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社会人が陥りやすい「六月病」。どうすれば防げる?

小林城治

春先に「なんとなくやる気が出ない」「気力がわかない」といった症状は“五月病”としてよく知られています。でも、最近では新人研修や異動が一段落するこの時期によく見られることから「六月病」とも呼ばれ、話題になっています。なぜ、社会人は6月に気持ちが沈んだ状態に陥りやすいのでしょうか。J戸越銀座クリニック院長の小林城治先生に聞きました。

■期待と現実のギャップが「やる気レス」のひきがねに

「新卒者をはじめとする若手社員の場合は『仕事内容が考えていたものとちがう』『上司の指導が厳しくて耐えられない』など就職先への期待と現実とのギャップが原因になることが多いようです。一方、中堅社員の人は、ある程度仕事ができていたのに、新しい部署での仕事内容や人間関係に適応できないケースが多く見られます」(小林先生)

ただし、「五月病」や「六月病」は正式な病名ではなく、明確な定義もないそう。

「医学的に考えると、環境の変化についていけないことで起きる『適応障害』の一種と考えられます。適応障害は5月や6月だけではなく、夏休みを終えた9月や秋の異動を終えた10月頃に発症することもあるなど、季節を問いません」(小林先生)

適応障害のチェックポイントはうつ病と共通しています。五月病や六月病だと思っていたら、実は「うつ病」だったという可能性もあるとか。

「六月病」セルフチェックリスト

「適応障害の場合、通常は特定のストレスが原因になっているため、そのストレスが解消されれば、自然とよくなります。また、多少、気分が落ち込んだり、気力がわかなかったとしても仕事に支障がでていないようであれば、しばらく様子見で構いません。一方、会社を休みがちになったら要注意。自己判断せず、早めに医師に相談しましょう」(小林先生)

■六月病の同僚や後輩に叱咤激励は禁物!

おかしいなと感じたら、できるだけ早く病院に行くことが大切だとか。では、一緒に働いている同僚や後輩の様子がおかしいと感じたら、どうすればいいのでしょうか。

「欠勤が目立ったり、口数が減ったり、昼食をひとりで食べたりすることが目につくようなら、要注意です。不安や抑うつが強いときは、孤独感に襲われているので、積極的に声をかけ、一緒に解決策を考える姿勢を示すことが大切です。ただし、『がんばれ』などと叱咤激励するのは禁物です。エネルギーが枯渇しようとしている人をがんばらせようとすると、その励ます行為自体がストレスになると肝に銘じましょう」(小林先生)

六月病を予防するためには、日頃のストレスマネジメントが欠かせません。

「良質な睡眠と、きちんとした食事習慣がメンタルヘルスに与える影響は想像以上に大きいものです。できるだけエスカレーターではなく階段を使うなど、適度な運動を心がけることも大切。ヨガで心身ともにリラックスしたり、アロマテラピーで好きな香りをたいて心を落ち着かせるといったこともストレス解消に役立ちます」(小林先生)

(取材協力:小林城治、文:ミノシマタカコ+ガールズ健康ラボ)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.05)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2014年06月06日に公開されたものです

小林城治

医療法人社団ヘルメス会 理事長、J戸越銀座クリニック院長。群馬大学特殊教育課(ユング心理学)卒後 教員、講師を経て富山大学医学部(旧富山医科薬科大学)を平成9年に卒業。聖マリアンナ医大 神経精神科関連施設の勤務を経て、平成20年上尾の森診療所桶川分院院長に就任。平成20年9月にはJ戸越銀座クリニック、平成23年J品川クリニック開設。薬は出来るだけ抑え、自己治癒力UP、漢方療法、瞑想療法、人間力UPリワーク(復職支援)に力点をおいた診療を行っている。

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