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2022年12月02日 11:24 更新

【医師監修】魔乳とは?新生児から母乳が出る原因と対処法

新生児の赤ちゃんの胸からお乳が出ることがあります。ここでは、どんなふうにお乳が出るのか、原因は何か、どう対処すればいいのかなどを説明します。また、同じような原因で新生児の女の子の性器から出血する「新生児月経」も紹介します。

新生児から母乳?魔乳とは

新生児

新生児の赤ちゃんの胸から、わずかに白い汁が出たら「魔乳(まにゅう)」かもしれません。魔乳とは何か、その原因とともに知っておきましょう。

魔乳とは

魔乳とは、「新生児の赤ちゃんの乳首から出る白い乳汁のこと」で、医学用語ではなく、一般的な言葉です。

魔乳が出るとびっくりするかもしれませんが、病気ではありません。女の子だけでなく男の子にも一時的に起こることがある現象です。なお、乳汁が出る以外にも、わずかに乳房が膨らむこともあります。

魔乳の原因

魔乳は、お腹の中にいたときにママから受け取った女性ホルモンの影響で起こります。

妊娠中、ママの体の中では「エストロゲン」という女性ホルモンが増加します。胎内にいる赤ちゃんもそのエストロゲンをママから受け取っています。誕生後にも赤ちゃんの体の中にはエストロゲンが残っており、その影響で乳腺が発達して一時的にお乳が出ることがあるのです。同じ理由で乳房が膨らむこともあります。

なお、魔乳や乳房のふくらみは、すべての新生児に起こるわけではなく、起こらない赤ちゃんもいます。

魔乳が起きたときの対処法

赤ちゃんの世話をする様子

魔乳が起きたら、何か対処した方がいいのでしょうか? 魔乳の対処法について説明します。

魔乳があっても特に心配はない

時間が経つとママから受け取った赤ちゃんの体内のエストロゲンは薄れて消えていき、魔乳が起こらなくなります。これは男の子でも女の子でも変わりません。

そのため、魔乳が起こっても特に対処する必要はありません。そのうちに出なくなるので、心配せずに様子を見守っておきましょう。

魔乳は絞ったほうがよい?

ママの場合、乳房に母乳が滞ってしまうと乳腺炎のリスクとなるので、魔乳も搾ったほうがよいのではないかと思うかもしれませんね。しかし、魔乳が原因で赤ちゃんの乳腺に炎症が起こることはありません。むしろ無理に搾ることで乳腺を傷つけてしまい、雑菌が入ってしまう可能性もあります。魔乳は軽く拭く程度で大丈夫です。

ホルモンによる現象には「新生児月経」もある

おむつ交換

ママから受け取った女性ホルモンは、魔乳以外にも「新生児月経」という現象を引き起こすことがあります。魔乳とともによくある現象として知っておきましょう。

新生児月経とは

新生児の女の子の場合、生後3~7日目ごろに性器からわずかな出血や、赤・ピンク・茶色のおりものが出ることがあります。これは「新生児出血」といって、魔乳同様、胎内にいたころにママから受け取った女性ホルモンの影響で起こる現象です。

胎盤を通じてママから女性ホルモンを受け取り続けていると、赤ちゃんの子宮内膜も厚くなっていきます。ところがママの体から生まれ出た後は、胎盤から受け取っていた女性ホルモンが来なくなり、体内の女性ホルモンの量が減っていきます。そこで子宮内膜が脱落して、新生児月経が起こるのです。

魔乳と同じように新生児月経も、赤ちゃんの体内から女性ホルモンが薄れて消えるにつれて起こらなくなります。たいていは1週間ほどで自然に止まります。

なお、男の赤ちゃんには子宮がないため、新生児月経は起こりません。

新生児月経にはどう対処する?

新生児月経が起こっても、赤ちゃんのお腹が痛くなったり貧血を起こすことはありません。新生児月経は起こってから1週間ほどで自然に止まるので、しばらく様子を見ておけば大丈夫です。

ただし、大量におむつに血がついている、赤ちゃんの機嫌や授乳量がいつもと違うなどの様子が見られたら、新生児月経ではなく、何らかの病気の可能性があります。

赤ちゃんの様子に違和感を抱いたら、早めに医療機関に相談しましょう。

まとめ

眠っている新生児とぬいぐるみ

新生児期の赤ちゃんは、男の子でも女の子でも、胎内にいたときに受け取っていたママのホルモンの影響で、乳房がふくらんだり少量の乳汁が出ることがあります。新生児期に出る乳汁のことを一般的に「魔乳」と言います。

ママから受け取った女性ホルモンが体内から消えていけば魔乳は出なくなるので、しばらく様子を見ましょう。

なお、同じように胎内にいたときのママの女性ホルモンの影響で、女の子の場合、軽い性器出血が起こることもあります。これは「新生児月経」と呼ばれていて、魔乳と同じく時間が経てば自然に止まるので安心してくださいね。

(文:大崎典子/監修:梁尚弘 先生)

※画像はイメージです

参考文献
『病気が見えるvol.10 第4版』メディックメディア
『日産婦誌』第60巻11号(2008)

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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