「尋ねる」と「訊ねる」の違いとは? 意味と使い分け方を解説
「尋ねる」と「訊ねる」は、どちらも何かを知ろうとする意味があります。しかし、両者には微妙なニュアンスの違いがあることをご存じでしょうか?
今回は、「尋ねる」と「訊ねる」の違いを解説。また、使い分ける時のポイントや類語も一緒に説明していきます。
「尋ねる」と「訊ねる」の違いとは?
まずは、「尋ねる」と「訊ねる」のそれぞれの意味について、辞書の説明を基に違いを紹介します。
「尋ねる」は「何かを質問すること」
「尋ねる」を辞書で調べてみると、次のような意味があります。
たずねる【尋ねる/訊ねる】
(1) 所在のわからないものなどをさがし求める。
(2) 物事のおおもとなどを明らかにしようと調べたり考えたりする。
(3)わからないことを人に聞く。質問する。問う。
(出典:『デジタル大辞泉』小学館)
上記のように、「尋ねる」は分からないことを知るために、調べたり聞いたりして答えを見つけることを目的とした単語といえます。
「訊ねる」は「強く問いただすこと」
一方、「訊ねる」はというと、「尋ねる」に一括されているため、取り立てて別の意味合いは用意されていません。
しかし、「訊ねる」は「尋ねる」と比較して、人に対して強制的に聞き出そうとするニュアンスがあります。
例えば、「容疑者について訊ねる」や「先日のトラブルについて厳しく訊ねる」など、相手の意図や目的を聞き出す必要がある時に用いると効果的です。
使い分ける時のポイントは「公的な場面であるかどうか」
「尋ねる」と「訊ねる」を使い分ける際に注意したいのは、公的な場面であるかどうかです。
「訊ねる」は常用漢字ではないため、法令や公用文書、学校教育などで用いる場合は「尋ねる」を使用します。
また、「訊ねる」は強制力を感じさせる表現であるため、相手によっては失礼になってしまう可能性も。そのため、目上の人には「尋ねる」を使うように心掛けましょう。
ただし、個々人の表記の範囲では「訊ねる」を用いるのが誤りというわけではありません。使用する相手やシチュエーションによって上手に使い分けることが大切です。
「訪ねる」との違いにも注意
似た漢字に「訪ねる」がありますが、こちらは特定の場所に行く様子を表す言葉です。
質問を意味する「尋ねる」「訊ねる」とは違うため、混同しないように注意しましょう。
「尋ねる」の使い方【例文付き】
「尋ねる」は、分からないことを調べたり、誰かに聞いたりする時に使います。また、何か質問する際に、「お尋ねしますが」といった前置きとして使うことも可能です。
なお、ビジネスシーンで目上の人に使う時には、「お聞きする」や「お伺いする」という敬語に言い換えましょう。
例文
・「昨日何をしていたのか相手に尋ねる」
・「先生に分からない問題の解き方を尋ねる」

謙譲語の「伺う」は、「聞く」「訪ねる」という意味ですが、正しい使い方ができていますか?
「訊ねる」の使い方【例文付き】
「訊ねる」も「尋ねる」と同様、分からないことを人に質問する時に用います。
意味が似ているため混同しやすいですが、強制的に人に問いただすニュアンスを強調したい場面で使うと良いでしょう。
例文
・「ミスをした原因を訊ねる」
・「先日警察に職業や住所を訊ねられた」
「尋ねる」の類語
ここからは、「尋ねる」の類語を紹介します。
(1)「問う」
「問う」は「尋ねる」をシンプルにした表現です。例えば、「分からない部分について問う」といった言い回しで使うことができます。
ビジネスシーンでは「尋ねる」が定番ですが、シンプルな表現を用いたい時は「問う」を使うと良いでしょう。
(2)「質問する」
「尋ねる」をストレートにした言い回しが「質問する」です。
「尋ねる」よりも目的が明確であり、疑問に対する答えを知りたい時に使うことができます。また、テストの回答を教えてほしいなど、学びの場面でもよく使用する表現です。
「訊ねる」の類語
「訊ねる」は常用漢字ではないため、法令や公用文書、学校教育など公的な文章ではあまり使用しません。
そのため、必要に応じて類語を使うなどして、相手に伝えたいことを分かりやすく表現できるよう工夫しましょう。
(1)「探し求める」
「探し求める」は、目的の物を手に入れるために探し回るといった意味合いがあります。
質問に強制力がある「訊ねる」だからこそ、単純に聞くだけでなく、広く調べるといったニュアンスがある「探し求める」を言い換え表現として使うと良いでしょう。
(2)「尋問する」
「尋問」には、問いただすという意味合いがあり、「訊ねる」の言い換え表現として活用できます。
例えば、はっきりと答えを聞くために取り調べをするような時には「尋問する」という表現を用いると良いでしょう。
使い分けに悩む時は「尋ねる」を用いるのが無難
「尋ねる」と「訊ねる」は、誰かに質問するといった意味合いがあります。
どちらかと言えば、「訊ねる」の方は強制力があるため、相手に明らかに非がある時や自分が上の立場にいる時に用いるのがおすすめです。
ただし、「訊」は常用漢字に含まれない表現のため、公文書には使用しないなど多少注意が必要な表記といえます。そのため、使い分けに悩む時は「尋ねる」を用いるのが無難でしょう。
ぜひ本記事を参考に、使用する相手やシーンによって言葉を上手に使い分けてみてくださいね。
(にほんご倶楽部)

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※この記事は2024年04月09日に公開されたものです