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2022年12月02日 11:23 更新

【助産師解説】新生児の吐き戻し、3つの主な原因と小児科受診の目安

新生児期の吐き戻しについて、その原因と対策を助産師がアドバイスします。赤ちゃんの吐き戻しは生理的なものと言われても、その量や頻度が多いと心配になりますよね。原因別の対策を立てて、不安を取り除きましょう。

新生児がよく吐き戻す原因と対策

吐き戻しする新生児
Lazy dummy

赤ちゃんの吐き戻しは、出方によって溢乳と嘔吐の大きく2つのパターンに分かれます。

溢乳(いつにゅう)とは、授乳後に口から少量の母乳やミルクがだらだらと出てくる状態を指します。授乳後に乳が吐き出されることに変わりはありませんが、赤ちゃん特有の生理的な現象なので問題はありません。「吐く」という言葉には病気のようなイメージが含まれるので、このような現象には「吐」という漢字がつかない「溢乳」という言葉が昔から使われています。

一方の嘔吐(おうと)は、授乳後に多くの量を一度に吐く状態、または飲んだ母乳やミルクを勢いよく吐き出す状態を指します。嘔吐の場合は生理的なもの以外の要因がひそんでいる可能性があり、その他に見られる症状によっては危険な場合もあるので、注意が必要です。

では、新生児の吐き戻しにはどのような原因があるのでしょうか。考えらえる3つの要因と対策についてお伝えします。

1. ゲップ不足の可能性

吐き戻しが起こる原因のひとつに、ゲップの不足が考えられます。

赤ちゃんは、哺乳方法によっては母乳やミルクを飲む際に空気も一緒に飲んでしまいます。まだ飲むのが上手でない新生児期は、よりそうでしょう。空気を飲む量が多いと、授乳後にしっかりゲップをさせないと吐き戻しやすくなるので、吐き戻しが多い赤ちゃんは、まず授乳後にしっかりゲップをさせてあげるよう心がけましょう。

また、母乳の場合はラッチオン(吸着)がうまくいかないと空気を飲みやすくなります。飲むときに赤ちゃんがおっぱいを深くくわえているか、唇を巻き込んでいないか、吸うときに舌打ちするような音がしないかなど、正しくくわえられているかを常に確認しましょう。

ミルクの場合は、乳首の形やサイズが赤ちゃんの口に合わなかったり、ミルクを飲み終わった後も吸い続けると空気を飲みやすくなります。

2. 飲みすぎの可能性

新生児の吐き戻しの原因には飲むすぎのことも。哺乳瓶と赤ちゃんの手。
Lazy dummy

時間をかけてゲップをさせようとしてもゲップが出ない、あるいはラッチオンなどを見なおしたけれど一向に吐き戻しが改善されないというときは、他の可能性が考えられます。そのひとつが、飲みすぎです。新生児期の赤ちゃんの胃はとっても小さいので、母乳やミルクを必要量以上に飲ませてしまうと飲み過ぎた分は吐いてしまいます。

飲みすぎになってしまうのには、多くの場合に母乳の不足感が要因となります。母乳はミルクと違って飲んだ量がはっきりわからないので、授乳したのに赤ちゃんが泣き続けたり、ぐずったりすると、「もしかして母乳が足りてない?」と心配になりやすいです。不安になって必要以上にミルクを足してしまうと、本当は足りていたとしても赤ちゃんは与えられるままに飲み続け、飲んだ量が多すぎてたくさんの量を吐き戻すことにつながります。そして、吐き戻したことで再び泣き、また授乳する。飲みすぎてまた吐く……という悪循環に陥る場合もあります。

吐き戻しが多いときは、まずはどれくらい母乳が飲めているか「直母量」※を測ることをお勧めします。そこで母乳の出具合と赤ちゃんの体重増加具合、一日の哺乳回数や一回量をチェックしてトータル的に母乳が多すぎなのかどうか確かめていく必要がありますので、一度助産院や保健師さんに相談してみることをお勧めします。

※直母量:赤ちゃんが母乳を飲み取っている量。授乳前後の赤ちゃんの体重の差分で量る。

3. 病気の可能性

決して飲みすぎているわけではないのによく吐く、または勢いよく噴水のように大量に吐く、嘔吐以外にも症状が見られるという場合は、幽門狭窄症や胃軸捻転症、そのほか感染症など病気が原因の可能性もあります。

次の「危険サイン」を参考に、医師に相談してください。

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赤ちゃんの嘔吐について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎赤ちゃんが嘔吐!? 4つの原因と対処法とは?

こんなときはすぐに受診!吐き戻しの5つの危険サイン

嘔吐とともに以下のような症状が見られるときは、すぐに小児科などを受診しましょう。

・嘔吐したものが黒・茶色・黄色など色がおかしい
・これまでなかったのに、急に勢いよく、あるいは大量に吐くようになった
・授乳後の呼吸がおかしい
・不機嫌、飲みっぷりが悪い、顔色が悪いなど、気になる様子が見られる
・発熱、下痢、血便などの症状を伴う

これ以外にも気になる様子があれば、まずは「#8000」にかけて相談しましょう。これは「こども医療でんわ相談」と言って、休日や夜間でも子供の体調に不安があるような時、対処法や救急受診するかどうかの指示を受けられます。電話で相談に乗ってくれる人も、小児科のお医者さんや看護師さんなので、的確な判断をしてもらえます。

また、体重がなかなか増えない・増え方が悪いという場合や、毎回のように吐くといった場合にも、原因を見極めて対策を立てることが大切です。かかりつけの医師に相談し、一緒に要因を探してみましょう。

まとめ

生後間もない新生児期に吐き戻しが多いと、ママは不安になってしまうでしょう。でも、だらだらと乳を垂れ流す溢乳(いつにゅう)であれば、生理的な現象なので心配することはありません。特別な対処も必要ないですが、寝ている間に吐いてしまう可能性を考え、授乳直後は顔だけを横に向かすなど対応しましょう。
吐き戻しの場合は主に3つの原因が考えられるので、どのような要因による吐き戻しかを見極め、適切に対応することが大切です。対策しても吐き戻しが一向に改善されないときは、かかりつけの小児科や地域のサポート施設に相談してみてください。また、吐き戻しとともに不機嫌、飲まない、発熱、下痢など他の症状が見られるときも、すぐに医療機関を受診しましょう。

(文・構成:マイナビ子育て編集部、監修・解説:佐藤裕子先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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