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花粉症の目のかゆみ、目薬でなく漢方薬で治せる!?

女性の多い、とあるオフィス。ここは、いつも和気あいあいアットホームな雰囲気。でも、やはりそこは働く女性ゆえのお悩みが。仕事のストレスやデリケートなカラダの悩みが尽きないお年ごろ。女同士だから話せる悩み満載のヒソヒソトークに、あなたも共感するかも!?

V美「こんにちは。よろしくお願いします。U子と同じで花粉症なんですが……」
丸山先生「ちょっと症状が重そうですね。目はかゆい?」

V美「すごくかゆいです。鼻もつまるんですが、目がかゆいのがツラくてそれどころではない、というぐらいです」
丸山先生「ちょっと目を見せてください。……まぶたと眼球の結膜が充血していますね。点眼薬などは使っていますか?」

V美「眼科でもらったアレルギー性結膜炎の点眼薬を使っています。毎年、この点眼薬でだいぶ楽になるんですが、今年はいつもより効かなくて……」
丸山先生「ほかに気になるところはありますか?」

V美「いつもより喉が渇く気がしますが、それ以外は特にありません」
丸山先生「ふむふむ……」

V美さんの体質や体の悩みをまとめると……

・毎年花粉症で目がかゆくなる
・眼科でアレルギー性結膜炎の診断。点眼薬をもらっている
・今年は点眼薬を使ってもかゆみがある。涙も出る
・目の周囲がむくんでいる
・鼻もつまるが、目がかゆくてそれどころではない
・いつもより喉が渇く気がする
・もともと体力はあるほうで、病気といったら花粉症くらい

あなたの傾向とは似ている? 似ていない?

V美さんの初診問診票はこんな感じです。

丸山先生「V美さんには越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を処方します」
V美「U子とはちがう漢方薬なんですね」

丸山先生「はい。越婢加朮湯は水毒と熱を取り除く薬です」
V美「水毒……? なんだか怖いですね」

丸山先生「水毒は、水滞ともいって簡単にいうと、体の中の水分の偏在のことです。たとえば、上半身に水が足りず、その分下半身に水が余計にあるような状態が偏在です。今回の場合は、目のまわりや鼻には水分が多いけれど、喉が渇くということは、喉には水分が不足している状態です」
V美「体の中に毒があるわけではなくて、水が偏ってるということなんですね」

丸山先生「そうですね。U子さんに出した『小青竜湯』も水毒を治す薬ですが、越婢加朮湯は、水毒にプラスしてさらに炎症が強いときに使うイメージです。また、含まれる生薬の特徴で、効果を感じるのも早いと思います。ただ……」
V美「ただ……?」

丸山先生「その生薬のために胃に負担がかかる場合があります。長い期間飲み続けるお薬ではないので、改善し始めたら服用回数を減らしましょう」

丸山先生の初心者講座1

漢方薬は、含まれる生薬の数が少ないほど効き方がシャープな傾向があります。越婢加朮湯に含まれる生薬は6種類、小青竜湯は8種類です。また、生薬の種類によっては胃腸への負担がある場合があり注意が必要です。今回は“麻黄”がそれに当たりますが、麻黄が多く含まれている薬はあまり長期間服用を続けるべきではありません。

~約4週間後の再診~

丸山先生「どうでしょうか?」
V美「飲み始めた次の日からかゆみがだいぶよくなりました。でも2週間後ぐらいから胃が少しムカムカするようになったので1日2回だけ飲むようにしました。もともと胃は強いほうなので大丈夫だろうと思ったのですが……」

丸山先生「胃腸にくるようなら、食前や空腹時でなく、食後に飲むのもひとつの方法です。量を減らしたらムカムカはおさまりましたか?」
V美「はい。いまはだいぶ症状が改善してきました」

丸山先生「それで目のかゆみが落ち着いているなら1日2回でもいいですし、徐々にかゆみのあるときのみ服用するようにしていきましょう」
V美「わかりました。花粉症の時期が終わるまで頑張ります!」

◇~4月末になってからのU子とV美~

U子「今年もようやく花粉症の季節が終わったね」
V美「そうだね。今年は漢方薬のおかげでだいぶ楽だったよ」

U子「私もV美に漢方薬をすすめてもらってよかった!」
V美「効き方によって差があるけれど、体の症状で困っていたらできるだけいろいろ試してみたほうがいいんじゃないかと思うよね」

U子「そうだよね。体って何をするにも基本だから、土台がちゃんとしてないと、生活を楽しめないし」
V美「花粉症だとメイクもうまくできないし、せっかくの春が憂鬱になっちゃう」

U子「私、生理痛もちょっと気になってるから相談してみようかな」
V美「そうしてみたら? 体の不調を放っておくのは禁物だよね!」

※効果には個人差があります。漢方薬の服用は医師の診断を受けてからをおすすめします。

(取材協力:丸山綾、構成:小川たまか、イラスト:miya)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.06.28)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

丸山綾 

日本東洋医学会(専門医)、日本産科婦人科学会(専門医)所属。1999年日本大学医学部卒業。駿河台日本大学病院、丸の内クリニック等を経て、現在、霞が関ビル診療所で婦人科医師として勤務。専門分野は産婦人科一般、漢方治療。

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