お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

エレベーターの上座と下座はどこ? 正しい席次やマナーを解説

三上ナナエ(マナー講師)

エレベーターにも上座と下座があるのをご存知ですか? 正しいマナーを知っていれば、自信を持って振る舞えますよね。そこで今回は、マナー講師の三上ナナエさんに、エレベーターでのビジネスマナーを教えてもらいました。

オフィスで目上の人やお客さまとエレベーターに乗る時、戸惑うことはないでしょうか?

エレベーターに関するビジネスマナーは、待っている間から降りる瞬間まで場面に応じてさまざまです。

今回は上座、下座の位置やそれに伴う注意点を学び、自信を持って振る舞えるようにしましょう。

エレベーターにも上座と下座がある?

エレベーター内には、上座と下座が存在します。混み合っている時に無理に動いて移動する必要はもちろんありませんが、常識として知っておきましょう。

上座とは、相手への敬意やおもてなしの気持ちを表現するために目上の人やお客さまにおすすめする場所です。

バタバタせず、心地良く安全である位置というのが席次の考え方の基本ですので、エレベーターの奥側が上座となります。

一方、人の出入りが多く、気を使って動く必要のある入り口付近が下座です。

操作盤が1カ所の場合の席次

エレベーターの操作盤が1カ所の場合の上座は、操作盤が左右どちらにあるかは関係せず、入り口から見て左奥です。

これは諸説ありますが、「左上右下(さじょううげ)」という「左を上位、右を下位」とする日本の伝統的なしきたりからきているといわれています。

一方、下座は操作盤の前です。

ここからは、図を用いて席次を解説していきます。数字の1から順に上座→下座です。

4人で乗る場合

4人で乗る場合の席次は、左奥から上座、その隣、手前右、操作盤前の順です。

5人で乗る場合

5人で乗る場合の席次は、左奥から上座、その隣、手前右、手前真ん中、操作盤前の順です。

操作盤が2カ所の場合の席次

操作盤が2カ所の場合も、上座の位置は入り口から見て左奥というのは変わりません。

ただし、下座の位置は上座の対角線上の右側になります。これは、上座の人が出やすい配慮をするためです。

4人で乗る場合

4人で乗る場合の席次は、左奥から上座、その隣、手前左、手前右の順です。

5人で乗る場合

5人で乗る場合の席次は、左奥から上座、その隣、手前左、手前真ん中、手前右の順です。

エレベーターに乗る時の注意点

エレベーターに乗る時も、目上の人を立て、気遣いが伝わるように、かつ手を煩わせないようにすることが大切です。

状況によっても変わりますので、詳しくポイントをお伝えします。

(1)ドアの正面で待たない

まず、エレベーターのドアの正面に立って待つのはNG。スムーズな乗り降りの妨げになり、降りる人を優先できなくなるからです。

乗っている人も、ドアが開いてすぐに人が立っていたら驚いてしまうかもしれませんので、エレベーターのドアの脇で待つようにしましょう。

扉が開いたら降りる人がいないかを確認し、全ての人が降りてから乗ります。

(2)誰も乗っていない場合は先に乗る

エレベーターでは、安全やスムーズな乗り降りが優先されますので、途中でドアが閉まらないようにするなど操作するために下位者が先に乗り込むようにしましょう。

その際に、「本来は先に乗っていただくところを、お先に失礼します」という気持ちを込めて、「失礼します」と会釈をすると印象が良くなります。そして、乗り込んだらすぐに開閉ボタンの「開」を押してください。

外側から手でドアを押さえて先に入ってもらう方法も間違ってはいませんが、エレベーターが閉まりそうになるなど危険な場合もあるので、安全を優先させる方が無難です。

(3)人が乗っている場合は後から乗る

エレベーター内に既に人がいる場合は、中にいる人が操作をしてくれることが多いので、上司に先に乗ってもらいます。

自分が乗ったら、可能な限り操作盤の近くの下座側に立つこと。この時、操作してくれている人に軽く会釈ができると印象が良いです。

もし、目上の人が操作してくれている場合は、「代わります」と声を掛けて代わりましょう。

エレベーターを降りる時の注意点

エレベーターを降りる時にも覚えておきたいマナーがありますので、紹介していきますね。

(1)目上の人に先に降りてもらう

オフィスでエレベーターを降りる順番は、お客さま、上司、先輩、自分の順です。目上の人と乗っている場合は、自分よりも先に降りてもらいましょう。

その際、自分がボタン操作をしているなら「開」を押し続け、「どうぞ」と声を掛けます。

お客さまが一緒の場合は「右側にご案内しますね」など、降りた後にどちらの方向に行くか伝えると、より丁寧でしょう。

(2)ドアの開閉部をふさいでしまう場合は先に降りる

エレベーター内が混雑していて、自分がドアの近くに立っている時は、先に降りないと奥にいる人が降りられないケースも考えられます。

横に避けるとぶつかることもあるので、そんな時は上司がいても先に降りましょう。

(3)操作してくれている人にはお礼を

自分が降りるまで他の人が「開」ボタンを押してくれている場合は、操作してくれている人に「ありがとうございます」「恐れ入ります」など伝えながら会釈をするのがおすすめ。

また、知っている人が残って違う階に行く場合は、無言で降りるよりも「失礼します」「お先に」など一声掛けてから降りる方が良いでしょう。

エレベーターの上座は無理のない範囲で守ろう

オフィスのエレベーターはビジネスの場。そして、狭い空間でもあるので、ちょっとした振る舞いが目立ちやすいです。

難しく考えると逆に不要な動きにつながる可能性があるので、「下位の人が操作する」「目上の人には奥に入っていただき手間をかけさせない」と考えるだけでも自然な振る舞いになるでしょう。

また、目上の人だけでなく、荷物を持った人など配慮の必要な方への気遣いも忘れずに。

マナーの型を実践するのではなく、「相手にとって負担がないか」という考え方で行動すれば失礼にはならないはずですよ。

(三上ナナエ)

※画像はイメージです

※この記事は2023年07月24日に公開されたものです

三上ナナエ(マナー講師) (マナー講師)

新卒ではOA機器販売会社に入社、5年間販売戦略の仕事に携わる。全日本空輸(株)では客室乗務員として4500回のフライト、チーフパーサー、新人トレーナーなどを経験。また客室部門方針策定メンバーや空港イベント要員に選ばれる。講師歴12年。年間80回以上の企業研修講師、人材育成コンサルタントとして活動。
著書:『「気遣い」のキホン』『会話のキホン』すばる舎
『超一流の小さな気配り』PHP研究所 など

この著者の記事一覧 

SHARE