陰部にニキビ? デリケートゾーンの「できもの」の正体
デリケートゾーンにできる「できもの」って何? かゆみ、痛みなど症状から考えられる正体を解説。医師の高橋怜奈先生が治し方や対処法、できものを作らないための対策を教えます。
痛い、かゆい、赤く腫れる……。みなさんは、デリケートゾーンにできる「できもの」の症状に悩んだことはありませんか? このできものの正体とはいったい何? 今回は、できものができたときの対処法や予防策について、医師の高橋怜奈先生に解説をしてもらいました。
<目次>
デリケートゾーンにできる「できもの」の正体とは?
そもそも、デリケートゾーンにできるできものの正体とは? まずは、考えられる事例について、教えてもらいました。
(1)毛嚢炎(もうのうえん)
デリケートゾーンの外陰部(毛が生えている部分)にできやすいのが毛嚢炎(もうのうえん)です。これは顔のニキビと同様、毛穴がある部分にできるもの。毛穴に細菌が入ることで皮膚が炎症を起こし、発症します。炎症が悪化すると、「皮膚が赤くなる」「触ると痛い」などの症状が見られることも。ただし、かゆみはありません。部位としては、下着でこすれる部分にできやすいできものです。
(2)性器ヘルペス
性器ヘルペスは性行為によって感染します。痛みやかゆみといった症状とともに、赤いブツブツや水ぶくれができたり、皮膚がえぐれた状態になる「潰瘍」になったりするのが特徴。初めて発症した際には激しい痛みが伴い、その後は性交渉をせずとも疲れたときなどに発症することも。2回目以降の発症では初回よりは痛みが軽減され、軽い痛みやかゆみ程度でおさまることが多いでしょう。座るときやお小水のときに痛みを感じるならば、ヘルペスの可能性が考えられます。
(3)コンジローマ
ヘルペスと同様、コンジローマも性交渉により感染する性病です。症状は特になく、「デリケートゾーンにいぼができた」といった症状で受診される方が多いです。小さないぼがひとつだけできるケースもあれば、何個もできるケースもあります。放置すると、数が増えたり、大きくなったりすることも。かゆみや痛みは特にないのが特徴です。
専門医が解説! できものができたときの対処法
では、実際にこれらのできものができてしまった場合、どのような対処をすればいいのでしょうか? できものができたときにすべきことを、解説してもらいました。
デリケートゾーンのできものの治し方って?
毛嚢炎の場合は、抗生物質が含まれる薬が有効です。医療機関では、「ゲンタマイシン軟膏」という塗り薬などを処方されることが多いでしょう。ただし、毛嚢炎に関しては、必ずしも薬を使う必要はありません。顔の吹き出物が何もしなくても治るのと同様、いじらないでおけば自然に治癒していきます。炎症がひどい場合には、婦人科を受診して薬を処方してもらうのもオススメです。
ヘルペスとコンジローマに関しては、市販薬等がないため、早めに婦人科を受診してください。早く対処すればするほど、治癒も早くなります。なお、完全に治るまで性交渉は避けてください。パートナーに感染している場合もあるため、互いに検査、治療を受けるようにしましょう。
できものが潰れたときの対処法は?
そもそも、できものを自分で潰すのは絶対にNG。病院でできものを潰す際は、消毒を徹底しているため、「潰して治す」ことの自己管理は難しいでしょう。
万が一、潰れてしまった場合は、早めに医療機関を受診してください。必要があれば痛み止めや軟膏を処方してもらえます。また、普段のケアは自己判断で消毒などはせず、シャワーで洗い流す程度でOK。細菌が繁殖する原因となるため、あまりいじらないようにしてください。
デリケートゾーンのできもの対策4つ
では、日常でできるデリケートゾーンのできもの対策とは? 最後に4つの予防法を教えてもらいました。
(1)デリケートゾーン周辺にはカミソリを使わない
デリケートゾーンは自分では見えにくい部分のため、カミソリを使ったムダ毛の処理は肌を傷つける可能性があります。また、肌に刃を立てることで多少なりとも細かい傷がついてしまい、その部分から細菌が入ることも。したがって、カミソリの使用はなるべく避けてください。
(2)石けんで洗いすぎない
腟内にはデーデルライン桿菌(かんきん)という菌がいて、腟内のグリコーゲンという糖質を食べて乳酸を作り出しています。腟内は乳酸のおかげで、常にpH4.5~5.0の酸性に保たれ、菌の繁殖や感染を防ぐことができるのです。これを腟の『自浄作用』といいます。
腟内は特に手入れをしなくても自浄作用があるため、菌の繁殖を防いでくれています。しかし、通常のボディ用石けんなどで洗いすぎると、デーデルライン桿菌を殺菌し、自浄作用が働かなくなってしまいます。すると、カンジダ腟炎の原因になったり、洗いすぎの刺激のせいでかゆみの原因になったりするので要注意! 外陰部は粘膜のため、刺激を受けやすい部位。基本的にはシャワーのみでOK。どうしても気になる場合は、ボディ用石けんではなく、pHの調節もしてくれるデリケートゾーン用の石けんでやさしく洗いましょう。
(3)合わないナプキンは使用しない
合わないナプキンを使用し続けることも、できものができる原因につながります。特定のナプキンが肌に合わないと感じたら、使用を控えましょう。
(4)通気性のいい下着を着用する
下着は綿の素材など、通気性のよいものがオススメ。通気性のいい下着を着用することでムレを防ぎ、デリケートゾーンを清潔に保ちましょう。
まとめ
デリケートゾーンにできるできものの正体は、ニキビのような毛穴の炎症から、性交渉によって感染する性病まで、さまざまなケースが考えられることがわかりました。できものができた場合、その症状や特徴から適切な対処法を判断するのも重要ですが、自己判断に頼りすぎるのもNG。判断に迷ったら、一度医師の診断を受けましょう。
(取材協力:高橋怜奈、文:マイナビウーマン編集部)
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※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.05.24)
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