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根回しとは? 言葉の意味や言い換え表現、根回し上手になる方法を解説

にほんご倶楽部

「根回し」という言葉にどのようなイメージを抱きますか? 「くだらない」「気持ち悪い」など悪い印象を持っている人もいるかもしれません。今回は、「根回し」という言葉の意味や言い換え表現などの基礎知識から、根回し上手な人の特徴まで幅広く解説します。

「根回し」と聞くと、どんなイメージを抱くでしょうか。「裏でコソコソしていて嫌な感じ」「正々堂々と勝負しないなんてずるい」と思う人もいるかもしれません。

どことなくマイナスのイメージがつきまとう表現ですが、ビジネスシーンではむしろ有効に働くことも。

今回は、そんな「根回し」という言葉の意味や言い換え表現を解説します。また、根回し上手になるためのコツや注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

「根回し」の意味とは? 由来や語源

まずは、「根回し」の意味や由来について見ていきましょう。

意味

「根回し」という言葉を辞書で見てみると、以下のような意味があります。

ねまわし【根回し】
[名](スル)

(1)樹木などの移植の1、2年前に、広がった根を根もとを中心に残して切り、細根の発生を促すこと。

(2)交渉や会議などで、事をうまく運ぶために、あらかじめ手を打っておくこと。下工作。「しかるべき部署に―する」

(出典:『デジタル大辞泉』小学館)

「根回し」を具体的に言うならば、事前に周囲を説得したり、同意を得る方向に持っていったりする行動のこと。そうすることで、物事をスムーズに進行できるようになるでしょう。

語源・由来

「根回し」という語を、「事前準備を表す言葉」として認識している人が多いかもしれませんが、辞書の(1)の意味にあるように元々は樹木の移植を指す造園用語です。新たな環境で根を発生させるためには、あらかじめ手入れをしておくことが大切。

これはビジネスにおいても同じで、仕事を成功させるためには準備が欠かせませんよね。

そこから「根回し」という言葉には、「物事をうまく運ぶように、あらかじめ各方面に話を通しておく」という意味ができたようです。

根回しが必要になるのはどんな時?

ここまで見てきた通り、ビジネスシーンにおいて根回しをすることは効果的だといえます。しかし、やみくもに行動すればいいというわけではありません。

ここからは、根回しが有効に働くシーンを紹介します。

(1)大きな変化を伴う時

業務システムの刷新や取引条件の改定など、こちらの提案や決定事項が大きな変化をもたらす時は、根回しをしておいた方が良いでしょう。特に、その内容が相手に不利な状況を与える場合はなおさらです。

変化を受け入れる態勢を整えてもらうために、あらかじめ話を通しておくことで相手の負担を軽減することができるでしょう。これは、一種の気遣いともいえるかもしれません。

(2)関係者の数が多い時

関係者が多い時も、根回しが効果的に働きます

もし決定権を持つ人が複数いるのであれば、さまざまな意見が出ることが想定され、決断が下されるまでに時間がかかるでしょう。

しかし、あらかじめ多方面に根回しをしておけば、当日スムーズに検討してもらえる可能性が高まります。

特に、意見が対立しそうな人が参加するのであれば、先にその人に話を通しておくのも有効でしょう。

(3)金銭が絡む時

金銭が絡むことはどうしても決定に時間がかかる傾向にあります。

そのため、提案や企画を進行するにあたって、大きな費用や予算が必要であれば根回しは済ませておきたいものです。

事前に共有しておくことで、懸念点や調整が必要な部分を把握・修正ができるため、迅速な可否判断につながるでしょう。

根回しがうまい人の特徴

しかるべきタイミングで同じことをするにしても、根回しが上手な人とそうでない人がいます。両者の違いは何なのでしょうか。

ここからは、根回しがうまい人の特徴を紹介します。

(1)社内外問わず人脈が広い

まず1つ目に、彼らは人脈が広い傾向にあるでしょう。仕事は決して1人ではできず、大きな企画になるほどたくさんの人の協力が必要です。

そのため、社内はもちろん社外でも幅広く良好な人間関係を築いている人は、いざという時に周囲が助け舟を出してくれる可能性が高く、根回しが効果を発揮しやすいでしょう。

(2)他者と同じ目線で考えられる

合意を得るためには、共感してもらうことが大切です。そこで有効なのが、他者と同じ目線で物事を考えるということ。

彼らは客観的な視点を持ち、周囲が十分納得できるかどうかしっかり見極めて話を進めることが得意でしょう。

(3)リサーチ・行動力がある

リサーチ力や行動力がある人も、根回し上手な傾向にあります。

事前に話を通しておくためには、内容はもちろんのことタイミングも重要です。彼らは相手の置かれている状況をよくリサーチし、チャンスを逃さずに行動する能力に長けているでしょう。

根回し上手になる方法

ここからは、根回し上手になる方法を紹介します。仕事をスムーズに進めるコツとして、参考にしてみてください。

(1)身近な味方を増やす

まずは身近な味方を増やすことから始めましょう

社内外問わず人脈を広げておくことで、いざという時に彼らの協力を仰ぐことができるはずです。

(2)周囲からの信頼を得る

周囲を説得するためには、あなたがどれだけ信頼されているかというのもポイントになってきます。仕事の精度はもちろんですが、業務に向き合う姿勢なども評価に値する一部。

まずは、こちらからあいさつをする、提出物の期限を守るなど、基本的な行動から始めてみましょう。「そんなことでいいの?」と思うかもしれませんが、小さな積み重ねが意外と大事なのです。

知らず知らずのうちに周囲から信頼されるようになり、それが根回しする時の助けになるかもしれません。

(3)決定権を持つ人の分析をする

絶対に通したい提案があるならば、交渉の仕方が肝心です。チャンスを逃さないためにも、決定権を持つ人のことを分析してみましょう。

相手が重視するポイントは何なのかなど、その人に合ったアプローチ方法を模索してみてください

根回しをする時に注意すべきポイント

ここからは、根回しをする時に注意すべきポイントをお伝えします。スムーズに物事を進めるためにも、きちんと覚えておくのがおすすめですよ。

(1)根回しの順序を間違えない

根回しをする際は、話を通す相手の順序を間違えないようにしましょう

直属の上司や同僚をスルーして上層部に掛け合ってしまえば、「メンツをつぶされた」「身勝手だ」と思うかもしれません。

周囲からの信頼を失って困難な状況に置かれるリスクを下げるためにも、まずは身近な人の協力から仰ぐようにしましょう

(2)まずは相談ベースで話を持ち掛ける

どうにか企画やプロジェクトを成功させたいと意気込む姿勢は良いですが、強引に話を通そうとすることはおすすめしません

特に、相手にとってインパクトの強い内容であれば、混乱を招き、拒絶反応を示されてしまう可能性も。

警戒心を抱かせないためにも、まずは相談という形で様子を見るようにしましょう

【番外編】根回しの言い換え表現

最後に、根回しの言い換え表現を紹介します。

(1)「段取りをつける」

「根回し」の類語として挙げられるのは、「段取りをつける」です。

「段取り」とは、物事を行う順序や準備を意味する言葉。「段取りをつける」という表現にすることで、段階や手順をまとめる・決めるといった、具体的な行動を伴う意味合いになります。

(2)「下準備」

「根回し」は、ストレートに「下準備」と言い換えるのも1つの手です。この言葉は、物事を行うためにあらかじめ準備をしておくことという意味を持ちます。

(3)「コンセンサスを取っておく」

相手の賛成を求めるシーンでは、「コンセンサスを取る」というフレーズ用いるのも一案です。

コンセンサス(consensus)は、「合意」や「意見の一致」という意味があります。つまり、「コンセンサスを取っておく」とは、「合意を得ておく」ということ

「根回し」と同じく、事前に相手の理解が得られるよう働き掛けておく意味として使用できます。

上手な根回しで業務をスムーズに進行しよう

提案や意見をスムーズに受け入れてもらうためには、上手な根回しが有効です。特に、大きな変化が伴う場合や、多数の関係者がいる場面ではなおさら効果を発揮します。

業務を滞りなく進行するためにも、根回し上手なビジネスパーソンを目指してみてはいかがでしょうか。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

※この記事は2023年11月13日に公開されたものです

にほんご倶楽部 (敬語・ビジネス用語専門編集プロダクション)

いつも使っているけれど間違った認識も多い「敬語」や「ビジネス用語」。人にはなかなか聞けない常識から応用編まで、日本語に関する情報を発信。

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