、涙を流すといった反応が現れるといわれています。
体にこうした反応が現れるときの感覚は「全身がゾクゾク、ビクビクした」「電気が走るような気持ちよさが全身を突き抜けた」「頭が真っ白になって、気持ちよさがせり上がってきた」などと表現されます。
中イキの場合、腟内、つまり体の中から快感がせり上がってくることで、上記のような感覚がとくに強くなり、「全身にあふれるような開放感や気持ちよさを感じる」といわれることがあります。
▶次のページでは、中イキできない原因を解説します。
中イキできない原因
中イキを経験してみたいのにできない場合、どんな原因が考えられるでしょうか。
実は全ての女性が中イキできるわけではありません。中イキしにくい場合、以下のようなことが関係している可能性が考えられます。
(1)オーガズムを感じたことがない
そもそも中イキ・外イキ以前に、オーガズム自体を感じたことのない女性も多いのです。一説によると、セックスの際にオーガズムを感じるのは女性の1/3程度といわれています[*1]。
多くの女性にとってオーガズムは、練習を重ねることでようやく得られるもの。多くの神経が集中していて、快感を得やすいポイントであるクリトリスへの刺激によるオーガズムも感じた経験がない場合、いきなり中イキを経験するのはやや難しいかもしれません。
まずは、クリトリスを刺激してオーガズムを感じるところから始めるのがよいでしょう。
(2)じゅうぶんな性反応が得られていない
ヒトの性反応は男女ともに、興奮期→高原期→オーガズム期→消退期という4つの段階をたどっていきます。オーガズムが起こるのは、この4段階の3つめにあたるオーガズム期です。2段階にわたる十分な準備を整えてからオーガズムに達していきます。
中イキができないということは、まだそこに達していない、つまり、オーガズムが起こるのにじゅうぶんな性反応が得られていない可能性があります。
練習を重ねて、オーガズムを得るために必要な性反応を引き出していきましょう。
(3)体質的に中イキができない
これはまだ仮説の段階に過ぎないのですが、女性の中には中イキができる人とできない人とがいるといわれています。
なぜそうした違いが生じるのかについても、研究の途中ではありますが、イタリアで行われた研究によると、「腟でイケない」と答えた女性の腟を超音波でスキャンしたところ、Gスポットがあるとされる腟の前壁にはっきりとした厚みがあったという報告がありました。
またポルチオにいたっては、オーガズムを感じられる女性が10%に満たないともいわれています[*2]。これらのことから、そもそも体質的に中イキができない人もいる可能性が考えられます。

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▶次のページでは、中イキするための方法を解説します。
中イキするための3つの方法
「中イキしたことがないけど、できれば中イキを経験してみたい」「興味があるから試してみたい」という場合、こんな方法を試してみると、中イキできるようになるかもしれません。
(1)外イキを繰り返して、オーガズムに達する感覚を得やすくする
オーガズムを得るには練習を重ねる必要があることを考慮すると、まずはクリトリスへの刺激による「外イキ」を繰り返し得て、オーガズムに達しやすくなることが、中イキへの近道になるかもしれません。
マスターベーションで気持ちのよい場所を刺激し、オーガズムを得る練習を重ねてみるとよいでしょう。
また「ブリッジ法」という、腟内とクリトリスとを同時に刺激して、オーガズムに達する方法もありますので、試してみてもよいでしょう。
(2)前戯に時間をかけるなど、じゅうぶんな性反応を引き出す
オーガズムを得るためにはじゅうぶんな性反応が起こっていることが必要です。そのためには前戯をないがしろにせず、興奮を高めておくことが大切。
Gスポットやポルチオにこだわらず、クリトリスなどの敏感な部位を一定のリズムでソフトに刺激するなど、女性がリラックスし、快感を得やすい状態にしておきましょう。

気持ちのいい前戯のコツを産婦人科医の髙橋怜奈さんが解説します。
(3)正しい場所を知り、適切な力加減で刺激する
Gスポットは腟の入り口から4~5cmあたりの前壁(お腹側)にありますが、直径1cm程度のごく狭いエリアです。
またポルチオは腟のいちばん奥、子宮の入り口近くにあります。女性の腟の長さはだいたい8cm程度といわれているので指が届かない長さではありませんが、むやみに刺激するのはNG。
腟は、痛みを感じやすいデリケートな器官なので、刺激を与えたい場所をきちんと知ったうえで、できるだけソフトに触れる必要があります。中イキのスポットは、じつはとても繊細。正しい場所や力加減で刺激することが大切です。
そのほか、Gスポットの周辺にヒアルロン酸を注入し、突起を作ることで刺激を伝わりやすくする形成手術もあるようです。「どんな手段を使ってでも、どうしても中イキしたい」という場合、こうした方法に頼るのもひとつの手かもしれません。
▶次のページでは中イキと外イキの違いについて解説します。
中イキは外イキよりも気持ちいいって本当?
クリトリスへの刺激によってオーガズムにいたることを、中イキに対し「外イキ」と呼ぶことがあります。
女性の外性器の中でもクリトリスは、たくさんの神経が集まるとても敏感な器官です。そこをやさしく一定のリズムで刺激すると、女性はオーガズムに達しやすくなります。
最後に外イキと中イキの快感の違いを解説していきます。
外イキよりも中イキのほうが気持ちいいことも
外イキと中イキの両方を経験した人のなかには、「外イキよりも中イキのほうが、より気持ちいい」「外イキと中イキでは、オーガズムの感覚が違う」という人もいるようです。
腟の中とクリトリス、刺激する場所によって得られるオーガズムの感覚が異なるのは、それぞれを支配する神経系が違うからだといわれています。クリトリスは陰部神経、腟の中にあるGスポットは下腹神経、ポルチオは迷走神経という神経系によって、それぞれ支配されています。
下腹神経は交感神経の一部であり、全身の神経とつながっています。そのため、Gスポットで感じた気持ちよさは神経を通じて、全身に広がっていきます。このことから、外イキよりも中イキのほうが気持ちいいといわれることがあるようです。
2箇所以上の性感帯を刺激することで得られるブレンド・オーガズム
そのほか、Gスポットやポルチオとクリトリスを一緒に刺激することによって「ブレンド・オーガズム」という現象が引き起こされることがあります。
ブレンド・オーガズムとは、Gスポットやポルチオで得たオーガズムの快感が全身に広がり、乳首やクリトリスといったほかの性感帯が連動して迎える、強烈なオーガズムのことです。
特定の性感帯への刺激だけでなくさまざまな性感帯が連動して快感を得ることから、外イキだけの感覚よりも中イキのほうが「より気持ちいい」といわれるのかもしれません。
以上のことから外イキと中イキとでは、感じるオーガズムの内容に違いがあることがわかります。
しかし、「中イキできる人のほうが優れている」というわけではありません。オーガズムに優劣はなく、中イキをした経験がないとしても、劣等感を覚える必要はないでしょう。
中イキだけにこだわらず、セックスやマスターベーションを楽しんで
中イキすると、より気持ちいい快感を得られるともいわれているため、中イキに憧れを持つこともあるでしょう。
ですが、体質的に難しいケースもあるなど、そもそも中イキをしにくい人も少なくありません。最初にもお話ししたように、オーガズムに優劣はなく、中イキできるからすごいというわけでもないのです。
どこを刺激してオーガズムを得るのかにこだわらず、セックスやマスターベーションを楽しむことを重視していると、そのうち自然と中イキができるようになるかもしれませんよ。

女性がマスターベーションをする方法を産婦人科医・医学博士の宋美玄さんが解説します。
(監修:宋美玄、文・構成:山本尚恵)
※画像はイメージです
【参考文献】
[*1] 日本性科学会・編「性機能不全のカウンセリングから治療まで セックス・セラピー入門」p40
[*2] 宋美玄・著「女医が教える本当に気持ちのいいセックス いいトコどり」p68