流行のきざしを見せる「手足口病」。予防のポイントは?
乳幼児の手足や口のなかに発疹が出る「手足口病」が西日本を中心に流行のきざしを見せています。手足口病は「ヘルパンギーナ」や「プール熱」と並ぶ“三大夏風邪”のひとつとして知られ、夏に多く見られる感染症です。でも、今年は例年より早く患者が増え始めているとか。藤澤こどもクリニックの藤澤孝人先生に予防のポイントを聞きました。
手足口病とは?
「手足口病は名前の通り、手のひらや足、口の中などに2~3ミリの発疹がでるのが特徴です。症状が軽いことが多く、ほとんどの場合は安静にしていれば3~7日ほどで発疹が消えます。まれにけいれんや髄膜炎、脳炎などを併発し、重症化する可能性もあります」(藤澤先生)
手足口病の原因となる代表的なウイルスは「エンテロウイルス」です。しかし、2011年に大流行した時にはコクサッキーウイルスが過半数を占めるなど、年によっても異なります。そのため、子どものころにかかったとしても、再びかかる可能性があり、大人も油断禁物です。
エンテロウイルスは、ヘルパンギーナを引き起こすウイルスでもあります。ヘルパンギーナは口の中に発疹ができるという点では、手足口病と初期症状がよく似ています。一方で、手足口病は発熱したとしても37~38度程度で発熱しないこともありますが、ヘルパンギーナは40度近い高熱が出るのが特徴。いずれも口内炎がひどくなると食事をするのもつらくなるため、脱水症状にならないよう、こまめに水分補給する必要があります。
感染予防のポイントは「ウイルスを寄せ付けないこと」
手足口病の感染経路は、せきやくしゃみなどによる「飛沫感染」や「接触感染」のほか、排泄物のなかのウイルスが口の中に入り感染するケースもあります。手足口病にかかりやすいのは5歳以下の子どもですが、家族に幼い子どもがいるなど、乳幼児と接触する機会が多い人は要注意です。
「感染予防の基本は『手洗い』です。手足口病は治った後も1カ月ほど便のなかにウイルスが排泄され続けます。トイレやおむつ交換のあとは排泄物を適切に処理し、石けんと流水でしっかり手を洗いましょう。また、室内と室外の温度差が大きいと体調を崩しやすくなり、感染しやすくなります。室内を冷やしすぎないようにしたり、タオルケットや腹巻きで腹を冷やさないようにするほか、十分な睡眠をとることも大事です」(藤澤先生)
手足口病はウイルスに感染しても発病せず、症状が現れないケースもあります。そのため、自覚症状のあるなしに関わらず、手洗いなどで手指を清潔に保ち、部屋をこまめに換気するなど日頃から複合的な対策を心がけることが必要です。
(取材協力:藤澤孝人、文:島影真奈美+ガールズ健康ラボ)
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※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.12)
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