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生理中のダイエットは意味ない? 生理前・生理中の食事や運動方法のコツ

窪麻由美

生理中にダイエットをしてもあまり意味がないって本当? 生理後のダイエットがいい? 生理期間でもダイエットを成功させるため、食べ物の選び方や運動のコツを産婦人科医の窪麻由美さんが解説します。

生理はエストロゲン、プロゲステロンという2種類の女性ホルモンが増えたり減ったりすることで起こります。加えて、女性ホルモンの変化は私たちの体や心にも深く関わっていることが知られています。

ダイエットに取り組む際、いつも同じように厳しい食事制限や激しい運動・筋トレを続けるのではなく、女性ホルモンの変化が体調や気分に与える影響を考えながら行うことも大切かもしれません。

ここでは、生理の周期における女性ホルモンの変化とダイエットの関係についてご紹介します。

生理中のダイエットで知っておきたい生理周期の基礎知識

生理(月経)はエストロゲン、プロゲステロンという2種類の女性ホルモンが増えたり減ったりすることでその周期を繰り返しています。これら2つの女性ホルモンの分泌量の変化は、私たちの体調や気分の状態にも影響を及ぼします。

生理が始まって次の生理が来るまでの期間を生理周期といいます。生理周期は女性ホルモンの分泌量の状態によって4つの期間に分けることができ(下図)、それぞれの期間の特徴は次のようになります。

生理(月経期)

図:生理周期と女性ホルモンの変化(28日周期の場合)

生理の初日から出血がなくなるまでの期間を月経期といいます。妊娠しなかった場合、子宮の内側を覆う子宮内膜がはがれ落ち、体の外に排出されることで生理となります。この期間はエストロゲンとプロゲステロンの分泌量ががくんと減少し、人によってはお腹や腰の痛み、頭痛や吐き気など、生理に伴う不調が起こることがあります。

卵胞期

エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が徐々に増えるのにともなって、子宮内膜も増え始めます。子宮内膜は受精卵が着床するためのベッドのようなものです。

エストロゲンが多い時期は、心を落ち着かせるセロトニンや、やる気を起こさせるドーパミン、記憶や思考などの認知機能を高めるアセチルコリンなどの神経伝達物質の分泌量が増加するといわれています。これらの物質が脳内で増えることにより、気持ちが落ち着いたり、やる気や集中力が増えたりすると考えられています。

排卵期

エストロゲンの分泌量がピークを迎えると、卵胞から卵子が飛び出す「排卵」が起こります。排卵期は短いため、体調に大きな変化は起こりにくいと考えられます。ただ、人によっては排卵痛といわれる下腹部の痛みを感じることもあります。

黄体期

排卵によって卵子が飛び出して空になった卵胞は黄体という組織に変わり、そこからプロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンが大量に分泌されます。エストロゲンも少量ですが分泌されます。

この期間は気分が落ち込んだり、イライラしたり、腹痛や頭痛、吐き気、食べすぎなど「月経前症候群(PMS)」の症状が出ることがあります。

PMSとは、月経前の3〜10日の間続く精神的症状または身体的症状のことをいい、その症状は生理が始まるとスーッと消えてしまうことが多いという特徴があります。PMSがなぜ起こるのかその原因はわかっていませんが、女性ホルモンの変動の時期とPMSの現れる時期が重なることから、女性ホルモンと関係しているのではないかと考えられています。

生理前は食欲旺盛? 女性ホルモンと食事量の関係

エストロゲンとプロゲステロン、2つの女性ホルモンにはそれぞれ特徴があり、ダイエットを続ける際に重要となる「食事」に関係するはたらきも異なっています。

生理前は食欲が増す?

卵胞期〜排卵期に多く分泌されるエストロゲンには、1回あたりの食事量を少なくする働きがあるという報告があります[*1]。

一方のプロゲステロンですが、先に紹介したPMSはプロゲステロンの分泌が増えるのにともなって症状が現れ、なかには食欲が増すという人もいることからプロゲステロンが増えることで食事量が多くなると思いたくなりますが、プロゲステロンそのものに食事量を増やす作用はないといわれています。

PMSで食欲が増すのは、気分の落ち込みやイライラなどネガティブな感情がPMSの症状として起こり、これらを解消しようとして「ストレス食い」や「やけ食い」などの過食に走る結果ではないかとされているようです [*1]。

生理前や生理中は体重にこだわりがち

生理前は過食になりがちで、その1〜3日後に体重が気になることが多いようで、生理前や生理中は体重へのこだわりが強くなると考えられるという報告があります[*2]。

「生理前や生理中は他の期間に比べて体重を気にしやすくなる」。このことを知っておくことは、ダイエットを続けるための一つのポイントになるかもしれません。

生理後の方が痩せるって本当?

生理後の卵胞期にはエストロゲンの働きで食欲が少なくなり、食事からの摂取カロリーが1日に約200~300kcal減少するといわれています。このカロリーの減少は、甘い食べ物の摂取が減ることで起こるという報告があります[*1]。

また、生理時やPMSの一症状としてむくみが起こることも少なくありません。むくみは体の水分が異常に増えた状態で、脂肪が付いて太っているもの(肥満)とは異なりますが、体重の増加につながることがあります。PMSは生理になると解消するので、生理後にはむくみが解消されて体重が減り「痩せた」と感じることもあります。

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