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目の疲れが肩こりにも影響!? 眼精疲労の解消法とは?

久保木香織

目が疲れると、体に不調をきたすことをご存じですか? 実は、肩こりも目の疲れからくる症状の一つなのです。今回は、眼科専門医の久保木香織先生に、目が疲れる原因と肩こりの関係について聞いてみましょう。

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どうして目が疲れると肩がこるの?

私たちが起きている間、無意識に酷使している目。パソコンやスマートフォンの長時間利用で目の疲れが日常的になってきていますが、どうして目が疲れると肩こりになるのか、その理由について伺いました。

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目が疲れる原因とは?

ドライアイによる眼精疲労

まず、パソコンやスマートフォンの画面を見続けると、まばたきをする回数が減って目が乾いた状態になり、ドライアイになる傾向があります。このドライアイが進行すると、眼精疲労を起こしやすくなってしまうのです。

紫外線やブルーライトによる網膜のダメージ

紫外線やブルーライト(パソコンやスマートフォンのLEDディスプレイに多く含まれる)のような強い光は、眼球内の光の通り道である角膜や水晶体で吸収されずに通り越して網膜に達してしまいます。すると、この網膜の中心にある黄斑という、視力に影響する視細胞が密に分布している大切な場所がダメージを受けてしまうのです。また、近年日本でも急速に増加しつつある疾患の「加齢黄斑変性」(視野の中央が暗く見えたり、ゆがんで見える症状として自覚することが多く、徐々に視力が低下したり、場合によっては急激な視力低下を起こすこともあります)も、ブルーライト増加の影響が指摘されています。

目の疲れと肩こりの関係性とは?

長時間にわたるVDT作業(ディスプレイ、キーボード等を使用したコンピューター作業) が、ドライアイや眼精疲労をまねくことは前述の通りです。こうしたドライアイや眼精疲労は、ピントが合いにくい、見えにくい、目の奥や頭が重い・痛いといった症状を引き起こし、肩こりに繋がることがあります。また、最近ではブルーライトこそが、目の疲れの大きな要因であることもわかってきています。ブルーライトは波長が短く散乱しやすい性質を持ち、まぶしさやチラつきとなるので、脳はピントを合わせるのに時間がかかり疲れやすくなります。脳が疲れて機能が低下すると、肩こりを招いてしまうこともあるのです。さらに、ブルーライトはほかの光よりもエネルギーが強いため、瞳孔が刺激に反応して縮まってしまい(縮瞳)、その際に目の筋肉が酷使されることにより、目の疲れ・肩こり・首の凝りなどに影響するのです。

肩こりをもたらす、目の疲れの解消法とは?

目が疲れる原因と、目の疲れが肩こりをもたらす関係性を教えていただきました。次に、目の疲れを解消する方法を伺いました。

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目薬の点眼

ドライアイが関与していることが多いので、目薬の点眼による保湿をオススメします。最近は、ドライアイでもいろいろなタイプに分けられ、点眼薬の種類も豊富なので、眼科を受診して的確な点眼薬を処方してもらいましょう。

保温

ホットタオルやホットアイマスクで目の周りを温めると、血行がよくなり筋肉をほぐす効果があります。目の周りの筋肉のコリも温めてほぐすと気持ちよくなります。スマホやパソコンを長時間使用する場合は、1時間おきに10分ほど目を閉じて休ませ、眉まわり、まぶた、目頭あたりを温めるといいでしょう。まぶたを温めることで、涙をコーティングする油膜の役割を持つマイボーム腺の機能が改善されるため、ドライアイにも効果があります。ただし、何らかの原因で充血していたり、炎症が疑われる場合は、温めることはオススメできないので眼科で一度充血の原因を診てもらうのがよいでしょう。

ツボ押し

目が疲れたら目頭と鼻のつけ根の骨との間にある「睛明(せいめい)」、瞳の中心の下で、骨の縁に沿ったくぼみにある「承泣(しょうきゅう)」というツボを押したり、温めたりしましょう。目のまわりだけでなく、肩先と首の真ん中にある「肩井(けんせい)」、首の後ろの生え際付近にある「天柱(てんちゅう)」というツボも血行を促進し、疲れ目を和らげるのに効果的です。

肩こりだけじゃない! 目の疲れからくる症状とは?

目の疲れを解消する方法がわかりました。最後に、目の疲れは肩こり以外にどんな症状を招くのか先生に伺いました。

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肩こり以外の症状

目の疲れが原因というより、その原因となっているブルーライトの影響になりますが……。ブルーライトに影響されるホルモンのひとつに「メラトニン」があります。メラトニンは、体内時計に働きかけて覚醒と睡眠を切り替える、睡眠ホルモンとも呼ばれるものです。夜間強い照明の中にいると体内時計が乱れてメラトニンの分泌が抑制され、睡眠や覚醒のリズムが乱れてしまうのです。また、睡眠の質が落ちると疲れがとれずにイライラしやすくなり、精神的にも不安定になるという悪循環を招くこともあります。さらに、メラトニンは抗酸化作用や疲労の回復などさまざまな効果を持つと考えられていて、影響を受けると慢性疲労を感じるようになってしまいます。夜間はブルーライトの刺激をできるだけ少なくして、脳を休めることをオススメします。

ほかにも、長時間ブルーライトを浴びると、「顔面神経(三叉神経)」が刺激され、痛みが引き起こされる場合があることもわかってきています。また、ブルーライトの明るく強い光は、網膜から脳を刺激します。メラトニン以外にも、アドレナリン、セロトニン、コルチゾールといった精神状態に影響するホルモンも刺激すると言われ、自律神経障害、さらには肥満にもつながることがわかってきています。

まとめ

知らず知らずのうちに目を酷使して、その疲れが肩こりという形で現れることがわかりました。疲れ目を放置すると、とりかえしのつかない症状になることもあるので、しっかりケアをしていきたいですね。

(文:久保木香織、構成:マイナビウーマン編集部)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.08.02)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

 

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