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皮膚科医が解説! アトピーの色素沈着に対処する方法

福永麻紀

アトピーの色素沈着の対処法についてご紹介します。

アトピーによって炎症を起こした部分が、黒ずんで見える……。アトピーの症状を抱える多くの人が悩む問題ですよね。この皮膚の色素沈着、対処法はあるの? 今回は、北青山Dクリニックの皮膚科専門医である福永麻紀先生にお話をうかがいました。

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<目次>

色素沈着ってどんな状態?

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そもそも「色素沈着」とは、どんな状態のことを指すの? まずは、色素沈着を見分ける方法について、教えてもらいました。

色素沈着とは、皮膚の基底層と呼ばれる表皮の一番下の部分にメラニン色素が増加した状態をいいます。見た目では、まわりの皮膚よりも色が濃い状態ですね。その境界がはっきりしていればシミと判断し、はっきりしていなければ一般的には色素沈着といいます。

虫刺されやかぶれによって、皮膚炎をこじらせて古い皮膚が厚くなる「苔癬化(たいせんか)」という状態が起こると一見色素沈着のように見えますが、これは角質が厚くなって、くすんで見えている状態。一方、色素沈着は皮膚自体が平坦で、色素だけ濃くなっている状態です。

アトピーによる色素沈着のメカニズムとは

では、アトピーによって色素沈着が起こるメカニズムとはどのようなものなのでしょうか? 解説を聞きました。

色素沈着の原因って?

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色素沈着は、何かしらの要因で皮膚が傷ついて炎症を起こしたあと、色素が濃く残っている状態を指します。色素沈着には一時的なものと慢性的なものがあり、アトピーの場合は慢性的なものに入ります。一時性な色素沈着とは、火傷やケガなどで皮膚が傷ついたときのほか、急激な日焼け、虫刺されやかぶれなど、短期間の炎症の後に起こるものです。

それに対して慢性的な色素沈着は、摩擦や刺激に長期間さらされてできるものです。たとえば、合わない化粧品をずっと使っていたり、アトピーの炎症を繰り返していたり。ナイロンタオルで背中をゴシゴシこすり続けている人は、その部分だけ色素沈着を起こすこともあります。「ナイロンタオル黒皮症」という病名までついているんですよ。

アトピーによる色素沈着はなぜ起こるの?

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アトピーの色素沈着においては、かいたり擦ったりすることで皮膚炎を繰り返してしまうことが原因です。アトピー性皮膚炎の人は皮脂が少なく、水分保持機能も低いため、乾燥肌になりやすいのが特徴。このため、皮膚のバリア機能が低下して外部刺激を受けやすく、かゆみや炎症の反復により皮膚の色素沈着が起こってしまうのです。

アトピーによる色素沈着が起こりやすい部位とは?

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色素沈着が起こる部分は人によってさまざまですが、顔の額、首、デコルテ、肘の内側、膝の裏側、背中などです。予防する方法は、炎症を繰り返さないこと。どうしても炎症は起こりやすいものですが、状態が良くなったときこそしっかりと保湿をし、外部の刺激に対して弱くならないことが大切です。

専門医が教える! 色素沈着の対処法とは

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では、色素沈着の対処法として、どんなことが有効なのでしょうか? 日常でできる対処法と、そのポイントについて聞きました。

(1)炎症を繰り返さないこと

色素沈着の程度にもよりますが、皮膚炎が落ち着いて色素沈着だけの状態になっている場合、時間はかかっても徐々に薄くなっていきます。そこには、炎症を繰り返さない努力と、日焼けに注意していくことがポイント。なるべく近所で通いやすく、気軽にスキンケアを相談できるレベルの皮膚科医を見つけて、定期的にチェックしてもらえるとより安心です。

(2)美白剤やレーザー治療はリスクあり

一般的な日焼けや火傷による色素沈着であれば、美白剤を使うこともあるでしょう。しかし、アトピーの方はその成分によってかぶれる場合もあるので、慎重に試す必要があります。レーザー治療などの方法もアトピー以外による色素沈着であれば考えられますが、アトピーの場合はその刺激によって皮膚炎をまた起こす可能性も高いのでオススメできません。

(3)「光吸収剤不使用」の日焼け止めを使う

色素沈着の予防策として、日焼け止めは有効です。選ぶ際のポイントは、比較的かぶれにくいものとして光吸収剤不使用のもの、光反射剤のみ使用のものがいいでしょう。パッケージの裏に必ず表示がありますので、参考にしてみてください。また、香料でかぶれやすい人など、人それぞれ体質が異なります。部分的にパッチテストを行ってから使用するといいですよ。

まとめ

アトピーによる色素沈着は、炎症を繰り返さないことが最大の治療のようです。時間はかかっても、努力次第で徐々に薄くなっていくというのは希望が持てますね。早めの治療を心がけ、良い状態のときこそ入念なケアを意識していきましょう!

(取材協力:福永麻紀、取材・文:水野久美)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.05.14)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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