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ストレッチにはどんな効果がある? 効果的なやり方と回数

Hiromi(パーソナルトレーナー/理学療法士)

ストレッチを行うことでどんな効果が得られるか知っていますか? 今回はトレーナーのhiromiさんに期待できる効果の他、太ももやおなかといった部位別のおすすめストレッチ方法を教えていただきました!

運動が苦手で、痩せたいけれどがっつり筋トレするのはちょっと……。そんな方にはストレッチがおすすめです。

筋トレは多少自分を追い込む必要がありますが、ストレッチは軽い運動かつ気持ちが良いと思える動きが多いのも特徴。

今回はストレッチの具体的なやり方と効果が得られるまでにかかる期間をご紹介していきます。

ストレッチとは? エクササイズやトレーニングとの違い

ストレッチとは英語で「伸ばす」という意味で、その言葉通り筋肉や関節の柔軟性を高める運動のことを指します。

ストレッチと似た言葉として「エクササイズ」や「トレーニング」といったものがありますが、その違いはどこにあるのでしょうか?

エクササイズは厚生労働省の健康用語辞典によると「運動・活動量の単位」といわれています。一般には運動全般を指していることが多く、ストレッチに限らず筋トレや有酸素運動などもエクササイズの1つと考えられています。

トレーニングとは英語訳の通り、「訓練」することを指す言葉です。柔軟性をアップするためのトレーニングや筋力増強トレーニング、食事トレーニング、メンタルトレーニングなど、目標に向かって訓練することであれば種類を問わずトレーニングと表記されるようです。

ストレッチで得られる効果

ここからは、ストレッチを行うことでどんな効果があるのか詳しく見ていきます。

(1)痩せやすい体を作る

体重を減少させるには、摂取カロリーに対して消費カロリーを多くする必要があります。ストレッチだけでは消費カロリーを増やすことは難しいのですが、筋トレや有酸素運動を組み合わせることで減量に成功している事例は多くみられます。

また、運動が苦手という方こそ運動習慣を身に付ける第一歩としてストレッチがおすすめです。続けることで柔軟性がアップし筋トレもやりやすくなるので、結果的に痩せやすい体を目指すことができます。

(2)リラックス効果

ストレッチは筋肉の緊張をほぐすだけでなく、精神的なリラックス効果が得られたり寝つきが良くなったりするともいわれています。日々仕事や家事を頑張っている人こそストレッチを行うことをおすすめします。

(3)肩こり・腰痛解消

肩こりや腰痛の1つの原因として、関節・筋肉の硬さ、血流の停滞が挙げられます。ストレッチは関節や筋肉の柔軟性をアップさせ、血流を良くする効果があるため、肩こりや腰痛を解消する効果が期待できます。

ただ、体の状態によっては逆に症状を悪化させる可能性もあるため、痛みの無い範囲でゆっくりとストレッチをして、不安な場合は専門家の指導のもと行うようにしましょう。

(4)けが予防

ストレッチは肉離れや足首の捻挫予防に有効であるといった研究結果があります。

ただ、関節が柔らかすぎる(緩んでいる)と、関節の骨をつなぎとめる靭帯を傷めるようなけがをしやすい傾向にあるため、注意が必要です。もし肩や股関節の亜脱臼、靭帯を損傷した経験がある場合は無理に行わず、主治医の指示に従いましょう。

おすすめの部位別ストレッチ

ここからは、ストレッチのやり方を各部位別にご紹介します。

肩回りのストレッチ

(1)片方の手を床と水平になるように上げる

ストレッチ_効果1

立ったまま、もしくは椅子に座ったまま行います。片方の手を床と水平になるように上げ、反対側の肩の方へ近づけます。

(2)両腕で十字の形を作る

ストレッチ_効果2

(1)で上げた手とは反対側の手の肘を曲げ、両腕で十字の形にします。この時、曲げた方の腕で反対側の腕を胸に向かってぐっと引き寄せましょう。

真ん中の写真、OK例のピンク色の部分が伸びて感じればOKです。左右のNG例のように、肩をすくめたり上半身ごとねじったりしないように注意しましょう。

(3)肘を曲げて合掌する

ストレッチ_効果3

写真のように両手の肘を曲げ、合掌します。この姿勢のまま長く息を吐き、深呼吸しながら約30秒キープします。写真のポーズを取るのが難しい場合は(2)のポーズで約30秒キープしましょう。反対側も同様に行います。

おなかのストレッチ

(1)床に手をついて脚を広げる

ストレッチ_効果4

両手を床について体を支えながら、片方の脚を正座する時のように曲げ、もう片方の脚は後ろへ引きます。

(2)腕を上げてキープ

ストレッチ_効果5

後ろへ引いた脚側の腕を真上に引き上げて息を長く吐きます。そのまま深呼吸しながら約30秒キープしましょう。

(3)体を伸ばしながらひねりを加える

ストレッチ_効果6

写真右のように真上に腕を上げてキープする他、写真左のように上げた腕を斜め後ろへ伸ばしてキープしてもOK。痛みが無く気持ちいい程度に伸びを感じるところでキープしましょう。反対側も同様に行います。

太もものストレッチ

ストレッチ_効果7

あおむけに寝て、片方の膝を写真のように曲げて息を長く吐きます。そのまま約30秒キープしましょう。

ストレッチ_効果9

写真上段・中段のNG例のように腰が反ったり、膝が浮いたりしないように気を付けましょう。また、曲げた方の足の甲を床につけることが難しい場合、写真下段のように爪先を外側へ向けた状態にしてもOKです。

ストレッチ_効果8

どうしても腰が反ってしまったり、膝が浮いたりする場合はこのように肘をついて行います。反対側も同様に行いましょう。

ふくらはぎのストレッチ

(1)片足を前に踏み出す

ストレッチ_効果10

まっすぐに立ち、片足を1歩大きめに前へ踏み出します。

(2)ふくらはぎを伸ばしながらキープ

ストレッチ_効果11

前に出した方の膝を曲げながら重心を前方に移動させます。両手は前脚の膝に当て、上体を支えておくようにします。

後ろ脚のかかとで床をプッシュすると、よりふくらはぎが伸びるのを感じられます。この姿勢で息を長く吐きながら約30秒キープしましょう。反対側も同様に行います。

ストレッチの効果的な時間帯や期間とは?

リラックス効果やけが予防などさまざまな効果が得られるストレッチですが、どの時間帯にどれくらい続けると効果が出てくるのでしょうか。

おすすめの時間帯・タイミング

私がおすすめするストレッチを行うタイミングは、1日の中で自分が一番リラックスしている時間帯です。精神的に興奮している状態では筋肉が緊張状態にあるため、せっかくストレッチをしても効果が得にくいのです。

急いでいたり焦っていたりする時より、できるだけゆったりしている時の方が筋肉の緊張が緩みやすいので、例えば入浴後や夜寝る前など、自分にとってリラックスできる時間に行うようにしましょう。

また、ずっと同じ姿勢でいると血流が滞り、関節が固まりやすくなります。長時間座っているデスクワークや立ち仕事などが続いた時に行うと良いでしょう。

お風呂上りにするのが良いって本当?

お湯につかることで筋肉が温まります。それによって筋肉の緊張が緩みやすくなり、柔軟性も高まるのでお風呂上がりのストレッチはおすすめといえるでしょう。

効果を得るための頻度と期間

ストレッチを週何回・どのぐらい継続すればいいかについては、明確な結論は出ていません。

まず頻度については、柔軟性をアップさせるため、可能であれば毎日行うことをおすすめします。毎日が難しければ週3日からスタートしてみましょう。

継続期間については、左右2回ずつ×1日3セットを週4日実施したところ、2週目以降で柔軟性の改善がみられたという研究結果があります。せめてそのぐらいは諦めずに継続したいですね。

また、習慣的にストレッチを行った場合、1日に1~2回のストレッチを週3日、1カ月間続けて得られた柔軟性はその後ストレッチを全く行わなくても1カ月以上持続するという研究結果もあります。

まずは1日1種類のストレッチから

緩やかな動きなので運動が苦手な方でも続けやすいストレッチ。まずは1日1種類のストレッチから始めてみましょう。1カ月後の体の変化を楽しみにしながら、無理をせずにコツコツ続けてみてくださいね。

(文・撮影:hiromi)

■参考文献

・E-ヘルスネット. 厚生労働省

・金城 博子 : 日常生活での運動の取り組みとセルフモニタリングによる減量効果. 心身健康科学(8)2. 2012

・佐藤 友則 : メタボリックシンドロームの就労者に対する職域サポート型運動介入が運動セルフエフィカシーおよび身体活動,骨格筋量に与える影響. 理学療法学Supplement(43)2. 2016

・中村 浩一 : IDストレッチングが心身に及ぼす影響. 理学療法科学(26)1; 13-17. 2011
・永松 俊哉 : 低強度・短時間のストレッチ運動が深部体温, ストレス反応, および気分に及ぼす影響. 体力研究(110); 1-7. 2012 

・永松 俊哉 : 抑うつ改善に及ぼす運動の効果. 総合病院精神医学(25)3; 240-247. 2013

・市橋則明 : ストレッチングのエビデンス. 理学療法学(41)8; 531-534. 2014

・川口 梨沙 : ストレッチングの前処置としての表在性および深部性温熱療法の有効性に関する検討─ホットパックと極超短波療法に注目して─. 理学療法科学28 (5) : 641–645. 2013

・内川 智貴: 物理刺激ならびにストレッチが骨格筋の伸張性に及ぼす影響について. 理学療法学Supplement41(2), 1169, 2013

・渡邊 晶規 : 関節拘縮における関節構成体の病理組織学的変化. 理学療法科学22(1). 2007

・水野 貴正 : ストレッチング・サイエンス~ストレッチング研究の成果を現場に生かすために~. 中京大学体育研究所紀要(31). 2017

・小野 武也 : 関節可動域制限の発生を予防するために必要な関節運動時間の検討. 理学療法科学 27(4); 489–491. 2012

・平賀 康嗣 : ストレッチの長期的効果の出現時期-ハムストリングスでの検討-. 高知リハビリテーション学院紀要(20); 39-41. 2019

・食生活改善指導担当者テキスト「2生活指導及びメンタルヘルスケア」. 平成19年度厚生労働科学特別研究

※この記事は2020年10月27日に公開されたものです

Hiromi(パーソナルトレーナー/理学療法士)

パーソナルトレーナー、理学療法士。障がいを負う方々を見てきた経験から「一生使える体へ」をコンセプトに日常の体の使い方を伝えている。現在はパーソナルレッスンに加えて、Youtube・SNSなどや自身が立ち上げたオンラインサロン凛を通じて情報発信にも尽力している。

HP:hiromismooth.com

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