精神不安定が続くときの対処法は? 漢方薬で解消できる?
C子(カン子先輩にすすめられるがままに来てしまったけれど、大丈夫なのかな……)
診察してくださるのは草鹿砥千絵(くさかどちえ)先生。草鹿砥先生のやさしい笑顔に一瞬ホッとしたC子でしたが、すぐにここ最近のことを思い出してため息……。
草鹿砥先生「悩みごと? 話せることだけでいいので、落ち着いて話してね」
C子「はい……。ここ最近、何となく気分が滅入った状態が続いているんです。もとからそんなに明るい性格ではないんですけど」
草鹿砥先生「問診票では、ここ数週間『喉に何かが詰まった感じがする』って書いていますね」
C子「ものが飲み込みにくいというか、息がしづらいというか……。泣き出す前の状態がずっと続いているような感じです。全然気にならないときもあるんですけど」
草鹿砥先生「そういうふうになったきっかけは、何か思い当たることがある?」
C子「この問診票にも思い当たることなどを書いてきました。彼氏とあまりうまくいっていなくて……。社内恋愛なのですが、彼の気持ちが本当に私にあるのか不安なんです。そのことで自己嫌悪になっているのかもしれません」
草鹿砥先生「(問診票の内容を見ながら)なるほど、なるほど……」
C子さんの体質や体の悩みをまとめると、
・心配性
・うつうつとした気分になることがある
・何でもメモを取るなど、真面目で几帳面
・周囲に気を遣いすぎて疲れることがある
・自分に自信がない
・緊張や不安があるときに喉のつかえを感じる
・神経質
C子さんの初診問診票はこんな感じです。あなたの傾向とは似ている? 似ていない?
草鹿砥先生「C子さんには、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)を処方しますね。これは『気を巡らせる』効果のある漢方です」
C子「薬で治るんですか? 内科では『気のせいじゃないですか』といわれたんです」
草鹿砥先生「それは、まさに『気のせい』なんです。『気』は心と体のパワーのようなもの。漢方医学では『気』をとても大事なものと考えていて、『気』の滞りを改善する薬もあるんですよ」
Point! 草鹿砥先生の初心者講座1
「気」とは生命活動に必要なエネルギーのようなもので、バランスの整った状態では全身を滞りなく巡っています。しかしC子さんのように何かのきっかけで、どこかに「気」の滞りが起こることがあります。
C子「気持ちが落ち込みやすいのも、そのせいなんでしょうか。彼のことでもすぐに落ち込んでしまうんです。同じ部署にすごくすてきな先輩がいて、彼は本当は彼女みたいな人とつき合いたいんじゃないかって思ってしまったり……」
草鹿砥先生「マイナス思考になりやすいんですね。春は特に、年度の切り替わりで環境の変化があるだけでなく、自然界の「気」の流れに、人の「気」の流れが影響されやすい季節です。何となくうつっぽくなることの多い時期なのですよ」
Point! 草鹿砥先生の初心者講座2
気が滞ることで、心の症状や体の症状が出ます。心の症状としては、何となく気分が滅入る、落ち込むなどで、体の症状としては、喉が詰まる、お腹が張る、ガスが溜まるなどです。
C子「そうなんですか。自分でも考え過ぎかなって思うこともあるんです」
草鹿砥先生「喉が詰まるほかに、お腹が張る、ガスが溜まる、胸のあたりがもやもやするという症状がある人もいます。まずは2週間、半夏厚朴湯を飲んで様子を見てみてください」
C子「わかりました。効果があるといいな……」