【医師監修】赤ちゃんに必要な母乳の量は?不足時のサインなど

【医師監修】赤ちゃんに必要な母乳の量は?不足時のサインなど

妊娠中から「赤ちゃんが生まれたら母乳で育てたい!」と考えているママも多いことでしょう。実際に母乳育児がスタートすると、母乳の量が足りているのか、ミルクを足したほうがいいのかなど、さまざまな悩みが出ることも。今回は母乳が出始めるタイミングや、母乳が足りないときのサインなどをまとめました。


一日に飲む回数は?

必要量は足りている?母乳を飲む赤ちゃん
Lazy dummy

※画像はイメージです

新生児期の赤ちゃんは1日にどのくらいの量の母乳を飲むのでしょうか?子の体質や運動量によっても変わってきますが、だいたいどのくらいの母乳を飲むのか解説します。

新生児には母乳をどのくらいあげる?

母乳の場合、授乳回数の目安としては1日8~10回といわれていますが、これはあくまでも目安。

回数にとらわれず、赤ちゃんが欲しがるときに飲みたいだけ飲ませてあげる「自律哺乳(じりつほにゅう)」という考え方もあり、その場合は授乳回数が10回以上になることもあります。

また、赤ちゃんを産んだらすぐに十分な量の母乳が出るわけではありません。母乳は産後2日ごろから出始め、3~4日ごろに量が増えることが多いとされていますが、その時期や量には個人差があり、十分な量が分泌されるまでにはもう少し時間がかかる場合もあります。

授乳量や回数について、不安があるようであれば医師や助産師に相談をしながら進めましょう。

赤ちゃんの胃の容量

赤ちゃんはなぜ少量ずつ、回数を多く母乳を飲むのでしょうか?その理由の一つとして、赤ちゃんの胃の容量が小さいということがあります。

生まれてすぐの赤ちゃんの胃の大きさはさくらんぼほどで、5~7ml程度しか容量がないとされています。

その後ママの母乳量が増えるのと同じように赤ちゃんの胃も大きくなりますが、生後3日目でくるみ大(容量は22~27ml程度)、生後1週間でもあんず大(容量は45~60程度)と大さじ2杯ほど。

新生児期が終わるころには80~150ml[*1]と成長しますが、それまではすぐにおなかが空くので、特に新生児期は必然的に授乳回数が多くなることになります。

もしかして母乳不足? と感じたら

大体の授乳回数がわかったところで、心配なのは「自分の母乳量で赤ちゃんは足りているの?」ではないでしょうか。おっぱいには目盛りが付いているわけでないので、実際に必要な量だけの母乳が出ているのかわかりません。ここでは、母乳不足のサインについて解説します。

母乳不足のサイン

赤ちゃんの胃の容量は小さく、一定量の母乳が出ていればすぐ満腹になり、おっぱいから離れます。

しかし、いつまでもおっぱいに吸い付いて離れなかったり、離すとすぐに泣く場合は、必要なだけの母乳が出ていないのかもしれません。母乳不足の見分け方としては、以下のようなものがあります[*2]。

授乳時間が30分以上かかり、赤ちゃんがなかなかおっぱいを離さない
・授乳しても1時間ほどでまた欲しがって泣きだす
・体重増加不良
・おしっこの量や回数が減る
・便秘が続く
・赤ちゃんが不機嫌

ただし、これらには赤ちゃんによって個人差があります。

便秘気味の赤ちゃんの場合は母乳量が十分だとしてもうんちがなかなか出ないこともありますし、暑い時期は汗をかくのでおしっこの回数が少なくなることもあります。

母乳が十分出ていても、眠いときはずっとおっぱいを吸っている赤ちゃんもいるので、目安のひとつとして参考にしてください。

赤ちゃんの体重の増加量を確認する

母乳が十分に出ていれば、赤ちゃんの身体も順調に大きくなります。そのため、赤ちゃんの体重の増減量から、母乳量が足りているか推測することができます。

生後3ヶ月までの赤ちゃんの目安となる体重の増加量は1日約25~30g[*3]くらいです。赤ちゃんの体重が、産院を退院した日の体重や前回の体重測定から1日30g前後増えているか確かめてみましょう。

一般的には1ヶ月で約700g~1kg程度体重が増加していれば、母乳は足りていると考えられるでしょう。

哺乳量測定という方法も

具体的にどのくらいの量を飲んでいるか知りたいという場合、赤ちゃん用のデジタルの体重計を使用する「哺乳量測定」という方法もあります。赤ちゃんの「飲む前の体重」を測定し、「飲んだ後の体重」を計り、差し引きから摂取した母乳量を計算するというものです。デジタル体重計はわざわざ購入しなくても、必要な時期だけレンタルで借りることもできます。

生後3〜4ヶ月は母乳不足になることも?

母乳不足となる原因は?

母乳量が増え、軌道に乗ると思われる生後3ヶ月や生後4ヶ月ごろでも、母乳や授乳に関するトラブルが発生することもあります。

・「遊び飲み」をするようになり、飲む量が減る
・1ヶ月健診の後、2~3ヶ月体重計測をしていなかったため、体重が増えていないことに気づきにくい
・ママの休養不足で母乳の分泌量が減る
・乳腺炎などおっぱいに問題が起きる

赤ちゃんへの対策

医学用語ではありませんが、授乳中にキョロキョロと周りを見たり、のけぞるような姿勢をしたりすることを「遊び飲み」と言ったりします。遊び飲みの理由のひとつとして、ママや赤ちゃんの周囲でおきていることに対し興味が出て、おっぱいに集中できないことが考えられます。落ち着いた静かな環境で授乳するようにしましょう。

また、赤ちゃんの体重増加に関しても、健診以外では把握していないというママも少なくありません。

この時期は毎日のように計る必要はありませんが、できれば月に1回は計測するといいでしょう。

赤ちゃん用の体重計は、ショッピングモールなどの授乳室にもあります。お買い物のついでに計るのもいいかもしれません。

ママへの対策

生後3~4カ月というと、育児に慣れつつあるころ。

一方で、寝不足や蓄積された疲労などによって母乳の分泌量が少なくなっていることもあります。毎日お世話や授乳で大変だとは思いますが、疲労をためないように休息をまめに取りましょう。

また、この頃になると新生児期に比べ、赤ちゃんのおっぱいの飲み方が上手になり、ママのおっぱいの状態も安定してきますが、授乳間隔があいた場合などは乳腺炎などのトラブルになることもあります。

長時間授乳ができない場合は、適度に搾乳するなど対策を行いましょう。

母乳にこだわりすぎず、粉ミルクを足すことも検討する

母乳のみで育てている場合、医師が体重の増加量などから判断しミルクを足すように指導を受けることもあります。

「絶対に母乳だけで育てたい!」と、母乳のみの育児にこだわるママもいるかもしれませんが、医師や保健師・助産師に指導された場合は、母乳+粉ミルクの混合も検討しましょう。

粉ミルクの味や哺乳瓶に赤ちゃんが慣れれば、ママの体調が悪いときや外出時などに、パパや周囲の人がミルクを与えることもできます。

まとめ

母乳は最初から十分な量が出るわけではありません。母乳育児が軌道に乗るまでは時間がかかることもありますので、母乳が出なくてもおっぱいを吸わせてあげることも大切です。どうしても母乳が出ない場合は、粉ミルクもうまく取り入れてみましょう。

自分を責めたりせず、授乳に関して不安なことがあるときは一人で悩まないで助産師やかかりつけの医師などに相談し、気持ちを軽くして育児に取り組みましょう。

この記事の監修ドクター
なごみクリニック院長 武井智昭先生
慶応義塾大学医学部卒業後、平塚共済病院小児科医長を経てなごみクリニック院長。日本小児科学会専門医、指導医。臨床研修医指導医。インフェクションコントロールドクター(日本小児感染症学会)。現在、0歳から100歳までの「1世紀」を診療する医師として、家庭医として地域医療に従事しながら、メディア等での執筆・監修を多方面で行っている。

参考文献
[*1]メデラ「新生児の胃の大きさの目安」
http://medela-mama.jp/tips/docs/1.pdf
[*2]母性看護過程(医学書院)「母乳不足の見分け方」p.857
[*3] Casey PH. Failure to thrive. Developmental-Behavioral Pediatrics 4th eds. Carey WB, Crocker AC, Coleman WL, Elias ER, Feldman HM eds. Saunders Elsevier Philadelphia PA. pp.583-91,2009

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビウーマン子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.08.20)

※記事の修正を行いました(2019.05.31)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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