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「前者」と「後者」の意味は? 使い方や注意点・言い換え表現(例文付き)

にほんご倶楽部

ビジネスシーンでもよく見聞きする「前者」「後者」という言葉。これらの意味や使い方をきちんと理解できていますか? 今回は「前者」「後者」の意味と使い方、使用上の注意点、類語・言い換え表現を例文付きで解説します。

「前者」と「後者」とは、「先に紹介したものと後に紹介したもの」を表す言葉です。

そのまま同じ説明を繰り返さずとも、前者と後者を使うことでコンパクトに伝えられるため、ビジネスシーンでも定番のフレーズです。

この記事では、そんな「前者」と「後者」の意味、ビジネスフレーズとしての正しい使い方を解説します。また、前者と後者と似た意味を持っている言い換え表現も紹介するため、ぜひチェックしてください。

「前者」「後者」の意味とは?

「前者」と「後者」は2つの物や事柄を表すときに用いる言葉で、前に紹介するものを「前者」、後に紹介するものを「後者」と呼びます。

ぜん‐しゃ【前者】
読み方:ぜんしゃ
二つ示したもののうち、前のもの。

こう‐しゃ【後者】
読み方:こうしゃ
1 二つ挙げたうちのあとのもの。
2 あとに続く者。後世の人。
(小学館『デジタル大辞泉』)

前者と後者はセットで使われるもので、単独では使わないフレーズであると覚えておきましょう。2つの事柄を話すにあたって、前者があるから後者が存在し、反対に後者があるから前者を表せるためです。

「前者」「後者」はビジネスフレーズとして使える?

「前者」と「後者」は主にビジネスメールやビジネス書類で使うことができるフレーズです。

最初に2つの事柄を話した後に、同じ内容を繰り返して説明するのではなく、「前者」「後者」と表すことで全体の文章を短くできます。

法令でも前者と後者を使って、2つの事象を説明していることが多く、そこから派生してビジネスでもよく使われるようになりました。「者」と入っていますが必ずしも人物だけではなく、2つの行事や案などさまざまなものに使われます。

「前者」「後者」の使い方(例文付き)

「前者」と「後者」を使うときは、2つセットで書きます。また、前者と後者の2つだけでなく、3つ以上の案があるときも、前者と後者で説明すると分かりづらくなるため注意しましょう。

「前者」と「後者」は、主に対比させることを目的に使うことが多いです。例えば、前者と後者のどちらかを選ぶ必要がある場合、それぞれのメリットを説明したうえで選択してほしいとの説明の場面でもよく使います。

また、話し言葉として使ってしまうと、どれが前者でどれが後者なのか判断に迷ってしまうことがあります。そのため、話し言葉ではなく、メールや書類など改めて読み直せるものに使うことをおすすめします。

例文

「前者」と「後者」を使った例文については、次を参考にしてください。

・利益アップのためコストを削減するか値上げするかご意見を伺いたいです。前者は人件費の見直しによる社員への負担、後者はお客さま離れのリスクがあります。

・アンケートのうち7割の人が前者を、3割の人が後者を選びました。

・地域の若返りを図るためにSNSでのPRに力を入れるか、子育て支援事業の予算を増やすか、前者と後者それぞれの賛成反対を伺いたいです。

「前者」「後者」を使う際の注意点

「前者」と「後者」を使う際には、相手を混乱させないように正しい使い方を心がけましょう。ここでは「前者」と「後者」を使うときの3つの注意点を説明します。

「前者」から説明する

「前者」と「後者」は基本的に、最初に「前者」を説明するように意識しましょう。前者から後者へと話が進むことで、自然とどちらが前者で後者なのか理解してもらえます。

どちらも同列でメリットデメリットが存在する場合は、そこまで順番を気にする必要はないものの、前者と後者が混ざらないように分かりやすく説明することが大切です。

必ず2つセットで使う

「前者」と「後者」は2つの事柄をセットで説明するときに使います。1つ、または3つ以上の案があるときは使えないフレーズなので注意しましょう。

前と後ろという対になっている2つの意見に対して、どちらがいいのか知りたい、それぞれのメリットを説明したい状況で使います。

前者があるから後者が存在するため、2つの事柄を説明するときに使うように心がけましょう。

ビジネスメールや書類で使う

「前者」と「後者」は、実際に口頭で話す場面ではなく、文章を読み直せるビジネスメールや書類で使うことをおすすめします。

そもそも一旦説明したことを、前者と後者に分けて示すのは、長い文章をコンパクトにまとめることが目的です。

話し言葉として「前者」と「後者」を使ってしまうと、どの内容が前者にあたるのか判断しづらいというデメリットがあります。文章として可視化できるビジネスメールや書類のときに用いるようにしましょう。

「前者」「後者」の類語・言い換え表現

最後に、「前者」と「後者」と似た意味を持っている言い換え表現を紹介します。

「前述」と「後述」

「前述」と「後述」とは、「最初に述べた内容と後半に述べた内容」という意味です。

もともと論文などに使われており、文章が長くなりやすい論文やレポートにおいて、同じ内容を繰り返し書くのではなく「前述」と「後述」と言い換えることでコンパクトな文章になります。

ビジネスメールや書類などでも、長文の資料などを送る際には「前述」と「後述」を使うことがあります。

「前段」と「後段」

「前段」は「1つ前の文章としての区切り(段)」を表す言葉です。そして「後段」は、「その後に続く新しい段の内容」を意味しています。

例えば、前段ではスイカのことを説明し、段を変えてからメロンのことを説明する文章があれば、「前段については」と記すことでスイカについての詳細説明だと判断でき、同じ内容を繰り返すことなく段の内容を簡潔に伝えられます。

「前者」と「後者」は1つの単語や物、事柄について表すことが多いなか、「前段」と「後段」についてはそれぞれの段落の内容すべてを意味します。

つまり、単純に人物や物など特定の事柄だけでなく、その段落内にメリットやデメリットなどの詳細な説明が含まれていれば、それもまとめたうえでの「前段」と「後段」になります。

「前記」と「後記」

「前記」と「後記」は「前に記した内容とその後に記した内容」を表す言葉です。

「前者」と「後者」と使い方は同じで、意味も限りなく近いです。ただし「記す」という言葉を使っているとおり、書き言葉としてのみ使う言葉です。

実際に対面しているときや電話口などでは使わないフレーズのため注意しましょう。「前段」と「後段」と同じく、ひとまとまりの文章を表すときにも使います。

「前者」「後者」は2つの事柄をコンパクトに説明したいときのフレーズ

「前者」と「後者」は、ビジネスメールや書類に使う機会が多いため、相手に長文を送るときには「何が前者で何が後者なのか」が分かりやすいように意識しましょう。

また、「前述」と「後述」など言い換え表現を取り入れることで、さらに相手に言葉が伝わりやすくなります。意味と言い換え表現をマスターし、活用していきましょう。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

※この記事は2023年05月15日に公開されたものです

にほんご倶楽部 (敬語・ビジネス用語専門編集プロダクション)

いつも使っているけれど間違った認識も多い「敬語」や「ビジネス用語」。人にはなかなか聞けない常識から応用編まで、日本語に関する情報を発信。

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