新生児のゲップ、どうだった? ~ママ体験談~

(30代、長女2歳、会社員)
赤ちゃんはゲップさせないとダメ?
赤ちゃんには、なぜゲップをさせなければいけないのでしょう。まず、ゲップにどんな意味があるのかを知りましょう。
ゲップとは?
ゲップは医療用語では「曖気(あいき)」といいます。
食道と胃のつなぎ目には噴門(ふんもん)があり、胃の中の圧が強まると噴門が開き、胃にたまった空気やガスが押し出されます。これがゲップです。
赤ちゃんの噴門の筋肉は弱いため、少しの刺激で開き、しばしば母乳やミルクなど胃の内容物を吐いてしまいます。
赤ちゃんは母乳などと一緒に空気を飲みこんでいる
赤ちゃんは母乳やミルクを飲むときに、一緒に空気も飲みこんでいます。
実は、大人も食べ物や飲み物と一緒に空気を飲みこんでいるのですが、その多くは血液に溶け込み、ゲップはたまにしか出ません。
一方、赤ちゃんは胃の大きさに対してたくさんの空気を飲みこんでいます。
例えば、哺乳びんでミルクや母乳を飲む場合は、哺乳瓶の仕組み上、必ず空気も飲み込むことになります。哺乳瓶の中に空気が入らないと、ミルクが出てこないからです(最近は空気が赤ちゃんの口に入りにくい構造の哺乳びんもあります)。乳首から母乳を飲む際には、哺乳瓶で飲むよりも空気は入りにくいのですが、新生児の頃など吸い方が上手でないときは空気を一緒に飲みこんでいます。
また、授乳の時だけでなく、赤ちゃんは泣いているときも空気を飲み込んでいます。
赤ちゃんにゲップをさせないと?
赤ちゃんの胃の形は大人と比べてとっくり型なので吐きやすい構造をしています。授乳の後に少し吐くことをいつ乳といいますが、これは生理的なものなので問題ありません。
ただ、空気をたくさん飲み込んだままにしておくと胃の中の空気が母乳やミルクを吐き戻しやすくなってしまいます。
新生児にゲップをさせる方法~出し方3パターン~
簡単にゲップが出るときもあれば、なかなか出ないときもあります。ゲップはいつ、どうやって出させるのがいいのでしょうか。なかなか出ないときは、別の体勢で試してみましょう。
ゲップはいつさせればいいの?
ゲップをさせるタイミングは「授乳直後」という方が多いですが、途中でさせても構いません。むしろ、途中にさせたほうがゲップを出しやすいという意見もあります 。
途中といっても、気持ちよくおっぱいを飲んでいる赤ちゃんに無理やりゲップをさせるのでなく、ちょっと一息ついているなというタイミングや、おっぱいの左右を変えるときなどがチャンスです。飲みながらむずかっているときも、すでに空気を飲みこんで苦しいのかもしれません。授乳中の赤ちゃんの様子を見て、ゲップさせましょう 。
ゲップの出し方 その① 縦抱き
・赤ちゃんの抱き方・支え方
赤ちゃんの顔が正面にくるぐらいまで抱き上げます。吐き戻すことがあるので、ママの肩にガーゼなどを載せ、その上に顔をおくようにしましょう。
肩にもたれさせかけ、片手でお尻を支え、もう一方の手で下から上に向かって背中をさするか、優しくトントン叩きます。
・ポイントと注意点
ママのからだの中心側にあかちゃんの重心が乗るよう密着させ、赤ちゃんのお腹を軽く圧迫することです。こうすることで、程よく胃が押されてゲップが出やすくなります。注意点は、首をぐらぐらさせないように支えて、優しく叩くことです。
ゲップの出し方その② 座って
・赤ちゃんの座らせ方・支え方
ママの腿の上に赤ちゃんを右向きに座らせます。赤ちゃんの右腕がママのお腹にくる状態です。やりづらかったら違うほうの手でも大丈夫です。左手で首の後ろを支え、右手を広げて、赤ちゃんのあごをもち、少しだけあごを上に傾けます。右手に赤ちゃんの体重が乗ったら左手で下から上に向かってさするか優しくトントン叩きます。
・ポイント
右手は、赤ちゃんの首を絞めないように注意しましょう。手のひらを赤ちゃんの胸に当て、指であごを支えます。
赤ちゃんを「胃から口までを一直線にする」ことです。こうすると、空気の通り道がまっすぐになるので、胃にたまった空気が口から出やすくなります。
ゲップの出し方 その③ うつ伏せ
・赤ちゃんの寝かし方・支え方
赤ちゃんのお腹を下にして、ママの太ももと垂直になるようにして、太ももの上に赤ちゃんをうつ伏せで寝かして背中を下から上にさするか、とんとんとたたきます。こうすると、お腹が赤ちゃんの体重で圧迫されます。また、噴門(食道と胃の境目)は背中の方を向いているので、うつ伏せの姿勢は空気が出やすくなります。
・注意点
赤ちゃんをうつ伏せにして眠らせることは、SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクを上げます。なかなかゲップが出ないからと言ってうつ伏せで放置することはせず、必ずママが見守れる環境で、落下などに注意しつつ行いましょう。
赤ちゃんのゲップ、こんなときどうする?
なかなかゲップが出なかったり、ゲップをする前に寝てしまったり、「こんなとき、どうする?」というゲップの疑問は他にもいろいろあります。必ずしもゲップが出るわけではないし、ゲップが出ても吐いてしまうことはあるのですが、少しでも吐きにくい状態にしてあげるために以下のことを試してみましょう。
ゲップしないで寝てしまった
赤ちゃんはゲップ以外にも、吐いたり、おならをしたり、泣いたりすることで、お腹にたまった空気を自然に出しています。ゲップをしないで寝てしまったときは、頭側を少しだけ高くして寝かせると空気が出やすい状態になります。苦しそうでなければ、そのままで大丈夫です。
いつまでゲップをさせる必要がある?
個人差がありますが、赤ちゃんの母乳やミルクの飲み方が上手になってくると、ゲップをしなくても、お腹が張らなくなってきます。首が据わってくる生後3~5ヶ月頃が目安で、授乳後に苦しそうにしなくなれば大丈夫です。
ゲップは一回出ればOK?
授乳直後に大きな音で、1回で出るときもありますが、まだ残っていることもあります。よく吐く子や、不快そうであれば、少し長めにさすってあと1、2回出させてあげます。
こんなときは受診を
新生児は胃の位置が定まっていないため、まれに、上後方にねじれてゲップが出しにくい「胃軸捻転症」になることがあります。ゲップが出せず終始機嫌が悪い、お腹が張っているというときは、小児科を受診しましょう。
まとめ
ほんの一時期のこととはいえ、ゲップは授乳ごとのルーティンワークですから、「たかがゲップ、されどゲップ」悩みは尽きないものです。あっという間に過ぎていく赤ちゃんとのふれあいのひとときだと思って、深刻にならずに、楽しんで取り組んでほしいと思います。
東京慈恵会医科大学附属病院の産科、NICU勤務や地域の産婦人科病院にて、妊娠・出産・母乳育児指導・NICUにおける母乳育児指導などに関わる。現在は保健センターで妊婦向けに保健指導を行っている。 自身も、二人の男子を子育て中。
(文・構成:マイナビウーマン子育て編集部、監修・解説:清水茜先生)
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※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました
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