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2022年12月02日 11:26 更新

【医師監修】新生児の呼吸数はどのくらい? 正常範囲と注意点

新生児の呼吸が荒いように見えると、苦しがっているのか、病気ではないか気になりますね。新生児の呼吸数の正常範囲と呼吸に異常があるときの対処を知って、赤ちゃんが本当に苦しいときはすぐに対処してあげましょう。

新生児の呼吸数、どのくらいがふつう?

呼吸数が気になる新生児を抱くママ
Lazy dummy

新生児の呼吸数は大人よりも多いのがふつうです。

1分間に約40回~50回

新生児の1分間の平均的な呼吸数は40〜50回程度。もう少し育った乳児は30~40回くらいです。大人はおおよそ12〜18回[*1]で、新生児の呼吸数は大人の2.5~3倍ととても多くなっています。

呼吸数は寝ているときは少なめになったり、泣いたときには多くなったりと変動があります。成長するにつれて平均的な呼吸数は減っていきますが、大人よりも多い状態は学童期まで続きます。

新生児期から学童期は肺が発育している段階で、1回の換気量が少ないので呼吸数が多くなるのです。新生児の呼吸数が特に多いのは、肺がまだ発育し始めたばかりで、酸素を取り込み二酸化炭素を排出する「肺胞」の数も少ないからです。

寝ている間に無呼吸になることも

寝ている赤ちゃんを見ていると、気持ち良さそうに眠っているものの、たまに呼吸が止まっているように見えることがあります。これは健康な赤ちゃんでも見られることで、1回につき5~10秒ほど無呼吸になることは珍しいことではありません。

新生児~低月齢の赤ちゃんは、呼吸を調節する機能が未発達なので起こることです。赤ちゃんの顔色がよく、起きてからも機嫌がよければ問題ありません。生後数ヶ月経ち呼吸中枢が発達してくると、徐々に見られなくなっていきます。

注意したいのは「無呼吸発作」です。20秒以上呼吸が止まったり、チアノーゼ(唇が紫色になる、顔色が悪くなる)になったり、脈がゆっくりになる状態で、繰り返すときは医療機関で検査をして原因を調べる必要があります。とくに早産や低体重で生まれた赤ちゃんは起こしやすいといわれていますが、その場合、ほとんどがしばらくすると起こさなくなっていきます。

ただ、どちらにしても観察や対処が必要で、乳幼児突然死症候群につながることもあるので、無呼吸発作の症状が見られたらすぐに受診をしてください。

呼吸が不規則になることも珍しくない

新生児の呼吸は、寝ている間に急に早くなり、またゆっくりになるなど、不規則になることもあります。このひとつの要因は、新生児では呼吸のパターンやリズムが未熟なことですが、そもそも赤ちゃん含めすべての年齢の人で、さまざまな理由から呼吸が不規則になるのは珍しいことではありません。

すぐにいつもの呼吸に戻り、苦しそうな様子や、顔色が悪くなるといったことがなければ心配ないでしょう。

気になる時は呼吸数を数えてみよう

赤ちゃんの呼吸数がいつもとちがう気がして心配な場合は、次の方法で呼吸数を数えてみましょう。

呼吸数の数え方

赤ちゃんが落ち着いていれば、胸の動きを目で見て、1分間呼吸数を数えてみましょう。10秒間数えたものを6倍するという方法もあります。

目で見て数えるのが難しいと感じるときは、胸の上に軽く手を置いて数えます。

新生児の呼吸がおかしいときは

新生児の呼吸数が普通ではないと感じたときは、次のように対応してください。

1分間に60回超えは呼吸困難のサイン

年齢に関わらず、「1分間に60回を超える」呼吸数が続くのは異常な状態です。新生児は呼吸数が多いといっても、1秒に1回呼吸をしているような状態は要注意。

この状態は「多呼吸」と呼ばれ、呼吸困難のサインです。呼吸器に何か問題がある可能性があるので、すぐに医療機関を受診しましょう。逆に1分間の呼吸が10回未満と少ない場合も同様に受診をしてください。

赤ちゃんの呼吸がおかしいとき、救急車を呼ぶ目安

次の症状は呼吸困難のサインです。ひとつでも当てはまるときは、原則、救急車を呼んでください[*3]。

1)多呼吸になっている(1分に60回を超える呼吸数)

2)息を吸うときに鼻の穴が広がる、小鼻がピクピク動く(鼻翼呼吸)

3)息を吸うたびに肋骨の間やみぞおちがペコペコへこむ(陥没呼吸)

4)息を吐いたときにヒュー・ゼーなどの音がする

5)唇が紫色になる、顔色が青白くなる

6)呼びかけても反応がない

7)咳が出て声が聞き取れないほどかすれている


新生児は症状が急変することもあります。上記以外の場合でも、呼吸が浅い、苦しそうなど、何かおかしいと感じたら近くの医療機関を早めに受診してください。

赤ちゃんの呼吸を妨げないために

呼吸数が少なくて心配な新生児
Lazy dummy

赤ちゃんの呼吸を妨げないために、次のことに注意しましょう。

鼻水は取り除く

大人は口からも呼吸ができますが、赤ちゃんは口から呼吸ができず、鼻呼吸に頼っています。そのため、鼻が詰まっただけでも苦しくなって呼吸困難となってしまいます。新生児は風邪でなくても鼻水が出やすいので、鼻水が出ていたら吸い出してあげましょう。

鼻水がひどく苦しそうなときは小児科を受診してください。

お腹をしめつけない

大人は腹式呼吸と胸式呼吸が組み合わさった「胸腹式呼吸」ですが、赤ちゃんは「腹式呼吸」をしています。そのためお腹が張ると呼吸が苦しくなることも。

おむつや洋服でお腹をしめつけた場合も、同様に苦しくなってしまうことが考えられます。おむつを当てるとき、服を着せるときは、お腹をしめつけないようにしましょう。

仰向けで寝かせる

乳幼児突然死症候群(SIDS)は、仰向けよりもうつぶせで寝かせたときの方が発生率が高いことがわかっています。何か事情があって医師からうつぶせ寝を勧められているのでなければ、赤ちゃんの顔が見える仰向けで寝かせるようにしましょう。睡眠中の窒息事故の予防にもつながります。

まとめ

新生児の呼吸数はもともと大人よりもだいぶ多いもの。時々無呼吸になることや、呼吸が不規則になることも珍しくありません。これらは普通、成長に伴っておさまっていくもので、赤ちゃんが元気で機嫌がよく、すぐに通常の呼吸に戻るようなら心配ありません。ただ、呼吸困難の症状として呼吸数が多くなることもあります。心配なときは呼吸数とほかの症状をチェックし、具合が悪そうな様子や気になることがある場合はすぐに受診しましょう。

(文:佐藤華奈子/監修:大越陽一先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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