お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

「ご多忙とは存じますが」の意味とは? 使い方と例文・言い換え表現

にほんご倶楽部

「ご多忙とは存じますが」は、ビジネスシーンでよく見聞きするフレーズの1つ。多忙な相手に対して何かを依頼する際に使う言葉です。今回はそんな「ご多忙とは存じますが」の意味や使い方、言い換え表現について解説します。

「ご多忙とは存じますが」は、多忙な相手に対して何かを依頼する際に使用されるフレーズです。

目上の人や取引先に対しても使える言葉なので、正しく使うことで幅広いビジネスシーンで活用できるでしょう。

この記事では、「ご多忙とは存じますが」を正しく使用するために、その意味や成り立ち、使い方や注意点などを解説していきます。

「ご多忙とは存じますが」の意味

「ご多忙とは存じますが」は、ビジネス上のメールや文書、案内状などのかしこまった文面で使うフレーズです。どのような意味なのか、言葉の成り立ちを見ていきましょう。

多忙(たぼう)
[名・形動]非常に忙しいこと。また、そのさま。「―を極める」「―な(の)身」
出典:(『デジタル大辞泉』小学館)

忙しい様子を表す「多忙」に尊敬語の接頭辞「ご」をつけて「ご多忙」としています。

存ずる(ぞんずる)
1 「知る」「承知する」の意の謙譲語。「知らぬ―・ぜぬでらちがあかない」
2 「思う」「考える」の意の謙譲語。「お変わりなくお過ごしのことと―・じます」
出典:(『デジタル大辞泉』小学館)

「存ずる」には上記の通り2つの意味がありますが、「ご多忙とは存じますが」のフレーズでは「知っている」「分かっている」の意味で「存ずる」を使っています。

つまり、「存じますが」は「知っていますが」「分かっていますが」という意味になります。全体では「忙しいことは分かっていますが」という意味になり、尊敬語と謙譲語を使った丁寧な表現です。

「ご多忙とは存じますが」の使い方(例文付き)

「ご多忙とは存じますが」は、目上の相手に依頼をする時に、依頼する内容の前に付加して使います。

相手の状況に配慮していることを表現できるため、自分の依頼を一方的にお願いするニュアンスが弱まり、丁寧な響きになります。

「ご多忙とは存じますが」は、主にメールや文書などの文面で書き言葉として使用します。目上の人に向けてであれば、社内、社外を問わず使用できる表現です。

では、それぞれのシーン別に使い方と例文を見ていきましょう。

相手に丁寧に依頼をする時に使う場合の例文

依頼内容の前に「ご多忙とは存じますが」と付け加えることによって、相手の忙しさや状況に配慮したお願いの仕方になります。相手の状況に配慮した言葉を使うことで、一方的に依頼している感じも薄まるでしょう。

「ご多忙とは存じますが」の一言で、相手との信頼関係を構築するのにもプラスに働くはずです。

例文

ご多忙とは存じますが、○○会にご出席のほどよろしくお願いいたします。

・弊社の新製品○○のご紹介をさせていただきたく、ご多忙とは存じますが、お時間を頂戴したく存じます。

返事を促したい時に使う場合の例文

「ご多忙とは存じますが」は、目上の人に返事を促す時に使うこともできます。

ビジネスシーンでは、相手の意向が分からないと自分が動けない、期日までに必ず返事をもらわないといけない、といった場面の際に使用できます。

忙しさのあまり、相手がつい対応を忘れてしまっていることもあるはず。「ご多忙とは存じますが」を使えば、相手の状況に配慮しつつ、同時にやわらかくリマインドすることができます。

例文

ご多忙とは存じますが、○○の件につきましてご連絡いただけますようお願いいたします。

・○○の件、その後いかがでしょうか? ご多忙とは存じますが、現在の状況についてご一報いただけますと幸いです。

Check!:催促メールの注意点や書き方のポイント・例文を紹介

相手の健康を気遣う時に使う場合の例文

「ご多忙とは存じますが」は、相手の体調、健康を気遣う時にも使用することができます。

例えば「ご多忙とは存じますが、どうぞご自愛ください」は、「とても忙しいと思うけれど、あなた自身の健康を大事にしてください」という意味になります。目上の人へのビジネスメールの結びの一文として、フレーズで覚えておくと便利です。

例文

ご多忙とは存じますが、どうぞご自愛ください。

ご多忙とは存じますが、お体をお大事になさってください。

Check!:体調を気遣う言葉の例文集。ビジネスメールで目上の人に使う方法

「ご多忙とは存じますが」を使う時の注意点

「ご多忙とは存じますが」は、相手の忙しさを気遣いながら依頼する際の表現として便利ですが、使い方にはいくつか注意点があります。

部下や後輩には使わない

「ご多忙とは存じますが」は上司や取引先の方など、目上の人に対して使う言葉です。そのため、自分の同僚や部下に使う言葉としてはあまり適していません。

目上の人からのかしこまった表現は、部下にとっては萎縮してしまうと同時になんと返答をすれば良いか困ってしまう可能性もあるので、注意しましょう。

冠婚葬祭では使用しない

「ご多忙とは存じますが」のうち、「ご多忙」の「忙」の漢字に「亡」が含まれていますね。「亡」の漢字を、不幸を連想させる忌み言葉として捉える人もいます。このため、結婚式や葬儀など、不幸のイメージを避けたいシーンでは、使わないようにしましょう。

「ご多忙とは存じますが」とほぼ同じ意味で、以下のように言い換えることができます。

例:結婚式の招待状

×「ご多忙とは存じますが、ぜひご出席賜りますようお願い申し上げます」

○「ご多用とは存じますが、ぜひご出席賜りますようお願い申し上げます」

忙しくない相手にも使えるが多用はしない

「ご多忙とは存じますが」は、相手が本当に忙しいかどうかを把握していない場合に使っても問題はありません。

言い回しとして定着しているフレーズですので、そこまで神経質に考えなくても良いのです。ただ、多用するとしつこい印象になってしまいますので、何度も使わないようにしましょう。

Check!:ビジネスメールの締め・結びの言葉【例文集】

「ご多忙とは存じますが」の言い換え表現

次に、「ご多忙とは存じますが」の言い換え表現を紹介していきます。

「ご多用とは存じますが」

先ほども紹介した「ご多用とは存じますが」は、「ご多忙とは存じますが」の言い換え表現としてよく使われる言葉です。

「多用」は「用が多いこと」の意味ですので、「ご多忙とは存じますが」と「ご多用とは存じますが」はほぼ同じ意味で、区別なく使用することができます。先述した通り、「忙」の字を避けたいシーンもありますので、覚えておくと便利です。

例文

ご多用とは存じますが、アンケートにご回答いただけますと幸いです。

ご多用とは存じますが、会場に足を運んでいただけましたらありがたく存じます。

「お忙しいところ恐れ入りますが」

「お忙しいところ恐れ入りますが」は「忙しくしている最中にすみませんが」という意味で、「ご多忙とは存じますが」と同様に、依頼の言葉の前に付け加えて使います。

「恐れ入りますが」は「すみませんが」をより丁寧にした言葉、という認識でよいでしょう。

例文

お忙しいところ恐れ入りますが、ご返信のほど、よろしくお願いいたします。

Check!:「恐れ入ります」の意味と正しい使い方は? 恐縮です・すみませんとの違い【例文付き】

「お手数をおかけして恐縮ですが」

「お手数をおかけして恐縮ですが」は、「あなたに時間や労力をかけさせてしまいすみませんが」という意味です。

「手数」は「仕事をするのに要する労力・時間」を意味します。「てすう」「てかず」のどちらも、正しい読み方ですが、「てすう」が一般的です。

例文

お手数をおかけして恐縮ですが、資料を共有いただけますようお願いいたします。

お手数をおかけしますが、同封します封筒にてご返送をお願いいたします。

Check!:「お手数おかけします」の意味と使い方。誤用例と例文紹介

「ご多忙とは存じますが」は目上の人に依頼する時に使う言葉

「ご多忙とは存じますが」は、「忙しいことは分かっていますが」という意味で、目上の人に対して、相手の状況に気遣いながら依頼をする時に使う言葉です。

目上の人に何かをしてもらう、時間を割いてもらう、というのは少しハードルが高くなります。慣れないうちは緊張してしまうものですが、ビジネスにおいて避けて通れないことでもあります。

目上の人の力を上手に借りたり、動いてもらったりするのも大事なビジネススキルです。そんなシーンで活用できる「ご多忙とは存じますが」のフレーズ、ぜひうまく使いこなせるようになってくださいね。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

※この記事は2023年04月06日に公開されたものです

にほんご倶楽部 (敬語・ビジネス用語専門編集プロダクション)

いつも使っているけれど間違った認識も多い「敬語」や「ビジネス用語」。人にはなかなか聞けない常識から応用編まで、日本語に関する情報を発信。

この著者の記事一覧 

SHARE