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【男女脳の違い】男女別、相手にささる褒め言葉

黒川伊保子

よくある男女のすれ違いやケンカの原因を、「男女脳の違い」から解き明かす本連載「教えてイホコ先生! 男ってなに考えてるの?」。女性が理解できない男性の行動について、人工知能研究者であり、脳科学コメンテーターの黒川イホコ先生が解説&アドバイスします!

みなさんは男性の心を掴む褒め言葉「さしすせそ」をしっていますか? 「さ=さすが」「し=知らなかった」「す=すごい」「せ=センスいいですね」「そ=そうなんですか」。これらのワードは一般的に支配欲が強く、主導権を握りたい男性には効果的な褒め言葉です。しかし上記の「さしすせそ」を女性に使ったらどうでしょうか? きっと女性にはあまり響かないでしょう。そう、男女で嬉しく感じる褒め言葉は違うのです。

そこで今回は、「男女別、相手にささる褒め言葉」について、黒川イホコ先生にお聞きしました。

男女別、相手にささる褒め言葉

イホコ先生の解説

●「一番」になりたい男性脳、「唯一」になりたい女性脳

「こんなすごいの初めて」「私の人生で一番」「チャンピオンだって、これだけはあなたに負けるわ、まじ」

これらは、今週、私が実際に使った言葉です。ダンスの相方が、劇的な進化を遂げたからで、歓心を買おうと思ったからじゃなく、本当に素直に心の底から出た言葉でした。

その彼から返ってきたのは、「イホコさんとだけだよ。誰とでもこんなふうに踊れるわけじゃない」という言葉でした。

「あなたが一番」に「きみだけ」を返してもらえるなんて……! 至福の一往復でした。

このやりとり、脳科学を知らなくたって、私たちの幸福感は伝わると思いますが、脳科学を知っていたら、もっと「よかったね」と思っていただけるはず。この一往復は、男女脳にとって、それぞれ一番嬉しいことばの贈り合いだったからです。男心をしびれさせようと思ったら「ナンバーワンであることを称えること」、女心に深く響かせようと思ったら「オンリーワンであることを知らせること」。このセオリーにのっとっていたのです。

●男はなぜ一番になりたいのか

これはもう、哺乳類の生殖スタイルに起因しています。哺乳類のメスは、一生涯に残せる個体数が限られています。一生殖に長い時間をかけ、何度も命をかけ、子を独り立ちさせるまでに相当の時間をかけます。人類はその最たるもの。このため、生態系を保持しようと思ったら、メスが一定数いないと成り立ちません。一人一人が大事な生殖の担い手なのです。

一方、オスの方は、生殖そのものにかける時間は僅少。その上、ほとんどの場合、いのちに別状はありません。このため、哺乳類のオスは、メス10体に1体もいれば用が足ります。なのになぜ、同数で生まれてくるのかというと、「競争して、競争に勝った優秀な個体」によって生をつなぐため。

つまり、ハーレム型の生殖が、哺乳類にとっては理にかなっていることになります。ヒトもまた、本来はハーレム型のようです。というのも、一緒に暮らす女性同士の生理が揃う機能があるから。触れ合うように共に暮らす女性同士は、互いのフェロモンによって影響を受け合い、排卵のタイミングが揃ってきます。これは、同居のメスたちが一斉に発情し、一斉に子育てに入るためと言われています。複数のメスたちが一緒に赤ちゃんを育てれば、お乳の出が悪い母親がいても、母乳を融通し合って、その家系の子どもたちは全員生き延びることができるから。哺乳類にとっては、大きなアドバンテージなのです。

さて、「競争に勝って、複数のメスを独占すること」を、哺乳類のオスとして、脳の原初的な領域に書き込まれている男たちは、女性の想像をはるかに超えて、「一番になりたい。成果を認められたい」と思っています。

●すべての男性の「ナンバーワン」を見つけてあげる

「あなたが一番」「最高」「すご~い」「はじめて」「しらなかった」などなど、ナンバーワンであることを賞賛する言葉は、いつでも、どんな場合でも、男心をくすぐります。男性はパーツ褒めでも大丈夫。我が家の息子は、いわゆるイケメンではありませんが、あごのラインが美しく、髭の生え方が西洋人のように整っているので、話題はここに集中させます。テレビを観ていても、「この俳優さん、イケメンだけど、髭の生え方が貧相だわ。こういう男は、髭を生やしちゃダメよね。あなたのようじゃなくちゃ」と言いながら息子をふりかえります。

恋人であれ、夫であれ、息子であれ、部下であれ、顧客であれ、友達であれ、男性と主に生きる女性は、それぞれの男性の「ナンバーワン」を見つけ、それをことあるごとに口にしてあげるべき、と、私は思います。それが才覚なら、頼りにすべき。誰かのナンバーワンであることが、どれだけ男性脳を落ち着かせ、安寧にさせ、がんばらせるか……それは、女性たちの想像をはるかに超えます。

●頼りにする、感謝する

職場の男性なら、「○○さんは、企画書のタイトルがいつも素敵ですよね。私の企画書、見ていただけます?」なんて頼りにするのもいいですね。家庭内の男性なら、前にも述べた「定番の責務」。蕎麦をゆでる、コーヒーを入れる、風呂場のかびとりなどなど、「ひとつのことに凝りやすい」男性脳が得意とすることを丸投げして、頼りにすること。そして重要なのは、「こんなコーヒー、私には入れられない」「こんなにぴかぴか。こんなこと、普通はできないよ~。ありがとう~」と、ナンバーワン・ワードをちらつかせて、お礼を言うことです。男性の「一番になりたい」はハンパじゃない。世界一じゃなくても、家庭一でも効きます。

彼が何かの記録や勝負に挑戦しているのなら、一番のファンでいてあげることです。たとえ彼が負けても、「それでも、あなたが一番かっこよかった」と言ってあげたいですね。切ないくらいにナンバーワンになりたい男性は、自分にことをナンバーワンだと思ってくれる女性を絶対ないがしろにはできないもの。母と息子でもそうです。

これ、作戦でするのは、すこし小狡い感じがするけれど、でもね、大切な人の「ナンバーワン」を見つけて、それを言葉にする癖をつけると、それは、やがて、小賢しい作戦なんかじゃなくなります。脳が自然に人をいいところを認知する回路にかわるので、愛にあふれた人になる。周囲が素敵に見えてきて、結果、あなた自身がうんと素敵に見えるようになります。

●そんな女はお前だけだ

一方、女性脳は、「君がクラスで一番」とか言われても、まぁ、嬉しいものの、そこまでじゃないはず。それよりも、「そんな女は、きみだけだ」と言ってもらう方が、感動しませんか? ちゃんと向き合ってくれない男子に、「あなたにとって、私なんて、どうでもいいんでしょう? 一緒にいても意味ないよね」なんて、悲しいセリフを言ったとき、「バカ言うなよ、一緒にいるだけで意味がある。そんな女はお前だけだ」なんて言い切ってくれたら、一生ついていけるのに、って思いません?

男は「一番」と言われるのが嬉しいので、女にもそれを言えばいいと思ってる。「営業成績が一番」なんて、女性にとっては、褒め言葉でも何でもないのに。そして女も「おまえだけ」と言われると嬉しいので、男にもそれを言いたがる。男性にとっては、ときには、重たく感じるセリフなのに。

このように、男と女では褒められて嬉しいポイントが違います。それなのに自分と同じと思い込み、お門違いな褒め言葉を言い続けても、いつまでたっても相手の心はつかめません。しかしその違いを知っていたら、男心(女心)は自由自在。一生、忘れないでくださいね。

<女性がとるべき行動>
・彼の「ナンバーワン」なところを見つけてそこを褒める
・なにがあっても彼の一番のファンでいてあげる

<NG行動>
・彼の「オンリーワン」なところを褒める

(文/黒川伊保子 イラスト/地獄カレー)

次回の「教えてイホコ先生! 男ってなに考えてるの?~男女脳はこんなに違う~」は、6/27(月)更新予定です。お楽しみに!

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※この記事は2016年06月20日に公開されたものです

黒川伊保子

脳科学の見地から「脳の気分」を読み解く感性アナリスト。「市場の気分」を読み解く感性マーケティングの実践者であり、「男女脳の気分」を読み解く男女脳論の専門家、「ことばが脳にもたらす気分」を読み解く語感分析の専門家でもある。人工知能(AI)エンジニアを経て、2003年、世界初の語感分析法サブリミナル・インプレッション導出法を発表、独自の感性分析術が注目を浴び、感性研究の第一人者となる。

脳の研究からくりだされる男女脳の可笑しくも哀しいすれ違いを描いた随筆や恋愛論、脳機能から見た子育て指南本、語感の秘密を紐解く著書が人気を博し、日本テレビ「世界一受けたい授業」をはじめ、フジテレビ「さんまのホンマでっか!? TV」など、TVやラジオ、雑誌で活躍。

近著に「恋愛脳」、「キレる女 懲りない男」、「英雄の書」などがある。

株式会社感性リサーチ
http://www.kansei-research.com/

オフィシャルサイト
http://www.ihoko.com/

『女の機嫌の直し方』(インターナショナル新書) 著書コメント:「女性脳のトリセツ完全版。彼氏に「私のトリセツ」と贈ってほしい。きっと優しくなります」

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『アンドロイドレディのキスは甘いのか』(河出書房) 著書コメント:「人工知能と人類の付き合い方を説いた一冊。女性AI研究者が見つめてきたAIの真実」

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