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【男女脳の違い】男女で違う、「評価システム」

黒川伊保子

よくある男女のすれ違いやケンカの原因を、「男女脳の違い」から解き明かす本連載「教えてイホコ先生! 男ってなに考えてるの?」。女性が理解できない男性の行動について、人工知能研究者であり、脳科学コメンテーターの黒川イホコ先生が解説&アドバイスします!

「いきなり妻から三行半を突きつけられ、寝耳に水だった」といった男性の話をよく聞きます。男性陣にしてみたら、自分の何が悪かったのかさっぱり分からないことでしょう。それもそのはず、男性にとって些細なことが、女性にとっては重要なことだったり、実は男女で「パートナーへの評価の仕方」が違うからです。

そこで今回は、「男女の評価システムの違い」について、黒川イホコ先生にお聞きしました。

男女別評価システムの違い

イホコ先生の解説

●男性は、妻の評価なんかしない

まず最初に知っておいてほしいのは、男性は妻の評価なんかしないということ。男性脳にとっては、「この人が妻(ステディな恋人)」と決めたら、それはチームになるということなのです。高校野球のチームで、「こいつ、嫌なやつだから、ボールなんて投げたくない」なんて選手の話、聞かないでしょう? 好きか嫌いかなんて関係ない。チームだから共に着替え、共に走り、ボールもちゃんと投げる。男性はそうした感覚で妻と接しています。

ラガーマンの男友だちが、こう言ったことがあります。「男は、チームメイトに多少呆れたことがあっても、イラっとしても、試合が始まれば、ちゃんとボールをパスする。妻とも同じだと思っていたのに、女はその日の機嫌で、無視したりするよな。あれがわからない」

私はこの話を聞いて逆に、「日々の行いに関わらず、妻は妻、と思える感覚のほうがわからない」と思いました。

男性脳は、自分の身体の一部のように、妻をとらえます。「美しいから」「優しいから」「賢いから」なんて、いちいち評価しません。自分の右手の機嫌を取らないように、妻の機嫌を取らない。自分の左足を褒めないように、妻を褒めない。で、時々、ぎくしゃくする“右手”や“左足”にうんと驚いて、機嫌をとろうとサプライズをしたりします。

しかし女性陣からしたらサプライズで挽回しようなんて、甘すぎるというもの。というのも私たち女性は、「日ごろのさりげない行動」で常に、その人と一緒にいる意味をはかっているからです。

とはいえ女性は、いちいちあら探しもせずに妻や恋人と一緒にいてくれる男性のおおらかさを、少しは感謝しましょう。

●女が男に絶望するとき

女が、共に生きる男子に絶望するのは、案外些細なことの積み重ねです。病気をした、失業した、などの人生に関わる深刻なトラブルで、「こいつは役に立たないから捨てよう」なんて思う女性は、あまりにはいません。女性脳は「先の見えない事態」に強く、免疫力さえ上がるので、そういうときこそ、俄然奮起して、彼を守ろうとするからです。

それよりも、自分の存在などあってもなくても関係ないかのように、淡々と日々を過ごす男に、うっすらと絶望を重ねていきます。たとえば、夫が、妻の知らない病院の薬を飲んでいたとします。「どうしたの?」と聞いて「十二指腸潰瘍」なんて言われた日には、妻は「いつ、見つかったの?」「どんな状態なの? 痛いの、痛くないの? 深刻なの、深刻じゃないの?」「なぜ、何にも言わなかったの?」と聞きたいことが渦巻くでしょう。そして、何も言ってくれなかった夫に絶望するのです。

女性脳は、共感のために会話をするので、「痛い」「調子が悪い」「不安」「再検査! ショック」などの気持ちを大切な人と分かち合わないと、不安で生きていかれません。逆に言えば、そういうときに共感を求められてこそ、相手が自分を思ってくれることを確信するのです。

一方男性脳は、問題解決のために会話をするので、妻に言わなくても、医者が明確な回答をくれれば、それで済んでしまいます。まさか淡々と薬を飲むことが、妻を絶望させるなんて、夢にも思いません。さらに最悪なのは、そのことを他人(たとえば会社の若い女の子)から妻が知らされたとき。妻である女性はもう、憤りをどうしていいかわからないでしょう。

そういうことが積み重なって妻から、「私なんか、あなたにとって、どうでもいいのよね。一緒にいる意味がない」と別れを告げられ、熟年離婚に至るカップルがいるのです。

●男は、サプライズで挽回を試みる

何が妻を絶望させているかわからない男たちは、妻の機嫌が危険域に達すると、サプライズのプレゼントなんかで挽回しようと試みます。でもね、女心としては、ブランド物のギフトや高級レストランで食事をすることより、「君の好きなチョコレート、見つけたから」なんて言って買ってきてくれるような、さりげないプレゼントに喜ぶものなのです。

男と女は、ほんっとにすれ違う生き物。でも、男性脳に悪気はありません。そこで日々の生活の中で、彼への絶望が積もってきたら、「話してほしい」とちゃんと伝えて、しっかり甘えてあげましょう。

<女性がとるべき行動>
・男性の中ですでに解決している問題の相談をされなくても怒らない
・あら探しをせず、変らぬ愛と態度で一緒にいてくれる男性に少しは感謝する
・解決している問題であっても話して欲しいならばその旨を伝える

<NG行動>
・男性が相談をしてくれなかったり、話をしてくれないことを=「愛されていない」と誤解する

(文/黒川伊保子 イラスト/地獄カレー)

次回の「教えてイホコ先生! 男ってなに考えてるの?~男女脳はこんなに違う~」は、7/11(月)更新予定です。お楽しみに!

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※この記事は2016年07月04日に公開されたものです

黒川伊保子

脳科学の見地から「脳の気分」を読み解く感性アナリスト。「市場の気分」を読み解く感性マーケティングの実践者であり、「男女脳の気分」を読み解く男女脳論の専門家、「ことばが脳にもたらす気分」を読み解く語感分析の専門家でもある。人工知能(AI)エンジニアを経て、2003年、世界初の語感分析法サブリミナル・インプレッション導出法を発表、独自の感性分析術が注目を浴び、感性研究の第一人者となる。

脳の研究からくりだされる男女脳の可笑しくも哀しいすれ違いを描いた随筆や恋愛論、脳機能から見た子育て指南本、語感の秘密を紐解く著書が人気を博し、日本テレビ「世界一受けたい授業」をはじめ、フジテレビ「さんまのホンマでっか!? TV」など、TVやラジオ、雑誌で活躍。

近著に「恋愛脳」、「キレる女 懲りない男」、「英雄の書」などがある。

株式会社感性リサーチ
http://www.kansei-research.com/

オフィシャルサイト
http://www.ihoko.com/

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